例えばこんな話 4
@AB
DEF
GHI
JKL
MNO
さすが次期補佐候補のアラシ! 部隊長達に近い存在だから、二人に足りないモノが分かったのね?
そうよ、今まで殺伐とした中で苦渋の決断をしてきた部隊長達だもん、心身ともに“癒し”は必要。
花街で遊ぶ、って聞いてるけど、それってストレスを発散してるだけ、癒しの空間とは全然違うもの。
立場上、仕方がないにしても、私達のストレス解消にばかり気を遣って、自分達はいつも後回し。
うん、木の葉隠れの中忍なら、そんな部隊長達の立場をよく理解してくれると思うのよね、仲間だし。
よく考えたら、あの土と水の大名同士の争いで、互いの護衛の忍びがぶつかったのに、死傷者4名。
・・・・温泉街のど真ん中で岩隠れと霧隠れがやり合った、なのに一般人の死亡は三名、軽傷一名。
「その潜入員が、あらかじめ里に報告してたのね? だからあれだけの被害で済んだのよ。」
「だな。 普通で考えたら、もっと死者が出てもおかしくなかったよなー、確かに。」
「どの道、ウチの庭で暴れたツケは払ってもらうが。 一般人の死者が少なかったのは何よりだ。」
「予約制だから、その水の大名の指圧をする予定で潜ってたんだろうな。 そこに犬猿の仲の・・・・」
そうよね、火の国の温泉街は里からは少し遠いもん。 その中忍が既に潜っていたのよ、きっと。
アイツらも、もう嗅ぎつけて来たのか、って感じで驚いてたし。 ・・・・なら、見てたかもしれない。
里から暗部が到着して、双方の忍びの首を代償とし、これ以上この国に留まるな、と話をつけた所を。
だったらいい印象を持ってくれたかも! たった二つの首だけで、他に誰も巻き込まなかったもの!
私達 暗殺戦術特殊部隊は、やっぱりどことなく遠巻きにされるのよ。 ちょっとばかり汚しちゃうし。
ド派手にたち回って建物とか地形とか変形させちゃったり、血と肉塊をまき散らかしたり、ね。
正規の忍びは綺麗に仕事するけど、私達はそんなのに構ってられない。 国外への圧力でもあるから。
ニコニコ下手に出て平和交渉するだけが木の葉隠れじゃない、やることはやってんのよ? って感じ。
だから、他国や他里に対しての圧力なのに、里内の忍びも結構つられてビビっちゃったりする訳。
上忍なんかはちゃんと、パフォーマンスだと理解してくれる。 そういう現場を見た忍びなんかは特に。
でもお話好きのお仲間や、十の話を百の話にしちゃう大げさな一般人らが、噂をどんどん広めちゃう。
でもそれは、他国に対してとても効果があるから、否定も肯定もしないの。 あながち嘘ではないから。
それに現場に出てる忍びは皆分かってくれてる。 暗部は汚れ仕事ウェルカムな、そういう組織だって。
もしも今日の私達の迅速な対応をどこかで見ていたなら、里の忍びとして共感してくれるはずよね?!
「ねえねえ、結構印象よかったと思わない? 温泉街、そんなに汚さなかったし!!」
「うん、今日の霧と岩は、話が分かる奴らだったから、首以外の残りは持って帰ってくれたし!」
「観光客も多い日中、さほど騒ぎは大きくならなかった・・・・ 確かに好印象だったかもっ!」
「今ならおれらの事も覚えていて・・・・ まだ草津屋に居るかもよ、その潜入員っ!」
考えれば考えるだけ、凄く良いプレゼンに思えてきたわ! ねえ、すぐに説得に行きましょう?
任務でもないのに、こんな事お願いするのはどうかと思うけど・・・・ きっと分かってくれるわよ!
そうだ、小助さんに何か作ってもらうって言うのはどう? 現金はちょっと失礼でしょう? だから!
ウチの忍びで、小助さんの手料理にホッコリしない忍びはいないものっ! 特製弁当とか! ね?
「食べ物でも賄賂はやっぱダメだしょ。 オレ達の気持ちが籠ってないと思われるよ。」
「そっか・・・・ じゃぁ・・・・・ 私達が任務を代行する、っていうのは?」
「お、いいな。 潜入員に変化して任務代行、その間ご本人は温泉へどうぞ、ってか?」
「うん、でもいっその事、本人に希望を聞いてみよう。 よし、今から草津屋に行くぞ!」
「「了解っっ!!」」
「「小助ーさん、ここ、お勘定お願いしまーすっ!」」
皆で話し合った結果、部隊長達に温泉に一泊して指圧をしてもらって、疲れを癒してもらう事にした。
・・・・って言ってもまだその予定、って話だけど。 これから草津屋に潜っている潜入員に会いに行く。
潜入員でしょう? 今日の暗部への要請の速さからいっても、かなり現場を熟知してると思うのよ。
だからね、きっとお願いされてくれると思う。 里の忍びなら、力になってくれるわ、絶対!