先生に教わろう! 6
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火の国に住む民の生活を守るコト・・・・ が木の葉隠れの里の存在意義だケド、オレ達だけじゃない。
この国には各大名の私兵がいて、皆で民を守ってる。 オレ達はいざという時の切り札なんだヨ。
やっぱりネ、そこは特別な力があるからサ。 国主や大名は木の葉の里を信頼してくれている。
だから忍びには昼も夜もないのヨ。 当たり前だケド、年中無休で24時間いつでも出動は可能。
たくさんの兵や忍びがいても、国の隅々まで目が届くワケじゃない。 そこで任務受付所の出番だ。
それはどうしてかというと、民と直結してる窓口だから。 里への依頼内容で想定できるでショ?
何でもない小さい依頼が多い所なら安定してるな、とか。 暗殺依頼が多発してたら物騒だ、とかサ。
依頼の傾向を統計して、物騒な地域には特に要人からの要請がなくても、火影は忍びを動かせる。
国主の信頼の元、木の葉の里は火の国の警護を一任されてるんだヨ。 書類を出すのもその一環。
任務受付所に提出する報告書は、国主の元にも届けられるからネ、里の任務受付所は必要不可欠。
オレ達 暗部は、そういった形で記録を残さない任務を遂行する。 受付所とは縁がないんだケド・・・・
でもどんなに遅く里に帰還してもサ、任務受付所にはいつも明かりが灯ってるんだよネ。
里の民が寝静まっている真夜中、明かりの灯ってる家はない。 でも里の中で唯一ソコだけは明るい。
中に入りはしないケド、オレ達にとってもホッとする明かりなんだヨ、任務受付所って。
航海に出た船が目印にする灯台の明かりの様に、里の忍びにとって任務受付所は目印なんだよネ。
・・・・忍びは夜目が利くから明かりもクソもないだろう、っていうのはナシで! 気分的なモンなの!
任務受付所は夜間、裏口が開いてるんだヨ。 仕事を終え任務報告書を提出する忍びの為にネ。
一般人が任務受付所に来るのは、朝の8時から夜の8時までの間だけ。 時間外対応は火影室だし。
だから夜間なら暗部服で任務受付所に行っても大丈夫! ビビる下忍も一般人もいないんだよネ。
「ヨ! 早いネ・・・・ って言っても夜中だケド。」
「ははは! 正直あんまり眠れませんでした、ボク。」
「フフフ、実はオレも。 ドキドキしちゃってサ。」
「若い男の・・・・ 先生なんですよね? イルカ先生。」
「「・・・・・・・・・・へへvv」」
フフ、オレ達は寝っ転がってるだけでも十分休めるよネ。 二人揃って里の明かりを目指した。
任務受付所に向けて歩くオレ達の足は、羽が生えてるのかと思うほどフワフワしてるのを感じるヨ。
アレだネ。 地に足がつかないって・・・・・ こういう状態のコトなのカナ? フフフ!
・・・・・・で、昼間のコトもあって・・・ ヤ、朝だったケド。 つい、気配を消しちゃったのヨ。
同じミスはしないように、って無意識で。 別に今の時間はそんなの気にする必用はないのに。
・・・・・ま、いっか。 里の任務受付所に配属されてる忍び、しかも三代目や同僚のお墨付き。
申し分ないとは思ってはいるケド、ソコはホラ・・・ 自分の目で確認したいとかネ、思うワケよ。
( 受付の仕事を盗み見するみたいでイヤだケド・・・・ これも敵情視察と思えば・・・・ネ? )
( 実際に盗み見ですし、イルカ先生は敵ではありませんが、駄目押しの安心感を得る為ですよ。 )
(( ・・・・・・・・・ものは言いよう。 くすくす! ))
オレ達はそのまま気配を消しつつ、任務受付所の裏口からスルリと入り、端っこの長椅子に座る。
今のオレ達に気付くヤツは将来有望だヨ。 ウン、ココなら誰も気にもとめない絶好の監察ポジション。
日中ほど人気がなくガランとしてる夜間の任務受付所。 受付に座っている受付忍も二人、と少ない。
一人はやや長髪を高めに結っていて、一人はふんわりヘアでショートカット、どちらも中忍だろう。
あのどちらかがイルカ先生なんだネ? もう昨日だケド、対応してくれた受付君も感じが良かった。
やっぱり任務受付所に座ってる忍びなだけはあるよネ、凄く人間味がありそうな温かい感じがする。
こういう忍び達が里の窓口になっているなら、一般人も忍びに親近感を持ってくれると思う。
“どっちの受付忍がイルカ先生カナ?”“二人とも若いよネ?”テンゾウと指文字で会話する。
髪を結ってる方の受付忍は、顔の真ん中に刀傷があった。 “あの傷どうしたんだろうネ?”
などと、好き勝手に声なき会話をしていたら、上忍の気配が。 おそらく任務報告書の提出だネ。
上忍だから完璧に気配を消さないと悟られる。 今から指どころか動きは一切ナシだヨ、テンゾウ。
思った通り、しばらくすると一人の上忍が、ほんの微かな血臭を漂わせて裏口から入って来た。
妙にドキドキしてきたヨ・・・・ この上忍との会話で、どちらがイルカ先生なのかハッキリする。
「「お帰りなさい山城上忍、任務お疲れ様でした。」」
「あ、うん。 お疲れ。 ・・・・・・・ただいま。 これ・・・・」
「はい、お預かりします。」
「・・・・・アオバさん?」
「・・・・・・・あー 千本の小さな刺し傷だから。 もう消毒済みだし・・・・・」
「馬鹿な事言ってないで、傷を見せて下さいっ!!」
任務帰りの上忍は情報分析部に在籍してる山城アオバだった。 アオバなら単独任務かもしれない。
山中一族ほどではないケド、心潜術を扱えるからイノイチさんが可愛がってるんだよネ。
微かな血臭は千本による刺し傷だったみたい。 あのほんのわずかな血臭を嗅ぎ取るなんて、やるネ?