例えばこんな話 8
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ん?? 雨射? この声・・・・ 按摩師の雨射って・・・・ 男なの?! エ? どういうコト?!
メチャメチャ上手いって言ってたよネ、アイツら。 木の葉の上忍をも唸らせるテクだ、って。
ゴールドフィンガーと呼ばれてるって・・・・ ねえ、テンゾウ! 確かにそう言ってたよネ?!
部下達に手作り癒し券を貰って、いそいそと草津屋へやってきたはイイけど、男とは思わなかった。
「どうする、テンゾウ? オレ、男にあんまり触って欲しくないんだケド・・・」
「や、ボクもお断りですよ。 分かっていれば最初からここには来なかったです。」
「・・・・・・・アー 仕方ない。 影分身使う?」
「ですね。 部下達の好意を無下には出来ないし。」
「失礼します。 はじめまして、按摩師 雨射こと、中忍うみのイルカ 潜入部所属の潜入員です。」
「「・・・・・・・。」」
影分身の印を組もう思ったら、雨射は勝手に部屋に入って来た。 チョット! ナニ入ってきてんの?!
まだ “どうぞ?” とか “入って?” とか言ってないヨ? お客さんの意思を無視しちゃダメでショ!
それにナニ? ホコホコとしちゃって。 いかにも、さっきまで風呂に入ってました・・・・ な雰囲気は!
・・・・って言いかけたケド。 畳から顔を上げた雨射の目に、紫のタスキが巻かれていたので驚いた。
え、目が見えないの? 雨射って・・・・ 盲目だったんだ・・・・・ そうか。 特技って言ってたもんネ。
生まれつきか任務で失ったかどっちか分からないケド、視覚の代わりに他の四感が発達したんだろう。
それでも忍びの道を諦めなかったんだネ? なんか、オレちょっと感動してる。 オレも片目なんだーヨ。
「もう死んじゃったケド、親友だったヤツが片方くれたんだヨ、上忍祝いに・・・・ ってサ。」
「ボクもね、色々事情があって・・・ 体のどの部分が誰の物か分からないんですよ。 ふふ。」
「ぇ・・・・ い、いや、あの・・・・・・ 俺、お二人の顔は見ちゃいけないんだと思ってて。」
「「・・・・・・・・・・・。」」
・・・・・・せっかくテンゾウと二人で珍しく感動してたのに。 いや、勝手に感動したのはオレ達だケド。
オレ達、火影様直属の暗殺部隊の長ヨ? 幻術だって記憶操作だってお手のもの、顔見せも気にしないヨ。
デカイ戦いだと面は視界を妨げるからジャマだし。 ま、そんな任務の時は、殲滅・全滅が当たり前。
結果的に、オレ達暗部の顔を知る者はいない・・・・ って話。 それが顔を見ちゃダメってなってるダケ。
まあ、そんなコトいちいち訂正しない。 木の葉の暗部は他里の脅威、そう思わせたいからあえて放置。
素顔を見たら殺される、顔を見て無事でいられた者はいない、なんて。 面白い作り話だケド、半分本当。
結果的にそうなった、ってダケ。 別に木の葉の仲間が見ても、オレ達 暗部は全然気にしないんだヨ?
フフ、でも正直に打ち明けるなんて面白い中忍だネ。 オレ達に共感してもらえた、って利用出来るのに。
暗部のトップツーに気に入られちゃったー! とか。 花街ではよくあるんだよネ、そういうの。
だからそういう時には、記憶を抜いたり幻術使ってボカしたり。 ごくたまーに、仲間にも使うけどネ。
雨射はそういうヤツらとは違うみたいだから。 ・・・・里の上忍達が信用している位だもんネ? ウン。
それにあの手作りの癒し券を、部下達に作らせた人物だ。 裏表なく、真っ直ぐな人柄なんだろう。
ま、そこは忍びだから? どんより淀んだ事情も考慮しての真っ直ぐな・・・・ って意味だけどネ。
潜入員は少しでもボロを出したら、即殺される。 これだけの立場を確保してるなら、彼は優秀な人材だ。
「フフフ、早速だケド。 お願いしちゃおうかなー。 テンゾウ、オレが先でもイイ?」
「もちろんです、当然じゃないですか。 部隊長からどうぞ? ボク、TVでも見てますね。」
「ではお布団の上に転がってってて下さい、俺、今・・・ 目隠しを取りますから・・・・」
「アー 雨射? うみの中忍? なんて呼べばイイの??」
「どちらも俺ですから。 お好きに呼んで下さい・・・・・ わ!! なんなんですかっ!!」
「え・・・・ え、何?! どうしたんですか?!」
「・・・・・・二人とも・・・ そんな強い癖に顔まで良いなんて。 反則ですっ!」
「「ぶっ!! なにそれっ!! あはははは!!」」
「だって。 泣く子黙る黄金コンビって、もっと怖面だと思ってたから・・・・」
「「・・・・・・そりゃ、どうも。 くすくす・・・・・」」
雨射ことうみの中忍は、思ったコトをつい言っちゃうみたい。 素直さは敵を信用させる要因になるヨ。
こんな敵の潜入員が火の国に潜んでいたら・・・・・ ちょっと怖いネ? なるほど、フレンドリーか。
確かアイツらがそう言ってたネ。 人見知りしないで話せるっていうのも、立派な特技だヨ、潜入員ならネ。
最初、男に触られるのが嫌で影分身でやり過ごそうとしてたオレ達でさえ、いいか、と思ってしまった。
「ウチの上忍がメロメロなんだって? フフフ・・・・・」
「ははは、そう言ってもらえると嬉しいですよ、皆さんの疲れを少しでも癒せてるなら。」
「雨射はゴールドフィンガーだって。 部下達曰く、上忍達がそう言ってたそうですよ?」
「ぎゃー 照れちゃいますね、本当ですか?! まあ、三代目に鍛えられましたからね、俺。」
「「!!! 三代目に?! マジで?!」」
「本当です、子供の時から。 だからもう、これは俺の特技ですよ、プロも顔負けだと自負しています。」
「「おお!! ・・・・・期待して、いい?」」
「はい、期待して横になってて下さい。 くすくす・・・・」
なんと凄いコトが判明した。 うみの中忍は、子供の時から三代目に鍛えられていたらしい。
男にベタベタ触られるのなんて冗談じゃない! オレもテンゾウも雨射と話す前は、確かにそう思っていた。
や、でも・・・・・ これはマジで期待出来るかもしれない・・・・・ だって火影様のお墨付きだヨ?!
ガバリと浴衣を脱いで、布団の上にダイブした。 アー 楽しみ! マッサージ宜しくネ、うみの中忍v