時の歯車 12   @AB CDE FGH IJL MN




あれから結局オレ達は、イルカ先生にしがみついたまま、泣きつかれて眠ってしまった。
テンゾウはわかるケド、オレまで寝ちゃうなんて。 先生の横にいると安心するから、仕方ないか。
それより。 せっかく涙が引っこんでいたのに、イルカ先生がまたやらかした。 なにすんの、もう!!
イルカの成長を黙って見守る、と決心したのに、なんでこんなコトするの・・・・ ぐすっ。

「・・・・・暗部の補佐を泣かせて、そんなに楽しい?」
「オデコに??? 今の、イルカ先生が?」
「ふたりがな、こうしないと起きないんだ。 なんでかなって思ってたけど、俺が始めたのか。」
「先生、もう一回っ!! もう一回して、オデコでいいからっ!!」
「・・・・・・オレも。 オレにもして。 ちゃんと覚えてられるように。」
「抱かせてやれなくて、ゴメンな? でもデコチューなら、何回だってしてやるぞ? ふふふふ。」

先生は何度も何度も、デコチューをしてくれた。 柔らかく角度を変えて。 優しく髪をかきあげて。
うん幸せ。 未来のオレ達は、こうやって先生に起こされてる。 この未来が待ってるんだ。
中忍になり、アカデミー教員に推薦され、ナルトの担任を受け持つ。 卒業させるまでの10年間。
イルカが背中に傷を作るのを知っていて、何もしちゃいけない・・・・ コレを思い出して耐えよう。

「オレ達、イルカを見つけるヨ、どこにいても。」
「見守ってると、約束します。 ボク達の為に。」
「ありがとう。 俺も待ってる・・・・ あ、俺は知らないのか・・・ ごめん、な・・・」
「未来のオレ達は、先生をこんなに夢中にさせちゃうんダ?」
「先生のそんな苦しそうな顔、始めて見ました。 ボク達って愛されてますね。」
「ふふふ。 そうだよ? ふたりがいなきゃ、俺、淋しくて死んじゃう。」

また先生が爆弾発言をした。 もう何をすればいいかなんて決まってる。 未来のオレ達に先生を返そう。




「遅かったの。 まさか・・・・ いらん画策をしてたのではあるまいな?」
「「そ、そんなこと思ったコトもありません!!」」
「・・・・・いいじゃありませんか、火影様。 こうしてちゃんと、やってきたんですから。」
「あ、あの時の、突発ワイセツ男!!」
「あー、 おれ一応、暗部の部隊長なんだけどな?」
「万年発情期男。」 「歩くセクハラマシーン。」
「自分の感情に、忠実な男だと言ってくれないか?」
「ほほほほ。 いじめるのはそれぐらいでイイじゃろ。 どれ、始めるとするか。」

オレとテンゾウは三代目の言うとおりにした。 四代目夫妻の慰霊碑にそっと触れてみる。
慰霊碑を囲むようにして周り三方がポウッと光り、その光の筋が空に向かってゆっくりと伸び始めた。
おそらく、あの光の筋が出ている土の下に、先が三つにわかれた四代目の特製クナイが埋まっている。
時空間忍術は、あの特徴のあるクナイで囲む空間に、起こる現象。 生前から、仕掛けておいたんだ。
さらにビックリするコトが起きた。 目の前に、四代目夫婦が立ってる。 思念とかいうモノらしい。
 「やあ、カカシくん、テンゾウくん。 おれ達のプレゼントは気にいってくれた?
   おれ達は思念だから、質問してもソレに答えられないんだ、一方的でごめんね?

   そこにいる人物が誰かは、おれ達にはわからないけど、君達の力になってくれただろう?
   一緒に戦うと言ったカカシくんを、置いて行ってゴメンね? 君は里のこれからの力だから。
   木遁を使いこなせないで、役に立てないと泣いたテンゾウくん、君も木の葉の未来なんだよ。
   君達が力を合わせたら、木の葉の里は、大陸一の隠れ里になると思う、これ確信してる。 」


  「もう、ミナト! かたい事ばっかり!! いい? あなた達がすごく困った時の為に計画したの。
   そこにいる人は、あなたたちを心底思っている人。 きっと何をすべきか教えてくれるわ。
   まさか、三代目とか言わないわよね? 信頼する友人ぐらい作ってるでしょ?? そうよね?
   でもまあ、この思念を受けているというコトは、その人に物事を解決してもらったのね?
   ナルトの中の九尾の檻にも、あたし達の思念を入れておいたの。 えへへ、凄い、ってばね? 」


  「そこの君、ありがとう。 これからも彼らの力になってあげて? 会えなくて残念だよ。
   きっとオビトの様に真っすぐで、リンの様に優しい人なんだろうね。 本当にありがとう。
   さあ、その人物をお家に帰してあげよう。 家の人も急に消えて、心配してるだろうしね。
   おれのクナイが放つ光の交差する真下に、その人を入れてあげて? そしたら帰れるから。」


「ミナ、ト先生・・・・。」
「四代目、クシナさん・・・・・。」


「やはり、あヤツらの仕業じゃったか。 九尾封印前に、ココに慰霊碑を作れと遺言しよったからの。」
「遺言通りに慰霊碑を建てなきゃ、この術は発動しなかったんだから、三代目も協力者ですよ?」
「そうなるな。 じゃが、まさか未来の恋人を呼び寄せるとは、考えんかったようじゃの。」
「うわー、さすが四代目夫妻。 時軸の違う世界にまで、影響があるなんて、凄すぎます・・・・。」

この思念を残すという奇跡を起こしたのは、ミナト先生の時空間忍術だけの力じゃ無理だ。
クシナさんの、渦巻の民がもつ驚くほどの生命力が、関係している。 あのふたりの力があってこその術。
思念の中で、ナルトの中にもソレを残しておいた、と言ってた。 まだ見ぬ息子へのメッセージだ。

そして可愛がってたオレ達にも。 四代目夫妻のおかげで、オレ達はイルカ先生を知るコトが出来た。
確かに、こんなにオレ達のコトを、心底思ってくれている人はいない。 そして愛してくれている人も。
三代目は薄々わかってたみたいだった。 確信がなかっただけで、必ずもう一度、術が発動するコトを。
きっとそうだ。 イルカ先生を未来に戻す決意をさせる為、今まで黙認していた。 オレ達自身に。



「帰ったら、思いっきり抱いていいから。 10年も待たせるけど、ゴメンな?」
「こりゃ、イルカ! カカシはともかく、テンゾウには、いささか刺激的すぎるぞ?!」
「あはは! すみませんつい。 じっちゃん、いえ、火影様。 ふたりの事をよろしくお願いします。」
「大好きだヨ、イルカ先生。 まだ会ったコトもないイルカも。」
「待ってて下さい。 絶対、恋人にしてみせるからっ!」

オレ達のオデコにもう一度キスをして、イルカ先生は、空間の歪みの中に吸い込まれていった。


「あー それなんですが、三代目。 おれ暗部のスカウトに行った時、廓に投げ込んできたんですよ。」
「はい。 部隊長に連れていかれました。 もう意味もバッチリわかってます。」
「儀式ですよ、暗部入隊の。 敵の色香に惑わされるわけには、いかないじゃないですか。」
「い、いつの間にそんな儀式なんぞ・・・・ 一体、誰が作ったんじゃっ!!」
「はーい、おれです!  はははは! イイ忍びは色にも長けてなきゃ。  ね?」