真実を抱きしめる 7   @AB CDE GHI JKL MN




ふたりは俺の両頬にそれぞれキスをして、火影室に戻って行った。 今頃、あの任務の話をしてるだろう。
色つきクナイの刺青を見て、ヘニョリと目尻を下げて喜んでるくせに。 暇があったらお腹さするくせに。
なんだか分からないけど、俺の話から何かをひらめいたらしい。 相変わらずカッコいいーな、もう!

どこかで俺が木ノ葉丸君と遊んでいるトコロを見てたんだな、きっと。 いくら俺でも、もう手一杯だ。
・・・・・ツバサ君の依頼の時も、めちゃめちゃガタが外れたから、絶対気にするだろうと思ったんだ。
しっかり火影様に先手を打って“子守りはしませんよ”と強く釘をさしておいたし! 首尾は上々だ。
アカデミー生が甘えてくるぐらいまでは、なんとか我慢してるみたいだけど。 木ノ葉丸君はNGだろう。

あんなに必死になちゃって! でも・・・・ 他の人です、なんてさも心当たりがある様に言っちゃった。
どうするか。 ・・・・・・・あ。 今、担任持ってない猿飛家命のエビス先生に・・・ 頼んでみようかな?
三代目がエビス先生にぜひとも頼みたいと言ってましたよ、とか何とか言えば。 喜んで子守りをしそう!



結婚式のあった日、その後一番最初に受け付けた任務依頼があの依頼だった。 よく覚えている。
火の国の大きい町で働いているのだろう、忍びの里が珍しいのか、依頼人はキョロキョロと興味津々で。
見かけはキャリアウーマン風なのに、好奇心丸出しのところが年相応の女性に感じて、微笑ましかった。
依頼内容も家族愛からくるモノで、盗撮という言葉を出していいのかさえ迷っている感じで・・・・・。

三代目もそんな依頼人に“宜しければ里の中を探検してみなさるか?”そう声をかけてあげたぐらいだ。
まあ、もちろんそれは俺に、軽く案内して里の甘味屋の紹介でもしてこい、って事なんだけど。
町に戻ればしっかりと働く女性、リピーターになってくれそうなご新規様のおもてなしも、大切な仕事。



それから依頼人を里の門まで送って・・・ あの後、忍びに振り分ける為に任務依頼書を作成して・・・・
次の日、そのBランク任務を中忍二人が請け負った。 まだ任務報告書が上がってないなと思ってたけど。
まさか暗部が絡むような事態になってたとは。 洗脳って言ってたな、カカシさんとテンゾウさん。
被写体を自由に撮影されては困る要因がある、そうも言ってた。 それより里の結界札じゃなかったなんて。

「考えられないよ。 だって俺が結界札の情報を調べた時、確かにいつも通りに購入してたんだ。」

だから大元の火の製薬は知らない事なのかもしれない。 ひよっとしたら、その血液センターだけかも。
そう考える方が自然だ。 まあ、カモフラージュの為に購入、火の製薬もグル、そうも考えられるけど。
でもあそこは本当に木の葉とは長い付き合いで・・・・ だから火影様だって事情を聞いたんだ。
盗撮の相手は老舗の大企業 火の製薬、そこの機密情報を盗む依頼なら、きっと断っていたはずだから。


・・・・・これは里と火の製薬の信用問題だ、暗部が絡むのも頷ける。 でも依頼人の妹さんは?
何か問題があって暗部が絡むとなると、それは殲滅任務しかあり得ないから。 きっと彼女は何も知らない。
彼女はなんとか助けてあげられないかな。 血を提供しているだけの快適監禁生活を送っているだけだし。

「洗脳なら、そう思い込まされているだけ、って事だ。 自分の血液が人の命を救っていると・・・・・。」

だったら、それ自体が違うのかもしれない。 逆に、人の命を奪う様な実験に使われているのかも。
・・・・・まあ、俺が何をどう考えてもさっぱりわからない。 あの任務依頼は暗部に回された、ってだけ。
俺はふたりの奥さんだし、今回たまたま知らせてもらえたけど。 暗部の任務はほとんどが極秘扱いだもん。
初期の洗脳なら、なんとか解いてあげられないかな・・・・・ 時間がかかるかもしれないけど。


「ぶっ! 俺がラブスイッチを入れてるだって?! どうしてそうなるんだよ、ふふ、もう可愛すぎ!」
「なあ、イルカ。 聞いていいか? ・・・・ラブスイッチって、ナニ??」
「ふふふ、ああ、それね。 ふたりが急にデレっとする瞬間の事。 俺が命名した! くすくす!」

「デレっとするスイッチ? ・・・・・ますます分からん。 お前分かる??」
「うんにゃ、全然。 てか、最初からデレだったよな? 途中、シャンとしたけど。」
「うん、また最後には、デレに戻ったしな。 ちゅー しに来たんじゃね? ひょっとして。」
「・・・・・そうかも。 任務前の行ってきますのちゅー? 新婚だしな、仕方ねーか!」

「あー あ―――― 可愛い。 なんであんなにあの二人はカッコ可愛いんだろか。 ・・・・どう思う?」
「「知らねーよっ! 母ちゃんモードになってんじゃねぇ! 仕事しろっ!」」