時の歯車 15
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「あれは・・・・ アソコだけなんだか・・・・・ 口寄せの術っ!!」
「ふぅ。 ・・・・テンゾウッ!! 時空間忍術の歪みが見えたのか?!」
三代目作のアルバムで、プチ復活したオレ達。 今日でイルカ不足は、三カ月と一週間目。 そして今、
四代目夫妻の慰霊碑に口寄せされた。 イルカ先生が戻って来るとしたら、ココって決まってるから。
先生が呼び寄せられた時は、アカデミーの会議室だったかもしれないケド、空間が開くのはココだけ。
イルカ先生が落ちて来た所、オレ達が見送った場所。 口寄せの巻物は、肌身離さず持っていた。
「先輩、空間がユラユラし始めましたっ!! 任務は大丈夫ですか?!」
「あらかた片づけたから、オレがいなくても大丈夫だろう。 よし、真下に行くぞっ!!」
落ちてくるだろう、イルカ先生を受け止める為に走った。 あの時はオレ達、下敷きになったんだよネ。
そうだ、あの時もこんな感じに、空間が歪んで裂けた。 そしてそこから先生が落ちて来るんだ。
スローモーションを見てるみたい。 早く、早くっ! もっと早く裂けろっ!! イルカ先生っ!!
あの10年間は、“イルカ” がいた。 だから耐えられた。 でもこの三カ月と一週間は地獄だった。
オレ達の世界にイルカ先生がいなかった、どこにもチャクラがなかったんだヨ? 気が狂いそうだった。
「「!!! イルカ先生っ!! 」」
待ちに待ったこの瞬間。 空間の裂け目から、イルカ先生が落ちて来た。 戻って来た、オレ達の所に。
両手を広げて受け止める。 あの時もそうだったけど、イルカ先生に意識はなかった。 でもいい。
空間は役目を終え、ゆっくりと閉じてゆく。 ちゃんと戻してくれたんだネ、過去のオレ達は。
イルカ先生のチャクラ。 そう、この優しいチャクラと温かい体。 やっと帰って来たオレ達の恋人。
「イルカ先生・・・・ グスッ。 イル・・・カ・・・・ お帰り・・・ウッ・・・」
「せんせ・・・ か、えり・・・・ うぅ、 ひっく・・・・の目を・・・見せて?」
「う〜ん、はっ! ・・・・カカシさん、テンゾウさん!! 只今、戻りました!」
「「ぜんぜいっ!!」」
やっぱり泣いちゃった。 イルカ先生の前だと、感情があの時に戻っちゃう。 みっともないよネ。
歴代暗部の中で、最強の部隊長・部隊長補佐と呼ばれていたオレ達。 誰も傍に、近づけさせなかった。
今は、オレは上忍師でテンゾウが部隊を率いている。 唯一先生は、そんなオレ達の愛の避難所。
先生の傍にいると、いつでも人に戻れる。 どんなに苦しくて辛くても、ソコがあれば帰ってこれる。
「う・・・なんですか、ふたりとも。 そんな可愛い顔で、泣かないで下さい。」
「・・・・だって。 先生がいなくなって、三カ月と一週間も経っちゃったんですよ?」
「過去の一ヶ月と二日は、今の三カ月と一週間だったの。 どこにも先生がいなかった・・・・」
「え?! ・・・・・大遅刻、教師失格。 ・・・ただいま。 ふたりの愛の産物が、戻りましたよ?
帰ったら思いっきり抱いていいぞって、約束しましたよね、あの時。 あの事、まだ覚えてますか?
大好き、愛してる、言葉で言い表せないぐらい、ふたりの事が大切でたまらないです。 俺の全て。 」
「「ううううう、イルカせんせーーーっ!!」」
イルカ先生はオレ達を泣かせる天才だ。 辛くて苦しいコトの後には、こんな幸せが待っている。
もうね、いっぱい殺して来たけど、 “だからナニ?” みたいな気分。 ホント生き残れて良かった。
先生とオレ達で、ジャンジャンいい忍びを育てるから! 歴代の火影様、それで恩返し出来る?
支えてくれた人には、感謝の気持ちを用意してある。 まずは仲間に借りを返さなきゃネ!
「ねえアスマ、イルカが戻って来たわよ? ホラ、コレ見て?」
「お、ズブロッカとマッカランじゃねーか。 ・・・・・・・と、なんじゃコリャ??」
「メモが入ってるわよ? ん〜と、“チュー印ガムについて” ・・・・・・ふ〜ん・・・・。」
「紅・・・・ オメー、そんなくだらないモン、使ってみるとか言わないよな?」
「まさか!! 使ってみるじゃなくて、使うのよ? ・・・・・ね、アスマ。 お・ね・が・いv」
「や、そんなモンなくても・・・・ バ、ヤメロって! ・・・・どこにつけてんだよ、ったく。」
「アラ、ほんと! 唇の形してるっ!! アスマのお腹に、可愛いキスマークvv」
「なんだ?? これ、あれか。 あの時、アイツらが持ってたヤツだろ? ・・・・やっぱりアホだな。
おれにこんなモン寄越したって、意味ないだろ。 いい年こいたおっさんが、どうしろと・・・・
・・・・・・・。 今日あたり久々、花街のルミさんのとこ、寄ってみるか・・・・・。」
思いっきり抱く予定だった。 先生からお許しも出てたのに。 13年前からの約束だったのに。
オレ達は昔の様に、イルカ先生を真ん中にして、一晩中くっついて、いろんな話をしたダケ。
あのアルバムをみせて、先生に“暗部を探せ!”をやってもらった。 んで、いつの間にか・・・・。
イルカ先生のデコちゅーで目覚めたら、夕方だった。 仕方ないよネ? やっと、熟睡できたんだから。
「先生・・・・ あの約束さ、今日の夜に持ち越してイイ?」
「先生、チュー印ガムも。 つけっこする。 先生につけたい。」
「ふふふ。 そう言うと思って、明日、有給取っておきました。」
「「イルカ先生っ! 大好きっっ!!」」
「俺も負けないぐらい、大好きです!」
人は時の流れの歯車のひとつ。 忍びだって人の子、幸せになったってイイでショ?
チュー印ガム、ほんとにあったら欲しいです。 リアルな唇のスタンプは持ってます!(笑) 聖