時の歯車 11
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「イルカ先生、今日一緒に寝てもイイ? ヘンなコトしないから。」
「ぶっ!! な、なにがヘンな事だっ! 当たり前だろ、そんなのっ!!」
「ボクも。 みんなで一緒に寝よう? 先生とはこれが最後だし。」
「だから、そんなにしんみりするなって! まだ最後かどうかわからないだろ?」
イルカ先生はそう言ったけど、明日三代目は、確実に時空間忍術を再発動させると思う。
今この時代にいるイルカに影響が出ないよう、少しでも早くイルカ先生を、未来に送りたいはずだし。
あの場所に行けば要因が何か判明する。 それはつまり、その場ですぐ対応できるというコトだ。
オレ達の様子を感じ取って、三代目は猶予をくれた。 “明日でイイですか”とオレが言ったから。
きっと今すぐにでも、イルカ先生を未来に送りたいと思ってる。 ケド、この時間をオレ達の為に・・・・
「ねえ、イルカ先生。 オレ達ネ、先生が何にも言わなくても、先生の恋人が誰かわかったヨ?」
「・・・・そういえばあの時も、そんなこと言ってたよな。 だ、誰かまで、予想出来ちゃった?」
「えへへへ。 ズバリ、ボク達二人でしょ。 どう? イルカ先生、バレバレだもん。」
「あー うーー んーーーと・・・・ 俺って駄目なヤツ・・・・ えーと、なんでわかった?」
「「ないしょっ!!」」
イルカ先生の布団に入って、枕を抱えてうつ伏せになる。 先生を真ん中にして、いろんな話をした。
まず確認。 コレは重要。 だって先生がココに来たのが必然なら、オレ達には知る権利がある。
ちゃんと知って、これからその通りに行動しないと、未来が変わってしまうから。 失敗は出来ない。
いつ出会うのか、どんな恋人なのか、キッカケはナニか。 全部オレ達の未来に繋がる伏線だもん。
「じゃぁ、ナルトがアカデミーを卒業したら、すぐ会いに行ってイイ?」
「あははは、すぐ来ちゃダメですよ。 卒業させた直後は、俺ミイラ男だから。」
「先輩が上忍師というのは想像つきますけど、先生はミイラ男なんですか??」
「背中に傷を負ったんですけど、三代目が包帯でぐるぐる巻きにしたんです。 少しは反省しろって。」
そう言ってイルカ先生は、背中を見せてくれた。 そこには、息をのむほどの大きな傷跡。
これ・・・・ 少しでもずれたら・・・・ 脊髄をヤッてた・・・・・ 何してんの、この人!!
・・・・イルカ先生が、ナルトのコトを心配していた訳がわかった。 教師の領分を越えてるヨ・・・
火影様の気持ちもわかる。 “反省しろ”ホントにそうしなヨ! 忍びなら、忍術使えるでショ?!
そんな風に庇われたナルトは、先生を忘れられなくなっちゃうじゃないっ! ただの教師でいてヨ!!
「やっぱりダメだ。 イルカ先生、未来に戻っちゃダメ。 明日、四代目の慰霊碑には行かない。」
「・・・・そうしましょう、先輩。 ふたりで考えれば、どうにかなります。」
「カカシさん、テンゾウさん? どうしたんですか、急に。」
「だって今のイルカがオレ達じゃなく、ナルトを選んだら? そうなる可能性だってあるでショ?!」
「ボク達以外の、他人の心に入り込まないで下さい。 先生は酷い・・・・。」
「・・・・・ぷっ! ・・・・あはははは!! ごめん、同じようなこと言うから。 ふふふふ。」
「「・・・・・・。」」
先生の話によると、オレ達はナルトが先生に飛びつく度に、嫉妬してるんだって。 そりゃそうだヨ。
イルカ先生はそれから、いろんな話をしてくれた。 オレ達の未来のコトを。 凄く幸せそうに。
こんな顔をさせてるのは、未来のオレ達なんだ・・・・ 今のオレ達じゃなくて・・・・。
あと10年もイルカに会ってはダメなんて、考えただけで泣けてくる。 この先どうやって耐えるの?
「ヘンなコトしないって約束したケド・・・ 抱いていい? オレもう、男も女も知ってるヨ?」
「・・・・・・ボクは男は知らないです。 女の人なら暗部に入る前に抱きました。」
「バカヤロウッ!! な、なに言ってんだ、このエロガキどもっ!!!」
「だって、イルカ先生と10年も会えないなんて、絶対いやだっ! 思い出が欲しいヨ・・・・」
「そしたら・・・・・ そしたらずっと、頑張って耐えられると思います。 お願いします。」
オレ達はいつの間にか泣いていた。 中忍ひとり、力ずくで犯したってイイのに、泣いて頼んでる。
ずっと愛されていたい、先生の中にオレ達を刻みつけたい、この優しい手がなくなるなんて!
先生がいなくなると思っただけで苦しい。 昨日も今日も。 冷静でいられなくなる・・・・
そんなオレ達に、イルカ先生は決定的な言葉を言った。 今のオレ達には、一番キツイ台詞だった。
先生は、オレ達が今のイルカを愛したから存在してる。 それは変えてはいけない摂理なんだネ?
「今の俺は、未来のあなた達の愛の産物。 俺は髪の毛一本まで全部、未来のふたりのモノです。」