受付忍の心得 8   @AB CDE FHI JKL MNO




それが血継限界ならぜひその血は残すべきですよ! ・・・・なんて冗談、言おうものなら、虐め決定。
なるほど、人に恨まれないのは一種の才能と言われれば、そのような気も。 ウソ泣きは立派な特技。
その特技を活かせる部隊へ配属を希望した木の葉の下忍、ですよね。 徳っちゃ徳ですよ、それ。
実際に忍術を使って見せなければ、忍びだとは思えない風貌も。 ・・・・・これ、褒めてるぞ?




でも、そうか。 今さっきお三方が言った“大活躍してた”という男版美人局チームの引退条件。
そこまで優秀なあぶり出しチームを解体させるのは情報部にとって、いや、木の葉にとって不利。
引退しても、もしもの時を考えるなら、いつでもそのチームを使えるようにしておきたいはずだ。

ひょっとして三代目は上層部と協議なんてしなかったかも。 大義名分を作る為に誓約させただけ、とか?
チームは“なかなか尻尾がつかめない怪しい奴”の為の切り札として、確保しておくべきだ、とか言って。
潜入員の身柄の保護という名目なら、里内で三人一緒に居ても上層部は茶々を入れられないだろうし。



三代目とこの三人の間だけで交わされた誓約なのかもな。 利害の一致、暗黙の了解・・・・ な訳だ。
多分、引退とは名ばかり。 実際には里内待機の切り札チームとして健在なんだ、出番がないだけで。
あー ・・・・・これもまた容易に想像できてしまうところが、おれのヨイショ評価に繋がるポイント。

“まさか引退したチームに頼るほど、木の葉の現役潜入員は頼りなくないよね?” とか。
“木の葉の潜入部隊は優秀、退いたチームを呼ぶのは潜入部隊の名折れでショ?” とかな。
そんな事を真剣なおめ目で言われた日にゃ、潜入員の面々は応援なんて頼めるはずがない。 だろう?
今日の昼間のイナダ上忍の様に、潜入員が出入りするそこかしこの巣で、牽制しまくったんだろうな・・・・

「優秀なあぶり出しチームの引退は、そのお三方が恋愛関係になったから、なんですね・・・・」
「「「うん、そうっ!」」
「・・・・・・息ピッタリの三人組なんですねー ははははー ・・・・・・。」
「「「へへへwww」」」

・・・・・そんな風にニコニコしちゃって。 一応、知り合いの話って事になってるんですよ?
まるで懐かしい思い出話になってるじゃないですか、当事者達の。 なんですか、へへへ、って!
ずっと使っていた、“知り合いの恋人達はね?”という言葉が、さっきからごっそり抜け落ちてます。
“自分達は言ってません 相手がそう思っただけです”という言い訳が、それじゃ通用しませんよ?



「花街で見かけてネー アレ? って思ったのがきっかけ。」
「なんでこんなとこにいるのかな、って吃驚したんですよ。」
「思えば、最初から何かと縁があったんですよね・・・・ あはは!」
「「ねー?」」

「・・・・・・ほぉー。」

だから。 そんな仲良くハモらないの! その恋人達が、とか。 知り合いの、とかが抜けてますって!
めっちゃいい男二人が、これまた野郎の顔を覗き込んで“ねーv”っていうのは、やめてもらえます?
まあ・・・・ おれは自他共に認める察しのいい男、だから。 心でツッコむだけにしておきます。



九尾襲来から二年間は、里の忍びは休む暇なくバタバタと忙しかった。 暗部に至っては暗躍しまくり。
里は二年という短期間で、火の国の隠れ里としての機能を復活させた。 そりゃ息抜きもしたくなる。
というか、それまでは遊んでる暇なんてなかっただろうなぁ、特に・・・・ 部隊長ともなれば尚更だ。

海野中忍は・・・・ じゃなくて当時の海野下忍は待望の現場デビューを果たし、売り者に扮し花街へ。
そして、やっと息抜きに来れたカカシさんとテンゾウさんが、そこで海野中忍を発見したのか・・・・。

うん、あれだけインパクトある出会いなら、意気投合もするよな、しかも現場ですぐに再開ときた。
ははは、確かに縁ですね、それは。 あと、落ち着いてきた時期、というのも関係してるかな。

九尾襲来に乗じて、間者が国内に入り込んでしまう事は分かっていても、どうしようもなかった。

何事も、アフターケアが大切。 起こってしまった事はどう頑張っても変えられない。 でも・・・・
これから起こる事ならまだ防げるだろう? 里はようやく、間者のあぶり出しに着手出来たんだ。



確たる証拠がないのに民間人に扮している間者を狩る事は、木の葉の威厳を損なわせる元となる。
だってそうだろう? ターゲットを間違える様な里に暗殺依頼をしたいと思うか? 思う訳ないよな。
忍びの隠れ里が暗殺依頼を請け負っているのは、はっきり言って依頼人に罪悪感を負わせない為だ。

おれ達忍びは、一人殺すのも二人殺すのも一緒だから。 なのに余計な罪悪感を負わせる羽目になる。
一部の金持ちのエゴや戦闘を除いて、人を殺してくれという依頼は、よっぽどの事情がある場合が多い。
木の葉に頼んだら無関係の者を暗殺した、そうなれば依頼人は、善人殺しの罪悪感に苛まれるだけだ。



的確に間者をあぶり出し速やかに狩れるなら、例え階級が遥か上であっても任務協力させるだろう。
木の葉隠れが九尾襲来で動きが取れない、なんて。 これはもう他里にしてみたら最大のチャンスだ。
ここぞとばかりに間者や草が入国する。 あぶり出しがその後的確だったから、安定した今があるんだ。

九尾襲来後から二年間の間に火の国に入国した間者の数が一体どれ位なのか、おれには想像もつかない。


「その時の再会がきっかけで、男版美人局のチームの形が確立したんですね・・・・」
「やっと遊べるー とか思って遊びに行ったら・・・・ ネ?」
「そうそう、見事に怪しそうな奴が引っかかる寸前だった。」

「暗部の乱入があるなんて予想しなかったです・・・・ と言ってました。 彼が。」
「・・・・・あ、そうですか。 その元潜入員さんですね?」
「「あ、そうそう、その恋人達がvv」」

おお! さすが海野中忍。 やっと思い出しましたね? そうですよ。 お三方、それでいいんです。
今はおれしかいませんけど、壁に耳あり、ですからね? ここは大陸一の忍びの里なんですから。



・・・・・てか、ちょっと! 今、素早くチューしました!? 一応おれも中忍なんで見えてますから。
暗部お二人のチューなら見えなかったかもしれないけど。 今のは海野中忍からのチューだし余裕。
しかも“ほらほら 忘れてますよ 困ったちゃんめ!”みたいな、めたクソ甘いチュー。 どうなの、それ。