先生に教わろう! 8
@AB
CDE
FHI
JKL
MN
どっちの受付忍も感じが良かったケド、顔に傷のある彼の方がいいな・・・・・ なんて、チョット思った。
だって普通に気になるでショ。 あの結ってある髪を下ろしたら、どんな雰囲気になるのかなー とか。
ホラ・・・・・・ なんとなく・・・・ キスするとなったら・・・・ 雰囲気って結構大事じゃない?
処理の相手なんかは皆プロだからサ、こっちが頼まなくても勝手にそういうのは作ってくれるからネ。
そんな考えがチラついてたところに、アオバが彼をイルカ先生と呼んだ。 ガッツポーズしたヨ、心で。
・・・・こんなにドキドキソワソワしてサ、オレ達どこのチェリーボーイ? って感じじゃないの、コレ。
さっきのアオバの反応じゃないケド、やっぱ暗部が任務受付所に顔を出すと、急ぎの用かと思うよネ。
イルカ先生がオレ達を通してくれたのは仮眠室。 夜勤明けの受付忍の為に設置された小部屋だった。
ナルホド、ココなら気配が漏れるコトはない、他の忍びに余計な詮索をされなくて済みそうだネ。
何日も連勤する受付忍がいるんだろう、小さいけど給湯設備やシャワーなんかも完備されてる。
「はい、どうぞ。 お番茶です。」
「「ど、どーも・・・・ フー フー ズズズ・・・・・・」」
「・・・・そうやってると、子煩悩なパパさん達には見えませんね、くす!」
「「こ・・・ 子煩悩??」」
「あ。 すみません、俺のクラスに編入希望の暗部が訪ねて来たとメモにあって・・・・」
編入予定・・・・ あ、あの受付忍が引き継いでくれたのネ? オレ達の部下を入れると思われたの?
ま、仕方がないか。 あの時は下忍の視線がうるさくて、必要最小限の会話しか出来なかったしネ。
朝の任務受付所自体、ほのぼの感が漂ってたし・・・・ らしくもなくワクワクしながら聞いてたケド。
しかし・・・・ プッ! 子煩悩とは。 オレ達暗部の長は、部下に対してそんな風に見えてるの?
「・・・・あの、つかぬ事をお伺いしますが、イルカ先生は何人ぐらい生徒をお持ちで??」
「あ、15人の一クラスです。 皆、教えがいのある子達ばかりで・・・・ ははは。」
「15人・・・・ えっと・・・・ じゃぁ・・・ 二人ばかり増えても大丈夫??」
「はいもちろん! それに三代目に薦められたらしいじゃないですか、喜んで。」
「「やったvv」」
やった! 我を忘れてルンルンと任務受付所に行ったのも無駄足じゃなかった、さすがに話が早い!
どんなに無駄なコトでも、実際に行動に移したコトは、後で必ず自分の経験値になって戻ってくる。
コレがまさにそうだよネ! 暗部だから、その司令塔だからと、敬遠されたらチョット悲しかった。
敬遠されるぐらいならまだマシ、まさかの逆転軽蔑、失笑沙汰・・・・ とかなったら立ち直れない。
ま、イルカ先生は話に聞いただけでもそういう人じゃないのは分かってたし、実際に会って確信した。
誠実で思いやりがあって、生徒思いで。 それでいて、とっても優しげな瞳で笑いかける人だ。
更にあの結い上げてる髪を解いてみたい衝動にかられるぐらい、なんとなくエロい雰囲気もある。
キスを上手に教えてくれる先生。 親身になってくれるから、きっとトラブルに発展しないんだヨ。
きっとこの先生なら、オレ達が今迄一度も本格的なキスをしたことがない、と言っても笑わない。
さっきの様に小さい傷の怖さを知っている忍びなら、暗部がなぜキスをしないかも分かってくれる。
「イルカ先生・・・・ あのサ・・・・・ 真剣にオレ達の話、聞いてくれる?」
「はい、もちろんです。 俺の噂を聞いてこんな時間に訪ねて下さってんですから。」
「・・・・その、飲み屋街で偶然、キスの噂を聞いて・・・・・ それでボク達・・・・」
「あちゃー それ、弁明させて下さい。 俺、つい・・・・・」
「ヤ、違うから! 苦情申し立てとかじゃないから!」
「キス魔な事は知ってます! 三代目から聞きました!」
「キ・・・・ キス・・・・魔って?!」
「あ、違った! キスがクセだ、って。 だから・・・・・」
「ウン、三代目はそう言ってたヨ、でも気にしないから!」
「ほっ! 良かった・・・・・ つい、嬉しいと俺・・・・・ あはは!」
「「・・・・くすっ!」」
どうやらイルカ先生は、嬉しいとキスを追加サービスするらしい。 教えた成果が出たら喜んじゃう?
そりゃそうか、夫婦や恋人達は円満になるんだから。 イルカ先生は我がコトの様に嬉しいんだろう。
ウン、頼まれてもいないキスを余計にしちゃっても、それはそれで怒るヤツなんていないと思うヨ?
むしろ “イルカ先生のキスだから別にいいか” ってなるよネ。 テンゾウが聞いた通りにサ。
まずちゃんと順を追ってイルカ先生に話そう。 こういう考えはナニも暗部だけじゃないと思う。
正規の上忍の中にも警戒心の強いヤツは、そう思ってるんじゃないかな。 オレ達程じゃないにしても。
あのネ、イルカ先生。 オレ達、実は・・・・・・ 意外に思うかもしれないケド、キスが怖いの。