天敵は中忍 9   @AB CDE FGI JKL MN




ホラ、基本オレ達は里の仲間内には甘いでショ? 根の連中も里の仲間だと思えばこそ生かしてる。
三代目のライバルだー! って公言してるダンゾウは、上手いコト証拠を残さない様にしてるからネ。
つまりは、疑わしきは罰せず。 めたクソ黒色に近い灰色でも、身内ならそのまま放置なワケよ。

これが他里の連中だったら、ちょこっとでも疑わしきは罰しちゃうヨ? 有無も言わさず狩りまくる!
それほどオレ達暗部は徹底してるの、里の仲間を守るコトにネ。 部下を鍛えるのもその一環なのヨ。
本気で強くなりたいんだな? 諦めないんだな? ヨーシついてこい、返事は大きな声で! ってなる。
・・・・だからサ、根性で食らいついて来るヤツは、鍛えたくなるのヨ、もう流れる血のなせる技なの。

こういうトコが、オレを勝手にライバル呼ばわりしてるガイのナニかに訴えかけるのかもしれないケド!
・・・・・ン? 一方的なライバル宣言? ひょっとして三代目とダンゾウもこんな感じの関係なの?
イヤ、今はそんなコトどうでもいいよネ、ガイは腹黒じゃないし。 自称ライバル軍団は置いといて。

昨日、その天敵のうみのイルカを、ほんのチョットなんちゃって部下に昇格させてやったのに。
オレ達 里の忍びの魂とも言うべき額当てを演習場に忘れる、なーんてあり得ないコトをやらかした。
で、もっとあり得ない想像をした部下達を朝っぱらからボコるハメに。 見事、天敵に返り咲きだ。
ま、昨日の実戦組手で額当てをふっ飛ばしちゃったのは、ナニを隠そうオレ達なんだけどもネ?

昨日の今日で、またもやオレ達の天敵として姿を現したうみのイルカ。 でも大丈夫だったのヨ。
忍びとしての致命的欠点を背負った者に対して、多少なりとも同情したから、であっても。
昨日ほんのチョビットだけ、なんちゃって部下にして鍛えたから、かもしれないケド!

オレ達の威厳を保ちつつ、ごく手短に話すだけなら。 緊張感は皆無だけど許容範囲だーヨ。
ヤ、昨日までのうみのイルカを考えれば、これってものスゴーク進歩してるでショ?
オレ達を必要以上に怒らせるコトもなかったし、内容はさて置き、話も短かったし・・・・ ネ?

「・・・・・・やれば出来るじゃないの。 あれぐらいだったら許容範囲だよネ?」
「・・・・・・ですね。 一人で話して、勝手に納得して帰って行きましたが。」
「影分身で一芸するつもりなんだよネ? ・・・・・百合の花を使うの??」
「マジックですかね? ステッキや帽子からポコンと百合の花を出す・・・・ とか?」

でも忍びがマジックやってもねぇ? 消えたり変化したり出来るし・・・・ 新人受付忍の歓迎会、か。
ま、ナンにせよ新人が一生懸命やったら、先輩の受付忍は普通に喜んでくれるんじゃないかな。
“目には目を”に繋がる“借りた借りは返す”っていう忍びの仁義を、感じてくれるんじゃないの?

・・・・・アレ? なんでナルトの警護中に、オレ達が歓迎会での一芸を心配しなきゃならないの??
ヤ、影分身を教えたのはオレ達だし? ヘンテコな術の使い方はどんなかなー っていう純粋な疑問。
例え天敵でも、ほんの少しオレ達の部下と同じ扱いにしてあげたんだから。 見届けるのは義務かも。

・・・・だよネ。 一応師匠もどきなオレ達、その術の成果を見届けるコトが教えた者の責務。
明日、天敵うみのイルカが近寄って来たら、ナニするコトに決めたの? って聞いてあげなきゃネ。
ウン、大丈夫。 こんなコト話しててもちゃんと雰囲気はクールにキメてるから。 ・・・こうでなきゃネ!


ナルトが部屋に戻ると、オレ達の警護任務も終了! ナルトが暮らすアパートには二重の仕掛けが。
外敵撃退用の結界と、ナルト用の睡眠札。 部屋に戻ったナルトに睡魔が襲いかかり朝まで爆睡。
結界は里の門を守る結界と同じモノ。 三代目が張ってるんだ、敵は黒焦げになっちゃうんだーヨ。
お家の中に入れば、もうナルトは安全圏。 だからオレ達の警護任務はナルトの外出中だけ、なの。

ミナト先生、クシナさん。 拉致もなく、利用されるコトもなく、ナルトは今日も一日無事でした!
心で亡き四代目火影夫妻に報告しつつ、警護任務を終えたオレ達は、その足で暗部待機所へ向かった。
すると。 なんかどっかで聞き覚えのある機械音が聞こえてきたんだ。 テンゾウ、あの音は・・・・・?

ピコン、ピコン・・・・ って、なんかのタイマーの音?? ・・・・・タイマー・・・・・・ ア!!
アレか! 昼間、ヤツが言ってたヨ!  二分三十秒になったら知らせてくれるお知らせタイマー!
うみのイルカは頑張ってるみたいだケド、影分身の術の実体化は持って三分、って言ったもんネ。

「まさかあれからずっと待機所で練習していた・・・・ なんて事はありませんよね?」
「どうだか。 ライオンの群れの中でも平気なのは、ふてぶてしいハイエナの特徴だヨ。」
「「・・・・・・・・・暗部の待機所は練習場じゃない、っつーの!」」

惜しいっ! もうちょっとだったのにっ! とか。 中忍の修行に付き合ってるんじゃないのっ!
アイツらまで柔軟されかかってるヨ・・・ オレ達は暗部なのネ? 三代目が選抜した暗殺部隊なの。
アイツらだって現場に出たら、里の仲間や他里の連中にビシバシとカリスマ纏って威圧してるのヨ?
寄らば斬る! な雰囲気を醸し出してるんだから。 暗部はそういう部隊、そうでショ? モウッ!!

全くうみのイルカもうみのイルカだよネ? こんなトコで練習しないで家で練習しなさいヨ!
そりゃ観客はいなくて、なんとなく淋しい感じはするだろうけどもネ。 それぐらい我慢しなさいな。
ただでさえ影分身という、禁術指定の術を教えてあげたんだから。 これ以上暗部に迷惑かけないで!