これも運命だと 思えるか 5
@AB
CEF
GHI
JKL
M
「おはようございます、如月さん。 ご飯作っておきましたよ。」
「・・・・はよ・・・ っつ! まさか!! あたしも寝てた?」
「ええ、そりゃグッスリと。 仕方ないですよ、一人で先に潜入してたら疲れもしますって。」
「ありえない・・・ 警戒心なさすぎでしょ・・・ だから嫌なのよ、あんたと組むのは!」
「お、俺そこまで命知らずじゃないです! 上忍をどうかするなんて考えたことも・・・〈バキッ!〉どわっ!!」
「この、天然馬鹿うみの!!」
手の早いところも、如月上忍は死んだ母ちゃんにそっくりだ。
あんなぐっすり寝てたのは、そうとう疲れがたまっていた証拠だよ。
なんだかんだ言っても如月さんは、俺をちゃんと信用してくれているらしい。 よかった。
「敵に襲われてたら、二人とも死んでたって意味よ・・・・ それぐらい分かりなさい。」
「?? 今回、フォーマンセルですよね? あとの二人が見張ってくれてるんでしょ? どこからか。」
「そうよ。 ・・・・・・言い忘れてたけどもう二人は“顔なし”よ。」
「え?! じゃあ、なおさら心配ないじゃないですかっ!」
「・・・・・・・・・・。 ふう。 あんたとは、やっぱり平行線ね。」
“顔なし”とはコード名で、任務に暗部がつくことをいう。こちらから繋ぎをとり協力を仰ぐ。
ちなみに“顔あり”は、暗部の任務にこちらが同行するとき。 暗部がすべて仕切る。
“顔あり”は何度か経験したけど・・・ “顔なし”は初めての経験だ。
なにしろ繋ぎをとるという事は、どこかにいる暗部を感知できないとダメだから。 中忍には絶対無理!
「繋ぎってどうするんですか? 暗部のチャクラを感知するなんて・・・・ 俺・・・ 」
「何言ってるの、感知できるわけないじゃない。 暗部よ? 頃合いを見てあっちから接触してくるの。」
「でもそれに気付かなくちゃ協力してもらえないんですよね? ・・・如月さんは、やっぱり凄いや。」
「・・・・・。 いつも何処かにいる訳だから、呼べば速攻出てくるかもよ? んな訳な・・・ い?!」
「ほんとですかっ!? 暗部さ〜ん!! 」
呼びかければ来てくれるなんて! “顔なし”の暗部はまるでヒーローだよ!
“顔あり”の時の暗部は結構トゲトゲして、冷徹って感じだったけど。
トゲトゲしてようが、冷徹だろうが、そりゃ、出来ればヒーローのほうがいいけど・・・
火影様直属の部隊だからこそ、俺は暗部を全面的に信頼しているんだ。
「えっと、こういう時は・・・なんて言うんでしたっけ? ジャ、ジャーン! ・・・とか?」
「お前、アドリブ弱いね・・・ や! どうもどうも〜 “顔なし”暗部でーす!」
「うそでしょっ?! ちょ、何出てきてるんですか! あの繋ぎ、意味ないでしょ?!」
「わっ!! ホントに来てくれた!! ・・・え、もう繋ぎとってあったんですか? さすがですね!」
「そうだ! 朝ごはん、みんなで食べませんか? たくさん作りましたから。」
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
「・・・・バカうみの。」
これ結構、凄い構図だな。 お婆ちゃんと、面をかぶった黒ずくめの男2人と、学生。
暗部の二人は、口だけ出して食べてるし、婆ちゃんに至っては、ガツガツと年寄りらしくない。
今この図を誰かが見たら、裸足で逃げ出しそうな・・・ 実に不気味な朝食風景だ。
・・・・想像したらついおかしくなって、笑ってしまった。
「ぶっ! 変すぎるこの朝食風景!!」
「ほんとだね! こんなのだれかが見たら・・・クククッ!」
「あははは! オレも同じこと考えてた! 不気味だろうな〜って。」
「・・・・・あたしも。 ・・・モグモグ・・・」
監禁場所がどこかにあるかもしれないという事は、まだ生きている人がいる可能性がある。
もしそうなら、一人でも多く助けたい。 一刻も早く真相を突き止めろってことだ。
じっちゃんもきっとそう思ってるからこその、今回のフォーマンセルだと思う。
4人のうち、2人が暗部なんて・・・ 火影様の憤りと怒りを感じるよ。
ところで。 ・・・絶対、変化してるの忘れてるな・・・ 如月さん。 口の横、お弁当つけてる。
「お弁当付けてますよ、お婆ちゃん?」〈ヒョイ、パクッ、モグモグ・・・ ゴックン。〉
「!!§☆×・・・ΘΨΣ!!!」
「・・・・・。」
「・・・・・天然?」
「もういゃぁ〜っっ!!!」
「如月上忍、もっと叫んでも大丈夫ですよ? 結界張ってますから。もぐもぐ・・・」
「こいつの結界完璧だから。 少々暴れてもいいヨ? ・・・モグモグ。」
「そうなんですか?!如月さんが暴れても大丈夫・・・ 凄いです! さすが暗部!!」
「火影様、あたし・・・・・ マンセル抜けてもいいですか?」
如月さん、よっぽど疲れてたんだろうな。めずらしくナーバスになってる・・・・
“女性だから飯炊き係”なんて、俺は考えたこともない。 朝ごはん作っといてよかった。
特に任務中は、中忍が作ったほうが上忍の負担が少なくて済むに決まってるもん。
そういえば、今医者の所に誰か来てる・・・ みたいなことを、昨日のおやじさん言ってたよな?
うまくいけば、利用できるかもしれない。 まあ、如月さんの事だ、もう何か考えてあると思うけど。
まだ救える命があるかもしれない。 何が起こっているのか、突き止めてやる。
俺に出来ることは、何だってやろう。 任せといて、じっちゃん。