受付忍の心得 6   @AB CDF GHI JKL MNO




・・・・・へー。 やっぱり海野中忍の事だったんだな。 受付所に配属の前は、潜入員だったのか。
どうりで。 任務受付所に配属される忍びは、皆、なんとなくフレンドリーな忍びが多いんだよ。
おれも含めてだけど、一般人にビビられちゃう様な、いかにも忍び風っていうのはマズイからなー。

中でも親しみやすさでいくと海野中忍は群を抜いてる。 忍びっぽさを点数で表すなら0に近い。
なるほど、元潜入員なら納得。 味方にバレる様では、敵にすぐバレてしまうのがオチだもんな。
おれが言うのもおかしいけど、こんなに忍びらしくない忍びなら、そのまま潜入員として・・・・・??

そうだよな、何か理由がある。 時には里外任務も受けるけど、ほぼ任務受付所に居るんだから。
・・・・面が割れるほど派手に何かをやらかしたとか。 ヤバイ忍びを敵に回して目をつけられてるとか。
潜入部隊は暗部と同じで、同胞であっても誰がそうなのか、探っちゃいけない事になってる。
知ってても里内であったら知らん顔、というのが暗黙のルール。 当然、潜入員の身の安全の為だ。



「相当長いお付き合いなんですね・・・・・ その恋人さん達は。」
「ウ〜ン 知り合った年月で言うとそうなるけどネー。」
「最初はこのくそガキッ! って思ったらしいですよ?」
「あははは! 時効、時効! 忍びは騙された方が負け!」

「「むー! チューしちゃるっ!!」」
「わわわ・・・・ んん・・・ ちょ・・・・ と・・・・ んん・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・。 」

もしもーし! 何かお忘れじゃないですかお三方?! あの、もう帰ってもいいんでしょうかね、おれ・・・・
いや、今帰ったら間違いなくネチネチと虐められるよ。 そんでこの後、ここはピンク空間に早変わりだ。
疲れて帰ってきて早く報告書を提出したい忍び達に、そんな空間を感知させる訳にはいかないっ!
任務受付所に配属になった者として、帰還してくる同胞の為に、おれはこの空間を守る義務があるっ!

「コホン! という事は、お付き合いに至ったのは最近の話なんですね?」
「「「うん、そう!」」」
「それはそれは・・・・ (三重奏かよっ! ・・・・ってツッコみたいっ! けど無理っ!!) 」

「じゃ、じゃぁ心配ですよね? 誰に水を差されるか分からな・・・・」
「「メバル中忍っ!! なんて話の分かる男なんだっ!!」」
「くすくす! メバルは痒い所に手が届く男、って呼ばれてるんですよ? 当然です。」
「「おー!! なんてピッタリな表現っ!」」
「そ・・・・・ そうなんですか? そんな風に呼ばれてたのか・・・・ ははは、照れちゃうなぁ!」

よ、よかった・・・ 邪魔しても怒られなかったよ。 しかし。 そんな呼ばれ方をしていたとは驚きだ。
暗部の部隊長や元潜入員に、そんな風に言ってもらうと・・・・ めちゃめちゃ嬉しいじゃないかっ!
さっき舌入れそうになってましたよね? とか。 そんな些細な事はもう頭から無くなったぞ?



・・・はっ?! 乗せられてる・・・ 乗せられちゃってるよおれ! 恐るべし潜入員の話術だ!
受付忍の弱点はヨイショ。 人を褒めてばかりいるから、褒められると妙に嬉しいんだよ、実際・・・・。

いや、でももしこんな感じで巣に行ってたら、かなりと言うか、思いっきり邪魔だっただろうな。
もしかして、市井で目立ちすぎて、木の葉が拠点にしてる巣の存在すら怪しまれる、なんて事に??
他の潜入員の邪魔も・・・・? あれ?? でも恋人になったのは最近だ、って言わなかったか?

バレバレで潜入任務の邪魔になるから、っていうんじゃないみたいだな。 三代目との誓約・・・ か。

なんとなくだけど、この野郎三人組が不憫にさえ思えてきた。 里内での恋愛は自由なはずだ。
そうだろう? なのに三代目と誓約がある為に公言できないなんて。 こんなにラブい恋人達なのに。
わざわざ他人と置き換えておれに打ち明けるしか、虫よけ方法がないのか・・・・ ウザいけど不憫だ。



「それまではもう、超ウルトラ大活躍してたのヨ、チームとしてネー。」
「は?? ・・・・チーム??」
「ええ、彼は暗部の部隊長を見事に騙しましたからね、即潜入員となりました。」

「間者にはもってこいの、感知できないほど上手くチャクラを隠す奴がいたとする。」
「で、もちろん囮は常時、火の国の花街のとあるお店で客引きをしてるんだ。」
「そこへチョロそうな暗部が難癖をつけると、腕に自信があるヤツはすぐかかってくるんだよネ。」

「あはは! チョロそうな暗部隊員のフリを・・・・ するんですか??」
「そうそう、こいつらぐらいなら俺でも余裕で狩れる、みたいなチャラい暗部にね。」
「面白いぐらい引っかかるのヨ、そういうヤツってサ。 玩具は頂いた、みたいな。」

「お、玩具・・・・・・?」
「その元潜入員の囮の事で、二人の暗部のお気に入りの玩具。 最高のチームワークv」
「・・・・へ、へー・・・・・。 (それって・・・・ 俗にいう、美人局というやつじゃ・・・・) 」



・・・・うへー あぶり出し成功率100%?! その内の八割ほどが他里からの間者・・・・ って。
めちゃ優秀な美人局チームじゃないですか、それ!! よく情報分析部が手放す気になったな・・・・。
そうなんだよな、潜入部隊と情報分析部は切っても切れない。 それだけ重宝するチームなら・・・・ ん?

・・・・・・・。 おれ、さっき思った。 こんな潜入員なら、まだ現役でバリバリいけるのに、って。
・・・・・・・・あー だからか。 優秀なチームを解体する事になるから・・・・ 他言無用、なのか。
全部、海野中忍の身の安全の為なのか。 三代目との誓約・・・ 海野中忍を守り通せ、なのかも。

例え引退して内勤になっても、それだけの成果を上げてた潜入員なら、面が割れた可能性がある。
こうやってウザいぐらいくっついてるのも、常に海野中忍を守ってあげてるのかもな・・・・。