天敵は中忍 8   @AB CDE FHI JKL MN




・・・・・・えげつない? そりゃそうだよ、お前達が一番良く知っているだろう。 でもね?
“裏切り者や敵忍に対しては”っていう、一番重要なボク達の冷酷無比ポインツをすっ飛ばしてるよ?
だいたい人の事言えんのか? お前らだってボク達の背中を見てきたんだから、目クソ鼻クソだろ?!
今更なんだよ! 火影直属 暗殺部隊はこういう所だろ?! お前らまでヤツに柔軟されてんなよっ!



正規の忍びは決して近寄らない、上層部でさえ中での出来事は黙認する、暗部専用の第七演習場。
例えるなら腹八分目のライオンの檻の中に、まるまると太ったニワトリを投げ入れる様なモノだ。
ある程度お腹が一杯だから、ガッツいたりせず、ジワジワいたぶり、散々遊んで楽しんでから食う。
ワザと羽を押さえてみたり、とさかをかじってみたり。 逃がしては捕まえ、また逃がす・・・・ だと?

あんなに部隊長達を慕っているうみの中忍を、暗部演習場に連れ込んで逃げ惑う様を楽しみましたか。
あそこでなら全てが黙認、泣こうが喚こうが助けは来ない。 襲っては逃がし、また襲いかかり・・・・
成人男性の忍びの体力はそりゃ、そんじょそこらの女よりは遥かに上ですが。 何もあそこまで・・・・ って。



・・・・・・・・おいこら、ちょっと待て。 どんだけ豊かな想像力してんだお前らっっ!!
本来野生の肉食動物は、究極に腹が減らないと狩りをしない。 腹八分目で目の前に餌があっても無視っ!
だいたい、あのボロ雑巾を見てそういう発想になる時点で、お前らの好みがそうなんだと気付けよっ!!

その例えもなんだ?! ボク達をライオンに例えたのはヨシとしよう。 だがうみのイルカは違う!
ニワトリのようなひ弱な奴じゃない、人並み以上に根性がある。 例えるなら・・・・ そう、ハイエナ!!
時には王者ライオンの獲物を横取りするハイエナ。 ライオンでさえ、あのふてぶてしさにはたじろぐ。
そう、まさにヤツはハイエナなんだ!! ライオンの爪も牙も気にしない、ふてぶてしいハイエナだ!!

「・・・・・任務終わってからの予定だったけどサ、繰り上げする。 今から即、実戦組手だヨッ!」
「先にお前らを鍛え直してから、警護任務に行く事にするよ。 ・・・・・大七演習場に瞬身移動っ!」

「「「「「 は、はいっっ!! ( マジで?! ) 」」」」」




「・・・・なんだろ、アイツらなんかやらかしたの??」
「部隊長達、久しぶりに機嫌良かったのに急変したんだけど。」
「もうちょっとタイミング計って欲しいよな? 朝っぱらから・・・・」
「「「うん、うん。」」」




天敵 うみのイルカとは鍛え方が違うから、打たれ強いのなんの。 さすがはボク達の部下、よしよし!
さんざんっぱらブチのめして、やっとスッキリした。 全く、朝から無駄なチャクラ使わせるなよっ!
なんのかんのといいつつも、ストレスをガッチリ発散できた部下との実戦組手は、いい運動になった。
昨日のうみのイルカほどではないけど、プチボロ雑巾な部下達を演習場に残し、護衛任務に切り替えだ。

「ンー 今日もナルトの近辺に異常ナシ!」
「もう少しですね、アカデミーの入学式。」
「三代目が出席するみたい。 保護者として。」
「それなら誰も文句は言えませんね、はは・・・・・・ は?」

遠くからいつもの様に、ナルトを警護してるボク達に、テクテクテクと近付いてくる一つの気配。
この気は。 ボク達の天敵、ハイエナうみのイルカ! カカシ先輩、なんでヤツはこうも堂々と・・・・。
いや、気配を完全に断ってないだけだから、里の中忍以上はボク達の事を認識しているんだけどね。
多少なりとも、実力の差を思い知って、緊張しながら会釈などをしてくる事を期待しよう・・・・。

「あ、いたいた! カカシさん、テンゾウさん! 昨日はありがとうございましたっ!」
「「・・・・・・・・・・・。 ( 少しも変わってねえ!! ) 」」
「おかげで影分身の術を会得できました!! 三分の実体化が目標ですっ!」
「「・・・・・・・・・・あ、そう。 頑張って?」」

余興は1〜2分じゃ短いから、目指せ三分! だそうだ。 ・・・・・まあ、もってそれぐらいだろうね。
三分しか実体化出来ない影分身の術か・・・・。 実戦ではとうてい使えないね、可哀想だけど。
え? それ専用のタイマーを持ち歩いてる?? 二分三十秒でアラームが鳴るの?? へー・・・・
遥か彼方の惑星から、わざわざ三分間だけ助けに来てくれる、どこぞの宇宙人の様だね・・・・・。

「アラームが鳴ったら、もうすぐ終了! の合図なんです! へへへ!」
「「ふ〜ん。」」
「それでですね、あの。 恥を忍んでお二人にお尋ねしたい事があって・・・・・」
「「・・・・・・・・・・・またか。」」

恥を忍んで、って・・・・ 君が少しでも恥を忍んだ事があったか?! 忍ぶなら寄ってくるなよっ!
任務中のボク達に、白昼堂々と馴れ馴れしく話しかけて来る・・・・ これって忍んでないよね?!
・・・・・はっ!! ヤバイ、また奴のペースに巻き込まれる所だった。 ここは冷静に対処しよう。
いちいち怒らない事。 相手は忍びとして最悪の弱点を持っている可哀想な中忍だと思う事。 よし!

・・・・・・・・・・・・・なに? 百合は好きか?? ?? これまた180度違う話を・・・・・
まあ・・・・ うみのイルカの話の内容はコロコロ変わるので、悲しいかなこれにも慣れた。
百合の花か・・・・・ 好きか嫌いかで言えば好き・・・・ かな。 凄くいい匂いだしね。

「「・・・・・・・・・まあ、好き?」」
「ぅわ! やっぱりそうなんだっ!! うん、これで踏ん切りがついたぞ!!」
「「・・・・・・?? (踏ん切り??) 」」
「ははは! やっぱり喜んでもらえなきゃつまんないと思って! じゃぁ!!」
「「・・・・・・・・? うん、じゃぁ・・・・。」」

お? 今日の質問は短かったな。 あれか、やっぱり昨日の手合わせ、実戦組手が効いたんだな。
任務中なんだからアレコレ質問したら迷惑だな、とか。 ・・・・・少しは進歩したじゃないか、うみのイルカ!
まあ、これぐらいの短い質疑応答なら、ボク達もカッカせずに済むんだ。 ・・・・と言うか。
やっぱりそれはそれで話しかけては来るのか。 さすがライオンをものともしないハイエナだ・・・・。