絵画は語る 12   @AB CDE FGH IJL MN




翌朝、暗殺に行ったアズサと綱手姫達が帰って来た。 もちろん、奏宴の里の忍びは誰も動かないヨ。
ウズキさんに聞いた。 暗殺黙認の条件が、滅多に見る事の出来ない口寄せ豹獣の足止め、とはネ。
確かに、これもイルカにしか出来ない任務だったろう。 また喜んでたんだろうな・・・・。
オレ達が着いた時に見たイルカの姿は、その雪豹だったんだネ。 あんなに気安く触らせちゃって。

「イルカ、帰ったらお仕置き決定だから。」
「え? ・・・・・お、俺今回、剥かれてないよ??」
「また教育し直しです。 良いですね?」
「お、お手柔らかに・・・・ お願いシマス。(どこが駄目だったの?!)」

三代目はイルカが交換条件を成功させるのを見越してたんだ。 でも、その条件クリア日数は想定外。
着いたその日だなんて、思わなかっただろう。 もし、オレ達の到着が後一日ずれてたら?

イルカは雪豹の手柄で帰されたとしても、奏宴の忍びの数人が特攻をかけ、皇女の為に殉死したはずだ。
アズサの性格からいくと、自分に刃向かって来た報復として、奏宴の里を壊滅させてたかもしれない。
そうなったら、この里もこの里の忍び達も気に入っていたイルカは、知らせを受け泣いただろうネ。

「イルカ、奏宴の里の忍びが、ひとりも死ななくて良かったね。」
「ほんとに良かったと思う!」
「これも綱手姫の警告のおかげです、ありがとうございました。」
「どの駒が欠けても、この結果にはならなかったよ。 猿飛先生の智略だ。」

そう言えば昨日、里長 ウズキさんが、アズサになにやら頼みごとをしていた。 それも計算のうちか?
細工モノ大好きだしネ。 以前冗談で、鳥だから光りモノが好きなのか、と聞いたことがあった。
その時の答えは『一緒にするんじゃないよ』で、細工モノと光りモノは違うんだって、分かんないケド。
アズサ曰く、光りモノといわれる宝石の類は、ただ切って磨くだけの石ころなんだそうだ。


「・・・・アズサ、暗部 酉班 部隊長が、勝手に任務を引き受けちゃダメでショ?」
「カカシ、アタシは親父様の意図を感じたんだよ、そういう事にしておいておくれ。」
「まあ、実をいうとボク達しか気付いていません。 なので見なかったフリします。」
「そうしとくれ。 ・・・・・・アンタ達のイルカは、ホント能天気でイイね。」

アズサが細工モノ好きの理由は、元の物に人の感性が加わり、全く違う物に生まれ変わるから、らしい。
奏宴の里長が言ってた。 好きな者が持つことにより、その価値は上がると。 それは少し分かるヨ。
能天気や動物フェチだと言われても、オレ達の手の中にあるイルカは、オレ達を惹きつけてやまない。
イルカは生き物への情を垂れ流して歩いてる。 その愛情の価値は、オレ達だけが知ってればいいの。

「桔梗様は再び宿り、彫の国は安泰。 綱手姫・・・・ このウズキ、感謝に絶えませんぞ。」
「木の葉に借りを返しただけだ。  シズネ、トントン、せっかくだ、カジノに寄ってくよ!」
「はい、綱手様、お供します!! では皆さん、また。」 「ブー ブー!」

「綱手姫、また負け込んで、木の葉にたくさん借りを作って置いて下さい!」
「必ず貸しは返してもらいマスから。 一杯負けて下さいヨ?」
「綱手様、シズネさん!! 俺達は・・・・ あなたの家族です、いつまでも待っていますから。」
「またそんなセリフを真顔で。 綱手姫、イルカのコレは本心なんだよ、忘れないでやってくれ。」


「ちっ、今度こそ大勝ちしてやる!! 今に見ていろ、猿飛先生っっ!!」
「トントン、見てごらん? 珍しく綱手様が照れてるわね、ふふふ・・・・。」 「ブヒ!」
「お、お黙り、シズネ!! 置いてくよ?!」
「あ、待って下さい、綱手様〜!!」 「ブーーー!!」


本当に。 イルカの言う通り、オレ達はいつでも綱手姫のご帰還を待っていますヨ、きっと三代目もネ。

しまった!! 綱手姫に、オレ達男三人の精子で、子供が作れるか、聞いておくのを忘れたっ!!
いや、あの人なら可能だと思ったんだケド、断言してもらえば、イルカに報告できるじゃない?
里への精子提供とは別に、オレ達の種を掛け合せた赤ん坊。 可能なら、絶対欲しがるから、イルカが。

「親父様はこの機会に、綱手姫達に戻ってもらいたかったのかも・・・ ね。」
「まあ、気長に待てばイイんじゃない? ところでイルカ、帰り温泉寄ってく?」
「調べて来たんですよ、彫の国の国境に、真珠の湯っていう乳白色の天然温泉があるそうですよ?」
「わぁ! 行く、行く!! やった、天然温泉! カピバラ入ってたら更にグッド!!」

「ま、探して見ましょ、カピバラね。 ・・・・って、なに? テンゾウ、知ってる?」
「さあ・・・・・ ミカンか、柚子の類でしょうか。 温泉に入ってるモノだし・・・・。」
「あはははは、カピバラはげっ歯類の一種だよ。 地上最大のネズミで、温泉が好きな生き物さ。」
「「ネズミ?!」」

「アタシは別の依頼があるから、帰りは別行動だよ、よかったなイルカ、楽しんでおいで。」
「はい!  わーい、カピバラと一緒に温泉っ!!」
「「・・・・ネズミ入りの温泉か・・・・。」」