時の歯車 13
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ふう、ナルトがなかなかアカデミーを卒業してくれない。 留年回数を聞いておけばよかったヨ・・・・。
これで四度目だ。 テンゾウもこの時期が来るたびに、ソワソワしだす。 ま、オレもだけどネ。
ナルト卒業の前に、あの事件の知らせが飛び込んできた。 先生の背中を傷つけた裏切り者の知らせ。
アイツか。 この日を夢見て、どんなに待っていたコトか。 オレ達の心を見せられるならそうしたい。
「お前がミズキ?」
「あ、暗部? なぜこんなとこに、暗部が来るんだ?!」
「あなたが知る必要はありません。」
「お、おれを殺すのか? た、確かに同胞を傷つけはしたが、アイツ死んでないんだろ?」
当たり前、死んでたまるかっつーの。 コイツが・・・・・ コイツがイルカ先生の背中に・・・・。
知らせを受けて、オレ達は火影様より早く、コイツが入院してるだろう木の葉病院へ忍び込んだ。
影分身を習得したナルトに、ボコボコにされたと聞いたから。 その後、行方不明になったらしい。
里抜けしたんだろう、と三代目から聞かされたと、あの時イルカ先生が言っていた。 ようは・・・・
イルカ先生、真実を知らなかったんだネ。 三代目がそう言うようにすればいいダケ。 でショ?
「や、やめてくれ、おれはただ・・・・・」
「いいコト教えてやろう。 お前が殺そうとしたナルトはな、四代目の実の息子だ。」
「あ・・・・ あの落ちこぼれが??」
「そしてあなたが傷つけたイルカ先生は、ボク達の生涯の恋人です。」
「!!!! イ、イルカ・・・・ が・・・・」
「元火影遺児 人柱力の暗殺未遂、私闘により同胞を傷つけた罪、十分、死罪に値します。」
「・・・・・・そうでショ? ・・・・・三代目。 コイツ、狩りますヨ?」
「一足遅かったか。 イルカに聞かされておったんじゃな・・・・ うむ、あいわかった、許可する。」
「「御意。」」
イルカ先生と同じように。 ま、傷じゃ済まないケド? 雷遁で背中から心臓ごと貫いてやった。
ほぼ同時に、テンゾウが木遁で手・足・頭を引きちぎった。 火遁で燃やしつくす。 もう跡形もない。
ネ? ほら。 きっと真実はこうだったんだ。 この後三代目は、イルカ先生にああ言うんだろうネ。
「このコトは他言無用じゃ。 さて。 ナルトがイルカ先生の額当てを貰った、と言っておったぞ?」
「じゃあ、アカデミー卒業ですね?! カカシ先輩!! もうすぐですよ?!」
「お前達はあの時、いろんな事を聞かされておったのじゃな・・・・ よく、頑張って耐えたの。」
「オレ達、今この瞬間から、ナルトに嫉妬してます。 実際そうなるらしいですヨ?」
三代目に、二度と無茶できないように、お仕置きしてやって下さい、と頼んでおいた。
あ、コレ。 イルカ先生が言ってた“包帯グルグル巻きの刑”か。 はは、オレ達のせいだったんだ。
少しずつ、少しずつ。 あの時の話が、現実になっていく。 もうすぐ、イルカ先生に逢えるヨ?
「イルカ先生ってどなたです? 七班は全員合格しましたよ。 上忍師の、はたけカカシです。」
「俺です!! わざわざ知らせに来て下さったんですか? ありがとうございます!」
「ところでイルカ先生。 この後、七班の誕生会をする予定なんですが、来てくれます?」
「そうか、アイツら・・・・・ え、俺?! もちろんで・・・・ あ、でもまだ仕事が・・・・」
「イルカ先生、後のコトはいいから。 七班の誕生会にお呼ばれして来なさい。」
「はいっ! ではお言葉に甘えて。 ありがとうございます、アカデミー長!」
えへへ。 実はコレ、引っかけなんだよネ。 待っているのはあの三人じゃなくて、テンゾウなの。
ちゃんとイルカ先生から聞いてる。 そう言って先生を、アカデミーから居酒屋に連れ出すんだって。
四代目からナルトの事を頼まれている木遁使いだ、とテンゾウを紹介するらしい。 もちろんオレも。
七班の誕生会は、主賓抜きの誕生会。 メンバーはオレ達三人。 ズバリ、人柱力を守る会だ。
「イルカ・・・・ 顔に似合わず、可愛らしい名前ですね、イルカ先生?」
「あははは、テンゾウとか、カカシとかも、そうとう面白いですよ?!」
「確かに。 まあ、お互い、名前のコトは言いっこなし、というコトで。」
「了解です、そうしましょう! でも、俺の他に、ナルトを見守って下さってる方がいたなんて・・・」
「ナルトを見守っているうちに、あなたも。 イルカ先生のコトもずっと見てました。」
「ボク達、実はイルカ先生が、大好きになっちゃったんです。 もうずっと前から。」
「?! あ、あの・・・・ それは・・・ どういう???」
「「こういう意味で!」」
イルカ先生の左右のこめかみに、ちゅっと優しく触れるようなキスを。 ふふふ、先生、固まってる。
コレぜーんぶ、あの時イルカ先生が教えてくれたコト。 いやー グッジョブだよね、速攻だもん。
この後先生は、真剣にオレ達のコトを考えてくれるらしい。 先生からの返事待ち。 明日までの我慢。
そしてオレ達は、親父が残してくれたあの家で、一緒に暮らすんだ。 人もうらやむ、恋人達になる。
「俺なんかを選んで下さるなんて、今でも信じられません。 でもおふたりを信じようと思います。」