これも運命だと 思えるか 2
@BC
DEF
GHI
JKL
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「全員無事な姿を必ずワシに、見せに来る事。 散!」
三代目の号令を受け、俺たちは捜索に出た。
目的地はどこだとか、どんな状況なのか聞きたい事はたくさんあったけど、
俺はひたすら足を引っ張らないようについて行くだけでやっとだ。
里を出て、3つぐらい森を抜けたところで、小隊長から合図があった。
この先の小川の近くで、休憩をとるらしい。正直助かった。
きっと、俺に合わせて、これでもスピード落としてくれてたんだよな。
エリート集団に入るのは、夢のまた夢。こんなところで実感した。
あの二人とは、任務で一緒になっただけで、行動を共にしたわけじゃなかったからな。
先輩とか何とか言ってたから、ここにいる人たちよりさらに凄いんだ・・・
Sランクや特Sランクなんて、実際にあると思わなかったし。
〈ぅう〜、想像もつかない。どんだけ強いんだ?〉
「カカシ先輩の事? テンゾウ先輩の事??」
キツネの面をかぶったまだ若そうな声の青年が、俺のかすかなつぶやきに答えた。
え・・・今のが聞こえた? ほとんどウィスパーボイスだぞ? 暗部って、みんなこうなのか??
「アハハハ、聞こえたと思った? 読唇しただけだよ。」
「くすくす、うみの中忍はすぐ顔に出るのね。 ふふっ。」
「・・・わかりやすいな。」
「・・・・。」
兎の面の女性はおちついた声から判断すると俺よりは年上かも。
虎の面の小隊長はちょっとぶっきらぼうに答えてるけど、きっと優しい人だ。
「話変わりますけど、小隊長、俺にスピード合わせて下さって、有難うございました。この休憩も。」
「・・・いや ・・・別に。 ・・・お前はあの二人の世話人だからな。」
「おや?ジンさん、ひょとして照れてる?」
「ふふ。顔だけじゃなく、思ったこともすぐ口にするのね? うちの子みたい。」
年上だと思ったけど、子供がいるとは思わなかった。
俺と同じ事を思っているキツネ面が、始めて知ったらしい事実に驚いていた。
へー、ハスナさん子供いるの? ちょー見えなーい!・・・なんて驚き方は、やっぱり年下だ。
「読唇術が得意の新人、アラシ君は・・・16才だっけ?
息子は永遠に6歳のまま。そうね・・・生きてれば12歳だわ。 ふふっ。」
「もう そんな前か・・・」
「・・・・・。」
16才で暗部・・・キツネ面のアラシ君は、俺の二つ下か。
てか今、サラッと驚愕な事を言わなかったか?“生きてれば”だって??
アラシ君は、息子になってあげようかと場違いな提案をして、小隊長に頭を叩かれていた。
彼女はもっと可愛げがあればねと、さほど痛くはないだろうアラシ君の頭をなでている。
逆算すると、このハスナと呼ばれた兎面の女性は、6年前に子供を亡くしたのか!
こんなに穏やかな雰囲気で話せる内容じゃないはずだ。
ここまでなるのに、どんな思いを乗り越えてきたんだろう?
ハスナさんの心の強さがひしひしと伝わってくる。
「・・・・。」
「あら、やだ。うみの中忍ったら・・・。」
「うみのさん・・・ ほんとに中忍?」
「???」
すみません、顔洗ってきますと、俺は小川に向かって歩き出した。
3人から注目を浴びてやっと、俺は自分が涙を流してる事に気づいた。
なにやってんだ、俺は! 俺が泣いたってハスナさんの子供が戻ってくるわけじゃない!
そう感じさせないようにと、今も失望感と戦っているハスナさんに、失礼だろ!
「・・・部隊長たちが、そばに置きたがるのが、わかるわ〜。」
「え〜、おれヤダ。 すぐ死んじゃいそうだもん、あのヒト。」
「お前には、わからないだろうな。」
「カカシとテンゾウは本気だ。怪我でもさせたら、確実に殺される。」
「・・・おれ、うみのさん呼んでこ〜よおっと。 雷遁も木遁も食らいたくないし〜。」
「そうね、出発しましょ。部隊長たちに貸しを作るチャンスだわ。」
バシャバシャ顔を洗ってたら、巻物ホルダーがまたプルプル震えだした。
パチリと開け覗いてみると、ヒソヒソと話声がして来た。
「イルカちゃん、さっそくコマしてますね、先輩。」
「・・・まったく、天然だから仕方ないけどネー?」
紙札二枚が謎な事を話しているという緊張感の欠片もないその姿に、思わずガクリとうな垂れる。
この二人はなんで・・・幾度となく自問自答したが、まったく理解に苦しむ。
メンタル面も含み生活ケアで、里側から内任務として中忍に割り当てられる世話人制度は、
特別上忍以上になると、任意で受けられる。 上忍達はテリトリーに入られる事を極端に嫌うので、
ほとんどの忍びが、この制度を知っていても、利用はしない。 ましてや・・・・・
無期限で専属なんて聞いた事がないよ。 しかも二人に同一人物をあてるとは前代未聞。
「とにかく、ご無理はなさらないで下さいね? 今そっちに向かってますから。」
「うっ! コマされた。・・・この天然石清水チャクラめ。」
「・・・ボクもです。水溶液チャクラにコマされました。」
また訳のわからない事を。 どうもチャクラの相性がイイらしく、やたらとかまいたがるみたいだ。
Sランクをバンバンこなすほど優秀な二人に・・・・ 世話人制度なんてほんとに必要なのか?
命がけでチャクラクリーニング・・・ かどうかは分からないが。 それをしたいものなのかな??
そんなことを、ツラツラ考えながら、この二人の暗部と一緒だった任務を思い出していた。