これも運命だと 思えるか 8   @AB CDE FHI JKL M




村長の家に“お礼の品”が続々と送られてきた。
一日を待って、さっそく如月上忍の作戦が開始されたのだ。


「こ、これは・・・ どうしたことだ?!」
「ワシはいらんと、言うたんじゃがの・・・ トウヤの親父さんからじゃ。
 トウヤは、雷の国のさる名家の跡取りらしくてな、息子を助けてくれたお礼にと配達人がやって来てのぅ。
 ワシには必要ないでの。全部、村長宛に届けてもらったのじゃ。」
「そうか・・・ 品のいい律儀な青年だとは思ったが・・・ そういえば、トウヤくんは・・・?」

「おお、そうじゃった! 今朝から、顔色が良くないんじゃ。 今、家で寝ておる。
 ワシのにわか治療じゃから心配になっての、先生に一度ちゃんと見てもらったほうが、ええと思・・・」
「なに!? それは大変だ、すぐに神崎に行かせよう!  神崎、神崎っ!!」


目も眩む様な金銀財宝を見せられれば、欲の皮のつっぱた奴らは大概コロリと騙される。
あれだけの品を一日で用意できるような家の跡取りが、体調を崩したとしたらほおって置く訳がない。

“毒で血液が侵され、心臓を取りかえるしかない状態”を作り出す。 もちろんフェイクだ。
診断するとそう診えるように、如月さんが医療忍術で俺の体に細工した。
俺は高熱にうなされる病人のふりをして待機だ。 すぐに神崎が駆けつけてくるだろう。


「これは・・・毒だ・・・ すでに心臓にまで・・・」
「おおぉ、トウヤ、そんな!! ワシがすぐ先生に見せておればこんなことには・・・!!」
「ハツさんおちついて下さい、大丈夫ですよ。」

「いくら先生でも・・・・ くっ、こんな若者よりワシのほうが生き残るなんて間違いじゃ!
 気付いてやれなんですまんかった、すまんかったのぉ・・・ トウヤや・・・うぅ・・・」
「僕の診療所へ運びます。 ハツさん、大丈夫だから。 必ず僕が助けます。」

“心臓”なら相手は確実にまだ生きているだろう。 俺は計画通り“移植手術を受ける”事になりそうだ。
神崎は必要な臓器を調達するべく動くと思われるので、その動向を見極めればいい。
どこにさらった人たちを監禁しているのか、何人ぐらい生きているのか・・・ それさえわかれば。


「トウヤくんの血液は・・・・ O型だね。  おい!  誰か亮二を呼んできてくれ!」
「はい、わかりました亮二さんですね?」
「念のために、タモツも連れて来てほしい。」
「亮二さんとタモツさんですね、すぐに呼んできます。」
「じゃぁ、トウヤくん。 少し眠ろうか、目が覚めると治っているからね?」

神崎はそう言って俺に麻酔注射を打った。 ・・・残念ながら、そんな量の麻酔じゃ忍者は眠らないけど。

それにしても・・・神崎自身が動くことはないと思っていたが、手駒がそんなにいるのか・・・
2人が動くとなると、暗部がそれぞれについて行くだろうから、こっちの守りが手薄になるな。
まぁ、その時は如月さんが変化をといて乗り込んできてくれるだろうから、やっぱり心配はない。

「やあ、亮二くんにタモツくん。 調子はどうだい?」
「せんせい、ボク達の定期検診が早まったて聞いて来たよ。」
「そうなんだ、来月の予定がもう一杯でね。急で悪いんだけど早めに診ておこうと思ってね。」

「先生がそうやって僕達をいつも無料で検査してくれるから、みんな重い病気にかかった事がないんだ。
 感謝こそすれ、悪いなんてとんでもないよ!こっちからお願いするよ。」
「ははは、ありがとう。じゃぁ、いつものように横になっててくれるかい? ちょっと、眠くなるよ?」

神崎の手先だと思った村の若者は、俺と同じように麻酔で眠らされた。
という事は患者か? 三人を同時に手術する・・・・ のか?? そんな事考えられない・・・・

〜みんな重い病気にかかった事がないんだ〜 病気にかかった事がないだって?  ・・・そうか!
俺たち忍びの鼻は、もちろん死臭を嗅ぎ分ける。死期の近い病人からは独特の死臭がするものだ。
それに診療所や病院は、必ずどこかで死臭がする。 なのにあそこには全然なかった!!
如月さんも俺も何か足りない気がしていたのは“臭い”だ・・・・・ だったら・・・・・ まさか。


「うみのっ!! そこを動くんじゃないわよっ!!」
「な、何だ、お前は!! どこから入ってきた?!」

「神隠しの訴え、木の葉の里にあり。 上忍如月、火影命令により潜入、真相究明に至る。
 大名橘・村長倉持・医師神崎、またそれに加担した者全て、すみやかに処分する。 ・・・お命頂きます。」

俺が気付いたと同時に、如月さんが手術室に飛び込んできた。
彼女も、俺と同じ確証を持ったからだろう、監禁場所なんてはじめからないと。
この村自体がそうなのだ。 多分ここにいる村人たち全員が拉致された被害者。

大名“橘”には新興の隠れ里がついているらしいから、皆に高等な記憶操作を施しているんだろう。
被害者のいどころが判明すれば、あとはもう、こいつら罪人に用はない。

ワシより若いが、お前さんには死んでもらうよ?
「その声は・・・・!! まさか・・・・・・ おまえは・・・・・ がっ!!」

チャクラの糸で絡めとられていた神崎は、何か言う間もなく、彼女の糸で細切れにされた。
さあ、村の人たちを元に戻して解放してあげよう。 俺たちの任務はそこまでだ。

暗部二人は、大名 橘についている新興の忍びの里を、もう潰しに向かってるそうだ。
同時進行?! うわー やっぱり・・・・ いつ繋ぎをとっているのか、まるでわからない。
俺がわからないというより、暗部と如月さんが、凄すぎるだけなんじゃないのか??

“お命頂きます” ・・・・だもん!!  如月さんかっこよかったなあ! ・・・・・だけども。
ここまで持ってくるほど気に入ったんですか? その懐にしまってある木彫りのワンコ。 上忍って謎だ。