受付忍の心得 7
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三代目や四代目が言ってた。 もし木の葉が隠れ里として機能しなくなったら国中の民が飢える、って。
里が九尾に襲われて、ミナト先生とクシナさんは九尾から里を守る為に命を落とした。 民を守る為に。
だから思ったんだヨ。 国を守る隠れ里としての力が弱まると、まずシワ寄せは最下層にいく。
国中の人を守る事なんてできないケド、一番悲惨な思いをするのは一般人の弱者なんだネ、って。
オレ達と同じ様な年頃の子。 親は死んだの? 力のない弱者はこうして食べていくしかないからネ・・・・
なんて、ちょこっと同情しちゃったのヨ。 そしたらヤツは、潜入部隊に配属希望の木の葉の下忍。
あのクソガキッ! なーにが“親方にぶたれる”だ! 人が珍しく親切心を起こしたらバカをみた。
オレはともかくサ。 可哀そうに、ついこの前部隊長を拝命したばかりのテンゾウは、ヘコんでたヨ。
“ボクがペーペーの部隊長だから、騙しやすいとターゲットにされたんでしょうか?” とか言ってネ。
オレも騙されたんだから気にするな、きっとアズサとカオルも騙されたヨ、とフォローはしといたケド。
アイツらはオレ達よりシビアだから、“この子の境遇を変えてあげよう”なんて露程も思わないよネ。
“買ってやるのがお前の為か。 なら買ってやる。 ・・・・部下達にも紹介してやろうか、稼げるぞ?”
とかネ。 猿部隊のカオルなら、普通に言いそう。 文字通りにとって、その子の為だと思っちゃう。
それはまだいい、猿部隊の隊員達に虐められるぐらいで済む。 でもアズサはもっと最悪だーヨ。
“その親方はどこにいるんだい? アンタには悪いがアタシはそういうヤツが大嫌いなのさ”
とか言って、とっとといもしない親方を探しに出かけ、怪しい組織の元締めを片っ端から狩ったかも。
そうなっちゃったら、本当にそれで生計を立てている子ら全員を、路頭に迷わす羽目になるヨ。
アイツらは、騙されたら騒ぎを大きくするダケ。 オレ達は三代目に報告したからマシ。 でショ?
“目くそ鼻くそだけど、そう言われればちょっとだけマシな気がします”と、立ち直ったテンゾウ。
でも。 なかなかどうして。 冷静に考えてみれば、このクソガキはなんて度胸のある下忍なの。
思わずクスリと笑みを漏らしたら、やっと気分が浮上したからか、テンゾウも同じ様に笑ってた。
「君、面白いね。 その度胸は買うよ。 ・・・・・っぷっ! あははは! 騙されちゃったな!」
「クスッ! ネー? せっかく木の葉に来たんだから、この子だけでも助けよう、って思ったヨ?」
「俺、感動しましたっ! 木の葉の暗部の部隊長はもの凄く立派だ、って!」
「フフフ、そうなんだ? 感動してくれてたの?」
「あはは! いい感じに騙されてよかったです。」
「うへー?! そんなに他の人だと危険だったんですか? 俺・・・・・」
「ウン。 中でも猿部隊と酉部隊の部隊長だったらピンチだったヨ?」
「そうです、ボク達二人でラッキーでしたよ? えーっと君は・・・・」
「イルカッ! 海野イルカですっ! あっ! あの・・・・ 騙してごめんなさいっ!!」
「クスクス! 暗部戌部隊部隊長 カカシだヨ、ヨロシクー!」
「ボクは先日、猫部隊長を引き継いだばかりのテンゾウです。」
「ほほほ! こりゃ、ワシも認めざるを得んな。 イルカ、潜入部隊に配属じゃ。 精進せよ。」
「?! やったっ! じっちゃん、ありがとうっ! カカシさんとテンゾウさんもありがとうっ!!」
「「騙されただけで何もしてないけどね。」」
「それでもっ! 騙されてくれてたのがお二人でよかった!! ありがとうございますっ!!」
「「くすくす。」」
不思議と腹が立たないのはどうしてかな? なんとなくだケド、イイ潜入員になりそうな気がする。
だってオレ達二人が騙されちゃったもんネ。 あの弱々しいウソ泣きと、目に一杯たまった涙にサ。
四代目、クシナさん。 生前、忍びはただ力任せに戦うばかりが能じゃない、と言いましたよネ?
こうやって色んな特技がある忍びがたくさんいれば、人材の宝庫だと言われる時代が来るかも。
・・・・・ま、ウソ泣きが特技かどうかは別として、忍びらしくない忍びは重宝すると思うヨ。
海野イルカ、14歳下忍。 面白い忍びに育ちましたネ、三代目。 海野・・・・ うみの??
・・・・超シビアな、あの海野夫妻の・・・ 息子っち?! あの親にしてこの子あり、だネ。
おしどり夫婦ならぬ押し売り夫婦・・・・・ ガンガン自分から任務をぶんどってきてた海野夫妻。
有無も言わさず任務を依頼させる海野夫妻の子は、騙し上手なお子に育ってしまったのネ? まいった!
そういや、あれだけ強引に任務をもぎ取って来てた割に、苦情もあんまりなかったっけ・・・・・
押し売っても恨まれない、騙されても腹が立たない、これって・・・・ 海野家に伝わる血継限界なの??