これも運命だと 思えるか 13   @AB CDE FGH IJK M




「猿飛、おぬし正気か!?」
「猿、何を考えておる?!」

火影室に上層部代表、ご意見番の怒声が響いた。
二代目火影の弟子・スリーマンセル扉間班だった、ホムラさまとコハルさまだ。

三代目が、世話人制度 特例 暗部専属世話人制度の公布を決定した。
俺から申し出ようと思っていたのに、火影様はちゃんとその気持ちを汲んで下さった。
いわく、『任務完了の報告書は ちゃんと、期限以内に受理されておる』 だそうだ。

サラサラと筆が走る。 そこには俺たち三人の名前と、三代目のサイン、血判。
“今までの無料任務報酬分を全額返却”や“制度の継続は任意で無期限”というような内容。

「・・・こ奴らは今迄、本当の意味で他人を信じたことがないんじゃ。
 任務は完璧にこなすし、身内も助けるが、自分自身を大切にしようという気がない。
 自分は任務の為、木の葉の為にいつ死んでもいい、という濁った眼をしておった。
 ワシに、何かを欲しいと言うた事もない。ましてや、他人の作ったものを口にする事もな・・・。
 イルカよ、おぬし自身は気づいておらんがの。 “これは絶対自分を裏切らない”という雰囲気。
 確信に近い安心感を他人に与える。 それはおぬしが、仲間を同じように信じておるからじゃ。
 ワシは里の全ての忍びが安心して生活できる場を、作ってやりたいと思おておる。
 どの忍びもワシの大切な子供たちじゃ。 子の幸せを思わん親はこの世にはおらぬよ。
 この、一癖も二癖もある、暗部部隊長どもを・・・・ 宜しくサポートしてやってくれ。」

「三代目・・・・・・」
「ありがとうございます。」
「はいっ! お二人の生活ケア、中忍うみのイルカ、謹んでお受けいたします!」



すると火影室の扉が開き、よく知った声が聞こえてきた。 潜入部隊のエキスパート、如月上忍だ。
火影室に直接任務報告に来たということは、どこかの潜入任務を完了させて帰ってきたんだろう。


「お取り込み中、失礼しま・・・ あ!」
「や! ひさしぶり。」
「どうも。」
「カカシさん、テンゾウさん、お久しぶりです。」
「やっと、ボク達専属に出来ました。」
「三代目に、血判書まで書いてもらえたんだーヨ。」

「それはよかったですね。 専属世話人騒動は上忍の間で凄い話題になっていますよ?
 はじめはあたし・・・・ 暗部はうみのを殺すかもしれない、って心配してたんです。」
「うん。それは考えた。 本能というかサ・・・ コレは近づいたらヤバイぞ、ってネ。」
「でも、現場であなた達のやり取り見てたら・・・ なんかこう・・・・ ねえ、先輩?」


え。 ・・・な・・・に? ・・・お、俺?? 殺・・・ えーーー!!  なんでー?!


「でも、あんな風に殺してくれるんだったら、そばに置いておきたい、って思ったの。」
「ボクもあの時一緒でしたからね・・・正直、先輩の役どころが羨ましかったですよ。」
「じゃが、もう死にたいとはおもわんじゃろう?」

「怪我をしたら、イルカちゃんが痛いそうです。」
「死んじゃったら、イルカのご飯食べられない。」
「そうじゃよ。 やっと気付きおったの?」


誰が??誰を殺したって!?  ぎゃー! 知らないうちに、なんかやらかしてたの、俺?!


「もう! うみの煩い! あんたさっきから全部、声に出てんのよ!」〈ペチッ!〉
「って!・・・あの・・・ す、すみません! えっと・・・まず、ご飯食べたなぁ、 あと、直訴して・・・
 でもって・・・・ えっと・・・ 俺、お二人とは、任務であんまり絡んでなかったですよ・・・ ね?」
「「・・・・・・・・・・・・。」」

「はぁ。 きゃっぱり気づいてなかったか。 もう時効だから教えてあげる。 火影様、いいですよね?
 あんたが看取った《和樹くん》は、カカシさんの影分身。
 彼といつも一緒だった《木彫りの犬の人形》がテンゾウさんの木遁分身。
 《飴》はあたしからの繋ぎの言霊。 袋から出せば報告と同時に消滅するの。
 もちろん家にあった《木彫りの犬の人形》も、テンゾウさんの木遁分身。
 ちなみに、あの親父さんには子供なんていないわ、カカシさんが瞳術で暗示をかけてたの。
 《太助》はキーワード。 《たすけ》は《助け》のこと。 援護が必要かどうか確認をしただけよ。」



「・・・・・え゛−−−−−っ?!


「まったく欠片も気付いてなかったのね、うみの・・・・・」
「ド天然だもん。」
「鈍感ですからね。」
「・・・・・敵を欺くには味方から。 ほほほ、潜入の基本じゃて。」