これも運命だと 思えるか 11   @AB CDE FGH IKL M




あの任務の後、帰還した俺を待っていたのは、大きいダンボール箱を担いだこの二人の暗部だった。
箱の中身は全て、内任務の世話人制度依頼書。何千枚もの依頼書、その全てにサインしろと・・・
そんなの、了承できる訳ないだろ? 俺は、まだまだやりたいことがあると言ったんだ。
そうしたら、サインしなくてもいいし、他の任務も受けていい、もっと新しい制度を作るときた・・・

里の上層部を動かす訳だから、交換条件も半端じゃない。というか、もう無茶苦茶だ。
絶対不可能な条件。個人的なわがままは許さない、という上層部の思案が見え隠れしている。

期間指定半年 // S及び特Sランク // 任務数20件 // 報酬額0両 //

それが、『暗部専属世話人制度』発布の交換条件だ。
おもしろがって、賭けの対象にしている連中もいると聞くが、さすがにそれは許せない。



「うみのさ〜ん! そろそろ出発するよぉ〜」
「す、すみません。 お待たせしました。」

キツネ面のアラシ君が、俺を呼びに来た。
巻物ホルダーから、チョロリと札がとび出ているのを見て話しかけている。

「先輩、暗部全員、制度新設するほうに賭けてるんですよ。 分身は無効かもしれないですね・・・」

「賭け?!・・・・暗部まで?!
 ・・・同じ仲間の命をなんだとおもってるんだ!!
 こんなことで・・・暗部は火影直属のエリート集団だろ?!
 他の忍びより遥かに強いんだ、あんた達にしか出来ない事がいっぱいあるだろ?!
 その手で守ってきたものの大きさや、重さを考えたことあるのか?!
 俺だけじゃない、里の民はみんな、あんた達を尊敬しているんだ!
 もしこの人たちに何かあったら、死体にむかって同じことが言えるのか?!
 それで本当にいいのか! 後悔しないのか?! ふう、ふう、ふう、ふう・・・・。」

「・・・・あ〜 ・・・その、困ったなぁ・・・本気で言ってるんだよ・・・・ね?」
「あんた達は・・・そろいもそろって、言葉が通じないのか! 当たり前でしょう?!

「イ、イルカちゃん・・・」
「もうダメ・・・ 早く会いに来てイルカ!」
「先輩、おれも何かわかった気がします・・・・ 世話人対象に混ぜてもらっても・・・」
「おまえサ、 ・・・死にたいの?」
「駄目に決まってる。ボクらの専属だよ?」
「ヤダなぁ・・・ 言ってみただけじゃないですか・・・・・・・。 ケチ

「人が真剣に話してるのに・・・もういいです! 出発ですよね?! 俺、先に行きますっ!」
「わわわ、うみのさん待って、俺も行くから! 待ってってばぁ〜」

あの二人もそうだけど。 会話のキャッチボールが出来なきゃ、意思の疎通は困難だ。
休憩を入れてもらったおかげで足が軽い。ジン小隊長を先頭に、その後ろをひたすら駆け続ける。
到着の合図が出た時は、もう日が暮れ始めていた。 これでやっと状況確認が出来るよ。
消滅はしていないんだけど・・・・ ピコピコ動いていた札がさっきからおとなしい。


「小隊長、今さらですが・・・状況をお伺いしてもよろしいでしょうか? あの、最初・・・
 まさか同行するとは思わなくて、任務内容は聞かない方がいいと・・・ 申し訳ありません!」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・うみのさん、火影様との話、聞いてなかったとかいう?」
「あらあら・・・ 報われないわねぇ・・・」

ここは花の国の紫の里だ。 貴重な野生の黒紫陽花が群生していることでも知られている。
花の国は小さな国だが、希少価値の高い植物が豊富に採れるため、よく他国に攻め込まれる。
そのたびに木の葉に依頼がくるのだ。 いっそ、火の国の傘下に入ればいいのにと思うけど。
実のところ、そういう国がたくさんあるおかげで、木の葉は潤っているんだよな。
これが複雑な世界の仕組み、というやつだ。

「もう急がなくていいんじゃない? 無事到着したし。」
「・・・ハスナ、話してやれ。」
「はい、これが依頼書よ。・・・ふふ、今度はちゃんと聞いているのよ?」
「・・・・・・・お手数をおかけしましす・・・。」




任務ランク〈S〉
依頼主  〈花の国:国王〉
依頼内容 〈紫の里に侵攻中の敵軍の撃退及び壊滅〉
依頼主希望〈黒紫陽花群生地の確保優先:民の生死は不問〉


     任務報酬 〈無〉
暗部部隊長 戌・猫 両名に申しつける 

 *敵軍に岩隠れ小隊:七隊確認済。注意せよ。  *住民の避難(任意)

            以上、成功を祈る。 三代目 火影



   追記: ◎上記任務遂行中の二名の支援と 同行中忍の護衛を要請

                            猿飛ヒルゼン




暗部の・・・・ 部隊長?! あの二人が?! そうか、どうりで。 桁はずれな訳だ。

それはさておき“追記”って・・・・・。 火影様・・・ この任務依頼書は一体何ですかっ?! 
二人の任務依頼書の写しに、ちょこっと足しただけだろこれ! 秘密保持されてないぞ?!
いくら緊急でも・・・・・・・・・ じっちゃん、アバウトすぎ。