真実を抱きしめる 14   @AB CDE FGH IJK LN




よかった。 彼女なら絶対に妹さんの姿を見ても、逆上しないと思ったんだ。 ご両親も末の妹さんも。
雲雀さんから知らせを受けて一度だけ会いに来た。 とても辛くて普通に話す自信がないと言ってたけど。
自分の子、姉の変わり果てた姿を見て、泣いてしまそうになる衝動をこらえ、頑張って話しかけていたっけ。
なんのためらいもなく、ブヨブヨとした半透明の茶色い物体に触れて、抱きしめていた。 燕さんの真実を。

全部を知らせる必要はない。 死に逝く者に、それみた事かとわざわざ鞭を打つ必要はどこにもない。
医療班も皆、そう思っていた。 でもその判断をするのは俺達じゃなくて、依頼人であり当事者の家族だ。
一番辛いのは、近くにいて何も気付けなかった自分達。 それを痛感しているだろう家族が選ぶ選択肢。

雲雀さんほど気丈じゃないにしても、家族の絆はきっと充分過ぎるほど伝わっていた。 現に燕さんは・・・・
彼女は自分の姿が異生物になってしまったとは、露ほども感じていなかった。 それは思いの深さに他ならない。




「いろいろとお世話になりました。 でも・・・・ いいんですか? あんな依頼料で・・・・」
「事実上任務は失敗です。 あれ以上頂けませんよ、依頼人の望みが叶っていないのに。」
「私、これでも会社では重要なポストに就いているんです。 あまりにも・・・・・」
「では、また何かあったら、木の葉を頼って下さい。 ウチもその時は全力でお力になるつもりです。」

「・・・会社の慰安旅行の・・・・ 下見とか。 社員の査定とか。 そんなのをお願いしても??」
「もちろん! 忍者は変化が出来ますからね、どんなご要望にもお応えします、しかも口は堅いです!」
「あははは! 凄く親しみが持てちゃう! 忍者さんって、凄い人達だって分かったのに。」
「雲雀さんも燕さんも。 皆、火の国の民の一人ですから。 俺達の力は民を守るためにあるんです。」


俺は暗部の奥さんだからと、特別に教えてもらえた。 今回の事は全部、同じ木の葉の忍びの仕業だと。
液状や霧状など、普通では考えられないような異生物。 何の為にそんな実験をしていたのか。
怪しまれずに情報収集できる何かを作ろう、透明な人間を作ろう、次々量産できる使い捨ての何かを。
・・・・・思いつくだけでもたくさんある。 でもどれも、一般人を使ってしなくてもいい。

モルモット代わりなら重罪人がいる。 実際に不治の病で、自らをウチの研究所に登録しに来る人も。
木の葉の医療班にも研究施設があって、人体実験だって行っている。 けど、線引きはどこかで必要だ。
誰でもいい訳じゃない。 本人が望まないのにそれを行ってしまったら、もう里の忍びとは言えない。

今回の事も、最初からそういう実験をすると里に申告があって、それでも被験者が自分の意志で集まれば。
例え三代目でも口は出さなかった。 ・・・・・あんな姿になっても良いという人間が本当にいれば、だ。
どこをとう探してもそんな人間、世の中にいる訳がない。 ごく普通の一般人なら、それは皆無に等しい。



「・・・・・国を守る忍びの里に、写真なんかお願いしても聞いてもらえないだろうな、なんて。」
「火の国を守る=国の民を守る事です。 それこそ、暗殺から子守りまで。 それがウチの売りですから!」
「ふふ。 私達民が安心して暮らしているのは、そんな忍びが国を守っているからなんですね。」
「・・・・まあ、そう思って頂けると、俺達は明日も頑張ろう! って思う訳です、はい。」

「・・・・・忘れません、妹にして下さった事、会わせて下さった事。 私の国のこの里を誇りに思います。」
「お元気で。 いつでも頼って下さい、あなたの里を。 どんな事でも、どんな時でも。」
「・・・・・・・はいっ!」

今回の発端となった任務依頼をした依頼人、雲雀さんは。 何度も何度も振り返っては頭を下げた。
小さくなってしまった妹の、その灰の入った壺を胸に抱いて。 燕さん、雲雀さんは本当に強い人だね。
木の葉の里からも本当はお礼を言いたいぐらいだ。 あんな実験・・・・ 水面下で潰せてよかった。



・・・・? あの後、キリキリ煩かった二人になんて言ったか? ふふ、決まってるだろ? 俺達は家族だ。
ついこの前、火影岩にもそう誓ったばかり。 なのになんであんなに不安がってんだか、サッパリだ。

もともとのスキスキオーラに加えて、ウルウルオーラ? って言うのかな、なんかこう・・・・・
そんな事ないよね? 見かけだけやテクに惚れた訳じゃないよね? っていう不安げな瞳??
あー あんなにカッコいいのに。 ラブモード垂れ流してるくせに。 ウルウルしてるんだ、瞳が。

反則だろう、なにあの可愛さ。 片方は俺と同じで片方は俺より年上なんだよ? 信じられるか?!
しかもメチャクチャ強えーし。 本気で手合わせなんか頼んだら、俺なんて1秒でKOだよ。 なのに。
そんな超一流の忍びが“自分達のどこが好き?”なんて、怒りながら聞いて来るんだもん、駄目だろう。

俺の保護欲、どこまで刺激してくれるんだ! って話。 まあ、すぐセックスに移行するのがたまにキズ。
気持ち良いい? 本当に? 本当の所はどうなの? 気持ち良いの?? なんて、必死になって。
失神しちゃうんだから答えるまもなく、ペチペチと叩き起こされて、また挿入開始。 質問責めも続行。
カオルさんの栄養ドリンクとアズサさんの針のおかげで、次の日は俺の体も無事回復したんだけど。

だから回復した後で、言ってやった。 婚儀の際の火影岩への誓いと同じように、二人の指先にキスをして。
そしたらまたラブスイッチ押しちゃったみたいで、朝から盛られちゃったんだけど、でもそれはそれで。
俺には薬と針という強い味方があるし? 飽きるまで食え、こんにゃろう! って感じになる。

あんな事で二人が安心してウルウルじゃなくなるのなら、喜んで何度でも言うよ? お安い御用だ。


『 病める時も 健やかなる時も ・・・・・テクがあってもなくても、顔がよくても悪くても。
  液状だろうが霧状だろうがゼリー状だろうが、どんな異生物になっても。 共にいる事を誓います。 』
『『・・・・・・・・・。』』

『そ、それは。 当たり前でショ、オレ達は家族なんだからっ! モウッ!』
『い、いまさら改めて言わなくても、ボク達は知ってますよ、そんな事っ!』
『・・・・くすっ! いいんです、俺が言いたかったんです!』

『・・・・・あ。 ラブスイッチですね? もう、朝っぱらからっ!』
『ホントだヨ! オレ達の、どんだけ搾り出せば気がすむの?!』
『『もうっ!! このお誘い上手さんめっvv』』
『はいはい、俺はエロですよーだ。 ただし、お二人限定ですけどね? ふふふ!』