先生に教わろう! 3
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なんだかんだ言いつつも、ボクを含め隊員達が悩んでいるそぶりを見せると、付き合ってくれる先輩は。
火影直轄 泣く子も黙る暗殺戦術特殊部隊の部隊長。 そして戦後この木の葉を背負って来た人物だ。
三代目を始め下忍に至るまで、多くの忍び達がその後の木の葉を支えてきたんだ、ボクもね。
だからカカシ先輩一人が切り開いて来た道じゃないけど、この部隊の先頭が忍びの道標だったと思う。
方向性をしっかりと示すから、皆が道を見失わずに済む。 今でこそ暗部の司令塔だと言われてるけど、
ボクも先輩も、若い忍びの命を無駄に散らさない為にはどうしたらいいのか、を考えて来ただけだ。
そんな風に、里では御大層に語られてるボク達にも、足りないモノがある。 それは一定の情人だ。
ボク達 忍びは性欲を解消するけど、それは義務的な事柄であって、過度の快感なんて求めちゃいない。
ハッキリ言ってしまうと、女は人肌をした動く玩具であって、それ以外の何者でもないんだよ。
非情だと言われても仕方がないけど、自分の弱い部分をさらけ出すのは容易じゃない。
「三代目はよく情人や恋人の一人も作っておけ、って言うケド。 無理だよネ?」
「ええ。 花街で十分事足りるのに、どうしてわざわざ別にしなくちゃ、って。」
「キスは、そういう情人となら安心して出来るモノなんだろうけどサ。」
「処理と同じで、危険を冒してまで必要とするモノでもないですしね。」
つまり一定の情人とは俗に言う、恋人、愛人、伴侶、なんでもいい、とにかく情を交わせる相手の事。
三代目曰く、弱さをさらけ出せる相手には、身も心も温めてもらえるらしい。 ボク達には無縁だよ。
明らかに処理と違う事は頭では分かるけど、今一歩踏みきれないんだよね。 面倒ってのが大きい。
だってちょっとした事でトラブルの元になるだろう? それは周りにいる奴を見ても明らかだからね。
さっきの先輩のうちは一族の話じゃないけど、自分の私生活には関与して欲しくないのが本音。
でもこれは性欲コントロールの事じゃなくて情人の話だから、うちは一族ほど排他的とは思わない。
だからって訳じゃなけど、興味はちょっとあるんだ。 一度も体験した事がないキスにね。
「情人にしなくてもサ、安全なキスを体験できるなら・・・・・ 一回してみたいヨ、オレ。」
「そうなんですよ、そこです。 ボクもあの二人の会話から、体験できるかも、って。」
「トラブルにもならない、キスも上手い、木の葉の忍びが褒める・・・・ ウン。」
「色事指南の先生じゃなくでも、先生と呼ばれるほどの人なら安心です。」
三代目の言う意味は分かる。 ボク達暗部にも落ち着く場所を作れ、って事だ。 でもやっぱり・・・・
そこは正規の忍びと違うところ。 暗部の隊員には敵が多すぎる、人に恨まれるのが仕事だと言っていい。
それにボクとカカシ先輩は、辞めたいからと言ってすぐに辞められるようなポジションにはいないから。
しかし、カカシ先輩はキスを引退後の夢の一つにしていたとは・・・・ ある意味凄い覚悟です、部隊長。
・・・・え? ボクですか?? いや、そこまで真剣に考えていた訳では・・・・・ だから今回も・・・・
あははは! そうですよね、百聞は一見にしかず、でしたよね! しかも気持ち良いらしいですから。
里に戻って三代目に話をしてみた。 でも突然“イルカ”という人物に心当たりがないかは聞けない。
ボク達 暗部の長が、雁首そろえて名前を訪ねるなんて、イルカさんにあらぬ容疑をかける元となる。
急にそういう話になる時は、たいてい怪しくて絞めあげたい奴がいる・・・・ って時だからね。
だからこう言った。 “部下が気に入った様なんですが、どういう人物か教えてもらえますか”って。
「ふむ、お主達の言っておる“イルカ”とは違うかもしれんが、中忍に一人おるぞ?」
「ア、多分そうです。 女か男かどっちかわかんない名前ですケド。」
「男じゃよ、れっきとした。 うみのイルカ、中忍じゃ。」
「そうか! 同胞だったんですね? だからあんなに・・・・」
「イルカを気に入ったとて、任務補助を頼む事は出来んぞ? 受付に入ってもらっておる。」
「「任務受付所?! なるほど人当たりが良い訳だ・・・・」」
「そうじゃよ。 それにあ奴は人に何かを教えるのが上手での・・・・」
「「だから先生とか呼ばれてるんですね?!」」
「ほほほ、本物の先生じゃよ。 “イルカ先生”が、受付も兼任しておるのじゃ。」
「「!!!」」
驚いた事に、探していた人物はボク達の同業者で中忍、しかもアダ名じゃなく本当に先生だそうだ。
ボク達は三代目の直属部隊で、火影室を出てこの部屋に戻ってくる。 確かに任務受付所には無縁だ。
まさかそんな所に配属の忍びとは。 それじゃ会う機会は皆無だったはずだよ。 しかも兼任??
なら先生が本業、という事は・・・・・ やっぱり色事指南の先生って事か?! 正規の忍びの為の?!
そりゃそうか。 ボク達 暗部にも、代々引き継がれていく信用のある店、というのが存在するんだ。
正規の忍びにも、口コミで脱童貞する為のお勧め店ぐらいあるだろう。 イルカ先生はひょっとしたら・・・・
本当にキスを指南してくれる先生なのかも! だってボク達 忍びは、キスの経験が浅い・・・・ と思う。
そういう経験値が低ければ、恋人や伴侶、情人と呼ばれる相手に愛想をつかされるかもしれない。
入れるのは上手いのにキスは下手ね・・・・・ なんて、もしその相手に言われたら、そりゃショックだろう。
明日は我が身、いや、あるかもしれない遠い未来だ。 ボク達もいつか同じ事を言われるとも限らない・・・・・。