例えばこんな話 5
@AB
CEF
GHI
JKL
MNO
「・・・・・この、いかにも手作りです・・・・ みたいな“癒し券”って・・・・ ナニ??」
「それになんか・・・・ 微妙に先輩とボクの券のデザインが違うね? もしかしてお前達が??」
まあまあ、どうぞどうぞと、二枚の招待状を渡された。 昼間、温泉街に向かわせた四人の部下に。
水の国と土の国の、仲が悪い大名同士が鉢合わせしそうだと、里に警告報告が来たんだよネ。
もし町中で霧と岩がヤリ合ったら、多数犠牲を出すやもしれん、念の為に行って来い、って三代目が。
実際その通りで、暗部四人を向かわせてよかったと思った。 ウチの庭で暴れてくれたらしい。
まあ、死人は出してしまったけど、三人だけ。 負傷者を入れて四人。 護衛の霧と土が暴れて、だヨ?
思わずヨシヨシって頭撫でたくなるぐらいの迅速かつ、正確さ。 ビシッと決めてきたみたいだしネ。
任務の後の時間は個人の自由、同じメンバーでどこに行こうが何をしようが詮索するつもりはないケド。
「部隊長のは俺とコイツで作りました。」
「その案山子の絵描いたの、私ですよ? 可愛いでしょう??」
「・・・・・・・ウン、可愛いネー。」
「補佐のはオレとアラシ作ですよっ!」
「実はその樹を描いたの、おれなんです・・・ どうですかね?」
「・・・・・・アラシもよく描けてるよ。」
「「・・・・・・・・・。」」
これにどうリアクションしろと? 待機所にウキウキとやって来た部下達は、おもむろに癒し券を出した。
本当に部下達の手作りらしい。 オレとテンゾウで絵柄が違う。 ・・・・・隊員一同より、か。
いつから暗部は仲良しこよし集団になったワケ?? イヤ、仲間思いに越したコトはないんだケド。
・・・・・草津屋に・・・・ 一泊?? 草津屋って温泉街の? これ、草津屋の宿泊券なの??
え、オレ達に・・・・ リラックスしてもらおうと、マッサージ付き? へー 里の・・・ 上忍連中が。
その潜入中の中忍が、気持を込めた手作りの招待状を作れって・・・・・ お前達にそう言ったの?!
暗部の隊員にそんなコト言うなんて・・・・・ 面白い潜入員だネ。 ウン、アリガト貰っておくヨ。
「潜入員だからかもしれませんが、凄くフレンドリーで吃驚しましたよ。」
「なんかねー 部隊長達の予約を入れに行ったら、そうしろって薦められたんですよー。」
「そうなんです! 自分なんかでよかったら、いつでも草津屋に呼び出して下さい、とか。 ね?」
「今日のおれらの事も、草津屋から見てたらしく、絶賛してくれて・・・・ な?」
「「へーーーーー。」」
オレが引退表明をしたので、区切りとしてオレとテンゾウに今までの感謝を込めて・・・・ らしい。
花街でスカッと遊ぶのもイイけど、それとは別に心身ともに疲れを癒して欲しいから・・・・ か。
フフフ、なんか照れちゃうネ? オレとしては、三代目にそう言われただけで意識してないしサ。
第一、オレが上忍師? そんなの想像できる? 根性のありそうな下忍なんて、もっと想像できないヨ。
ま、火影様が言うには、気に入った下忍がいたら、って話だから。 まだ当分先のコトになると思うヨ。
ん? 下忍認定の条件はナニかって? フフ、お前らに言ってるコトと同じで、仲間を大切にするコト。
相手の立場が自分より上で強くても、ソコんトコを分かってないと戦いの中じゃ生き残れないでショ?
「ははは、アカデミー生じゃ、そんな決断出来ないだしょ、なかなか。 う〜ん、厳しそうだなー・・・・」
「部隊長達の背中を間近で見て来たおれらなら、そういうのは身に沁みて分かってるけど・・・・」
「まあ、そんな話が出た事を私達も応援してます・・・・・ という気持ちで、隊員一同からです。」
「こりゃ当分、部隊長の引退はないな・・・・ って事で、リフレッシュして来て下さいよ。」
「ウン、今から丁度補佐と任務に行ってくるから。 帰りにでも寄ってくるヨ。」
「じゃぁ休息日をそこで過ごすとしますか。 アラシ、ボク達の代行を頼むね?」
「了解しました! ・・・・・なあ、なんかあったら、お前ら・・・・ サポートしてくれよ?」
「任してちょ!」
「当然だろ。」
「もちろん!」
フフフ、アラシは本当に頼もしくなったよネ。 隊の皆がその実力を認める、それこそが本当の力。
自分が思っているだけの力は、本物の力じゃない。 おのずと、自分の周りが認めてくれるようになる。
命令通りに任務を遂行するのは忍びなら当たり前。 でも仲間と任務を同等に扱っちゃいけないヨ。
仲間があってこその隊、忍びはほとんどがチームで行動するモノ。 単独任務はそれとは別物だからネ。
なんか、オレ達のそういう意向を、ちゃんと理解してくれてたんだと思うと・・・・ 嬉しいモンだネ?
早速、草津屋に連絡を入れておきます! 部下達はそう言って、照れくさそうに帰って行ったケド。
プチサプライズを受けたオレ達の方が照れくさいヨ。 頼もしい後輩の背を見送りながらそう思った。