時の歯車 7
@AB
CDE
GHI
JKL
MN
力づくでオレ達ふたりが止めに入ったとしたら、イルカ先生は間違いなく殺されていただろう。
オレとテンゾウの為を思っての行動だとわかるから、部隊長を責められるはずがない。
三代目がやってきて、事態は収拾した。 部隊長がコトの真相を知り、謝罪をして一件落着だ。
イルカ先生の首には切り傷。 それだけで済んで本当に良かった。 ・・・・戻れなくなってもイイの?
「うーん、さすが暗部の部隊長のクナイだ、綺麗に切れてる。 これならすぐにふさがるぞ。」
「何のんきなコト言ってるんですかっ! 下手したら死んでたかもしれないんですよ?!」
「あはは、それはない。 だってこの人がその気だったら、俺は瞬殺されてた。 ・・・・でしょ?」
「・・・・降参だ。 俺の部下達の雰囲気が、ガラリと変わったからな。 どうしても気になった。」
「スミマセン。 せめて部隊長だけには、報告をしておくべきでした・・・・」
言われてハッとした。 テンゾウとケンカ腰の会話をしなくなった。 協力態勢で任務を遂行している。
チームワークを取れなかったんじゃない、取らせなかったんだ。 オレが自分を押しつけていたから。
生き急いでいたテンゾウ。 過去の自分とダブらせていたせいで、テンゾウ自身を見ていなかった。
“オレのように、なぜ動けない? オレと同じはずだろ?”と、どこかで思っていなかったか?
テンゾウは必死でついて来てた。 オレの過度の期待に答えられない自身に、苛立っていたんだ。
「ほう。 こ奴らは、そんなに変わったのか?」
「任務はパパッと終わらせ、喧嘩もしない。 仲良く家に帰るなんて、今までなかったですからね。」
「喧嘩?! うそぉ?! こんなに互いを信頼し合ってる人達は、いないですよ? ・・・・あ。」
「・・・・・オレとテンゾウが・・・・??」
「カカシ先輩に、信頼されるようになる、と??」
「イルカや、未来のコトを発言せぬようにと、申したはずじゃ。 ・・・・仕方のない奴め。」
「あはははは・・・・ スミマセン、気を付けます・・・・。」
イルカ先生は、オレ達が互いに信頼していると、確かにそう言った。 未来ではそうなんだ・・・・。
オレがテンゾウ自身を見るコトで、アイツはメキメキ伸びると思ったから、嬉しかった。
オレが出した答えは、間違いじゃないと、イルカ先生が教えてくれた。 ホントは駄目なんだろうケド。
「ところでおれ、あんた気に入ったんだけど。 なあ、今だけおれの情人にならないか?」
「部隊長! ナニ言ってるんですか! 未来を変えるつもりですか?!」
「男同士だから、大丈夫だ。 ガキを孕ませる心配はないし。 な?」
「イ、イルカ先生には、恋人がいるんですよ?! そんなの駄目に決まってますっ!!」
「なんだ、売約の限定品か・・・・。 まぁ、淋しくなったらいつでも呼んでくれ。」
「ふふ、暗部の部隊長って、面白い方だったんですね。 でも俺は・・・・あれ? なんで知ってるの?」
それは先生の部屋に忍びこんで、キスマークを見つけたから。 ・・・・・とは、口が裂けても言えない。
それより、部隊長がいきなり口説くなんて! イルカ先生を、暗部の任務に同行させなくて正解だった。
ウチの部隊長、気が強い人が好みだからネ・・・・ でも先生が、あんなに強く出るとは思わなかった。
首に傷までつくって、静かに論した。 部隊長じゃないけど、ああいう態度は人として尊敬できるヨ。
「ぁ・・・・ !!!! ちょとっ!!! なにすんですかっ!!! このっっ!!」
「ぃでっっ!! ・・・・・・・・お前の恋人、男だろ。 くぅー、残念! 喰いたかったっ!!」
「ぶ、部隊長・・・・ あんた、ナニやってんだ・・・・。」
「先輩、あの人、はやく引退に追い込みましょう・・・・。」
「ほほほ! 互いに高め合い、歴代暗部の中で最強の部隊長・補佐だと、言わせるのじゃぞ?」
「「 はいっ!! 」」
あろうことか部隊長は、先生の耳たぶを性的な意味で撫でた。 その延長で首筋も、ツツーッ って。
そして、怒ったイルカ先生に殴られていた。 避けようと思えばいくらでも避けられる様な猫パンチで。
明日から部隊長を追い越すコトを目標に頑張ろう。 はれて部隊長になったら、補佐はテンゾウだ。
・・・・・・でも・・・・ イルカ先生が小さくもらした声に、ナニが反応しそうになったのは、ナイショ。