天敵は中忍 13
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当然でショ、逃げてないっ!・・・・とは言ってはみたものの。 テンゾウの言う通りかもしれないネ。
けれど負の気配を感じ取れないうみのイルカには、例え本気で脅したとしても通用しないだろう。
コレは、今迄幾度となく殺気を浴びせかけても無駄だったコトから考えて、まぎれもない事実。
・・・・・ならどうするか、お互い明日までに解決策を練ろうネ。 ひとまず、これだけは言っとこう。
「「 ユリは、一部コアなマニアが好きなだけだから! 」」
「・・・・・・・なーんだ。 ちぇ! じゃあ、また好きなモノは? って聞かなきゃな・・・・」
「「・・・・・・・・そんなの聞いて回るからでしょう?!」」
「え、でも・・・・・ 借りは返さなきゃ・・・・・」
「「 やかましいっ!! 百合を使ったマジックでもやってろっ!! 」」
「・・・・・・マジックか、なるほど! 百合繋がりだし!! 一応希望通りですよね?」
「「・・・・・・・・・へ?」」
「さすがカカシさんとテンゾウさんだっ! 俺、なんか考えてみますよっ!! じゃ!」
「「・・・・・・・・・あ、うん。 じゃぁ・・・」」
百合の花を使ってマジックの・・・・・ どこが百合ショーを期待してる受付忍どもの希望通りだと?
またもや勝手に納得して去って行った天敵 うみのイルカ。 ナンでヤツはああなのか、ある意味スゴイ。
刃物投げや幻術、瞬間移動したり。 そもそも忍びの能力自体がマジックと類似してるんじゃないの?
でもマジックは手品で、しょせん偽物。 モノホンの能力を持ってる忍びが、果たして喜ぶのカナ??
部下達を鍛え直した実戦組手の後。 オレ達はまたしてもヤツの出し物の心配・・・・・ ナンなの、モウッ!
「・・・・・・・おはよう、テンゾウ。」
「・・・・・・・おはようございます、カカシ先輩。」
「「・・・・・・・・・。」」
おもむろに面を頭の後ろに回したオレ達。 まるで双子の様にやってるコトが同じだヨ、テンゾウ。
さすが長年、暗部を率いてきた黄金コンビだよネ、なんて。 ヘンなトコロで感心しちゃうヨ、ホント。
その眉間にシワを寄せた顔は・・・・・ お手上げ状態・・・・・・ だネ? ハハハ、お前と同じだーヨ。
オレも昨晩サ、結構考えたんだヨ、真剣に。 うみのイルカをこのままにしておけないな、って。
部下達にも影響を及ぼすようになってしまったからネ。 被害は暗部全体に拡大しつつあるから。
暗部の存在は、里内外の忍び達への牽制でないとダメ。 でないと平穏を維持できないでショ?
残念ながら忍びは一般人より優れている。 誰もが自分のその力に溺れそうになるんだよネ。
どうしても力に訴える輩が出る、これはもう・・・・ どうしようもない。 そういう輩には目には目を。
自分達より強い存在だと知らしめるコトで、コイツとは戦いたくないと意識させる。 それしかない。
そういう責務を負ってる部隊なんだヨ、暗部は。 オレ達がその象徴なの。 ビビらせてナンボなの。
里内の忍びだからと、特別に今迄放置して来たケド。 もうこうなったらナリフリかまってられない。
オレとテンゾウだけの問題じゃない、暗部の威厳が保たれるか否か、に発展しているんだからサ。
部隊長と補佐、暗部の長として。 部下のケツに火がつくのを黙って見ているワケにはいかないでショ?!
「もう最終手段に出るしかないネ。」
「そですね、もうそれしか・・・・。」
「これだけは避けたかったケド。」
「これも部下の為、だと思えば。」
「ヤツはちょこっと部下。 術を教え組手までしてやった。」
「ええ、ほんの少しでも、ボク達のなんちゃって部下です。」
「「部下同士の調和を保つのは、長の責務っ!!」」
排除するだけなら猿でも出来るヨ。 もう目の前の敵からは決して逃げはしない! 有言実行だヨ!!
ヤツは今迄にないタイプの忍びだケド、オレ達はダテに色々な忍びと戦ってきた来たワケじゃない。
そうだヨ、実に簡単なコトだヨ。 なんでもっと早く、この問題に本気で対処しなかったんだ?
・・・・・アレだネ。 やっぱ、うみのイルカの致命的な欠点を憐れんだのが・・・・ 敗因だよネ。
敵に捕縛されまくっちゃう忍び。 三代目のコトだから、すぐさま救助隊を組んだんだろうケド。
その救助隊を待っている間は、さぞかし屈辱を味わったコトだろうネ・・・・ なんて同情したからだヨ。
でももう同情は無し! 殺気を感知できない忍びがもし敵にいたら・・・・ と考えれば自然と答えが出た。
まず、一向に勝機の見えないこの状況を打破する為には、相手をよく知らないと攻略出来ないよネ。
己の弱さと向き合うのは己を知るコトから始める。 ウン、敵に勝つ為には敵を知らなきゃダメでショ。
出来るコトなら自主的に去って欲しかったけどネ。 こうなったら敵の懐に飛び込むしかないヨ。
「「勝つ為には敵を知るべし!」」
「フフフ・・・・ さあ来い! 来るなら来てみろ、うみのイルカ!」
「昨日までのボク達じゃないっ!! 後悔してももう遅いぞっ!!」
「「ふははは!! 塩つくねでも百合ショーでも、どーんと来いっっ!!」」
そう、逆に柔軟してやればもうコッチのモノ。 オレ達にバリバリ弱点をさらしやがれ、うみのイルカッ!
「「知らなかったな? 部隊長達が塩つくね食ってなかったなんて・・・・・」」
「だから俺ら・・・ 朝っぱらからボコられたんだな・・・・・。」
「・・・・・おれ達も昨日ボコられたんだけどさ、原因がやっとわかった。」
「「観てなかったのか・・・・ うみの中忍の百合ショー・・・・・。」」
「なんだかんだ言いながらさ、結構うみの中忍の事、気に入ってるんじゃね?」
「「うん、うん、同感。」」