例えばこんな話 14   @AB CDE FGH IJK LNO




まったく! 冗談も休み休み言いなヨ?! 事もあろうに、オレ達の前でそれを言っちゃうワケ?!
アイツらには遠慮しないでイイから、思わず本気で殺気を向けちゃたヨ。 ま、気になるのは分かる。
オレ達だって狐につままれたような気がしたし。 だってヤローだヨ? ヤローに恋しちゃったなんて。
言わば縁結び的存在のお前達にさえ、あのマッサージは禁止!! 雨射の癒しはオレ達だけのモノなの!

それに部下達があのテクを知って絶賛しちゃったら、暗部隊員達が我も我もと殺到しちゃうでショ?!
そんなのオレ達が認めるはずないじゃない! 唯でさえ、里の上忍連中を牽制してる、っていうのにサ。
いくらキッカケをくれた可愛い部下達でも、それだけは許さないからネ? 癒し券には感謝してるケド。

オレ達だって信じれれないヨ、こんなに誰かを欲しいと思うなんて・・・・。 ただ里の未来の為に。
木の葉隠れが舐められちゃいけない、って。 ソレだけを考えて、非情に見えるように振る舞って来た。
例え仲間でもあっても、就寝中にその背中を見せないし、お決まりの感謝の言葉にも感動なんかしないヨ。
あんなに安心出来る存在なんて、今までどこを探しても居なかった。 あの優しい “気” が欲しい。

「アイツらは馬鹿じゃない、あの一言で分かるヨ。」
「ですね。 しかし・・・・ ハモッちゃいましたね、見事に。」
「「・・・・・黄金コンビだし? くすくす!」」

オレ達の本気を感じ取った部下達は、先に里に帰って報告します! と速攻で撤収した。 ヨシヨシ!
例の四人が舞い戻って来て、照れくさそうにこう言った。 雨射を紹介出来た事が嬉しいです、って。
そして “部隊長達をさり気なくプッシュしておきますからねー” と、叫びながら帰って行った。
あんな聞きわけの良い部下を持って、オレ達って幸せ者だよネ。 オレとテンゾウをプッシュ、か。

「・・・・フフフ。 テンゾウなら許せるんだよネ、不思議と。 長年オレの背中を預けてきたし?」
「えー コホン! 自慢じゃありませんが。 カカシ先輩の思考に同調出来るのはボクだけですよ?」
「「串刺しコンビだし?! ・・・・・ぶっ! あはははは!!」」

そうなんだよネ。 テンゾウとはずっと長い間、同じ道を歩いて来た。 どんな暗殺任務の時でも。
だからテンゾウと恋人を共有するのは、不思議とイヤじゃない。 オレと同じ思考ならテンゾウも同じ。
ただ問題はうみの中忍だ。 口説いたはいいケド、二人の情人を持つ事に難色を示すかもしれない。
潜入員のうみの中忍とは、里の中では知らない者同士として行動しなくちゃならないしネ・・・・・。

ま、ソレはソレで・・・・ 外で逢引、なんてのもシャレてるか。 宿の一室を永久契約しちゃう?
ア、雨射の部屋は? 草津屋が提供しているだろう潜入員の一室を、そのまま賃貸契約しちゃおうヨ!
そんでこれからオレ達の休息日は、いつも草津屋のその部屋で過ごせばいい。 普通の上忍として。

「無事に暗部のオレ達に口説かれてくれるかナァ? うみの中忍は優秀な潜入員だし・・・・。」
「それ! ちょっと待って下さい、先輩! 何気に大切な事を忘れている気がするんですが・・・。」
「・・・・・・優秀な・・・・ 潜入員?」
「三代目が目をかけるほどの・・・・・・」

「「 !!! ヤバイッ!! お手付きだった!! 」」

そうだヨ! こういうフワフワした感情は初めてだったから地に足がつかず、ついウッカリしてたケド。
うみの中忍は、幼少の頃からの三代目のお気に入り。 本人がそう言ったんだ、間違いないヨ。
あの絶妙で気持のいい扱きテクも、マッサージも。 三代目が一から仕込んであそこまで育てたんだ。
マズイ! 忍犬達に見張らせて上忍達を牽制するより前に、まず三代目に嘆願するべきだったヨ!

「三代目に嘆願しに行こう、うみの中忍をオレ達に譲って下さい、って!」
「そうしましょう! 一番肝心な事を忘れていましたね、ボク達っ!!」
「・・・・・大丈夫、オレ達は直属部隊の長だヨ、ちゃんとお願いすれば。 ネ?」
「ええ、絶対幸せにしますからと、ボク達の本気を見てもらいましょう!」

手取り足取り教え込んだお気に入りの潜入員。 確かにプロ顔負けの腕をしてる、優秀な潜入員だ。
立派にその地位を確立している潜入員の雨射に、よもやまだ里内で扱いてもらってるとは思わないケド。
でも筋道は通さなきゃならない。 三代目が育て上げた潜入員ならば、話をしっかりと通さなくちゃ。
オレ達に花街での遊び方を教えてくれた元祖エロ爺でも、三代目は話の分かる粋なエロ爺だから。

オレ達は他の上忍の様に、雨射の癒しマッサージだけが気に入ってこんな行動に出たワケじゃない。
イヤ、めちゃめちゃ気持ちよかったケド。 体中が軽くてフワフワしたし、早く出し過ぎちゃったケド!
それはあくまでも結果で、うみの中忍の存在そのものが欲しい。 そう嘆願すれば、必ず分かってくれる。