優しい獣達 13   @AB CDE FGH IJK MN




『同意の上のそういうプレイ』だって。 最中に何も覚えていないイルカ先生が、多岐中忍に言った言葉。
先生を好きになって良かった。 ボク達を好きになってくれてありがとう。 壊れていても、先生は先生。

自分達が一番最初に顔を拝みたい、って五代目に我儘を言った。 拷問部に連行させる、と返って来た。
ナルトのチャクラコントロール修行が最優先だから、って。 でも、どこかで誰かが応援してくれたんだ。
きっと三代目だな。 多岐中忍のお節介対策に、留守中イルカ先生のガードを頼む予定だったアスマ先輩。
風遁気質のこの人なら、ナルトの修行もイルカ先生のガードも、どっちも引き受けてくれる、って思った。

「残念なお知らせがありマース。 サギリ君は、実は木の葉の潜入部隊の中忍でした!!」
「八年間か。 火の国で探しまわった? あと・・・・ 他の国にも行ったりしましたか?」
「ココにいるイルカ先生が、アンタが今まで探していた、その中忍デス。 会えて嬉しい?」
「先輩、両目潰したんだから、見えないですよ! 声帯も切ったから、名前も呼べないし?」

辛くて苦しくて、自分に負け欲に溺れる。 自己嫌悪で泣きながら、イルカ先生の優しさに包まれる。
抱き返してくれる腕もない、名前も呼んでもらえない、大好きなあの目を隠さなきゃならない。
この四年間、その悪夢の繰り返し。 でもそれも今日で最後。 どんなに虚しかったか、わかりますか?



「上忍が中忍に絡め取られてどうすんだ! 木の葉隠れには、そんな間抜けはいないっ!」
「・・・全くだよね? 本物の味見係のコチさんを殺しておいて、サギリに告白する気だったの?」

「こんなコトで俺が思い通りになると? 木の葉の潜入部隊を舐めんじゃねーよっ!!」
「ええ、先生は優秀な潜入員ですよ、昔も今も。 霧の上忍ですらコレですからね?」

先生に代わる代わる入りながら、コイツに聞かせる。 鼓膜だけはこの為に残しておいたんだから。
耳は削ぎ落しても、聞こえるでしょう? ホントは声も聞かせたくないんだけどね、イルカ先生の為。
今まで耳をふさぎたかった言葉。 全部コイツに向けて言った言葉。 本人に言えてよかったですね、先生。

まだ続きますよ? 先生はずっとあなたを罵倒し続けますから、最後まで。 ちゃんと聞くんですよ?

「お待たせ、うみの中忍。 枯れ葉の術紙読んだヨ。 お子様から伝言も聞いた、お手柄だネ!」
「うわ、暗部だ!! まさか暗部が動いてくれたの?! へへ、俺頑張ったでしょ? 生きてますよ!」
「さすが木の葉の潜入部隊です。 霧の上忍がコロリと騙されてましたよ?」

「ありがとうございます、きっと来てくれると信じてました、木の葉隠れは仲間を絶対見捨てないから。」
「当然。 仲間が絡んだら、オレ達は無敵! アンタ達が信じてくれるから。 生き残ってくれるから。」
「そうです、生きる道を選んでくれて、ありがとう。 ボク達を信じて待っててくれて、ありがとう。」

目隠しを取ったらボク達、救出部隊の登場。 真っ直ぐボク達を見て、心から感謝してくれる。
今日はその気持ちに、泣かないで堂々と答える事が出来る。 あの日の先生の心にやっと答えられる。
あ・・・・ 気が付いた? そう、コイツが霧の上忍。 中忍に絡め取られた、バカな上忍ですよ。

「ねぇ、うみの中忍。 今コイツ殺すから。 しっかり見ててネ?」
「まぁ、半分死にかかってますが。 今止めを刺しますからね?」
「「!!!!!!!」」

先生は足元に転がってた霧忍の体に馬乗りになり、ボク達が手を下す間もなく、ヤツの首をへし折った。

「くそっ! 散々人の体を好き勝手しやがって! もうちょっとで陥落しかかったぞ?!」
「・・・・・・ふ、ふふふふ。 アハハハ、うみの中忍最高っ!!」
「あはははは!! さあ、帰りましょう、木の葉の里へ。 三代目が待っていますよ?」
「うぅ〜 また怒られるな・・・・ “勝手に動きおってからに!”って・・・・」
「「ぷっ! あははははは!!」」

拷問部が死体を回収に来たけど、何があったとか、どうしたんだとか。 余計な質問はしなかった。
これで、イルカ先生の潜在意識が、あの日の終わりを知る。 お帰り先生、ボク達も諦めずに待ってたよ?
まさか自身の手で殺すなんて、夢にも思わなかったけど。 ボク達の光は、やっぱりもの凄く強かった。