優しい獣達 5
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これでもう、チャクラ切れを多発させる心配はない。 もちろんテンゾウも・・・・あ、ヤマトだった。
火影様にもチャクラをわけてもらい、オレ達は影分身に変化をかけて、四年間それぞれを国外へ出していた。
雷の国の北雲地方と南雲地方に別れて。 今朝、南雲地方にいたヤマトの分身が、ヤツを見つけた。
あの日から今日まで。 これでやっと元の、オレ達のイルカ先生になる。 今ヤマトの分身が拘束している。
「四柱牢の術で捕らえてあります。 逃がしません、絶対に。」
「・・・・気持ちはわかるけど、まだ傷つけちゃダメだよ?」
「ははは。 逆だったら、同じ事注意するでしょうね、ボクも。」
まったくだ。 拘束した時点で、半殺しにしたいよネ。 医療班に治療を頼めばイイだけだし?
オレ達は今まで潜入していた時のイルカ先生になって、その人物の祖国である雷の国ですごしていた。
イルカ先生の姿でこの国にいれば、ヤツの方から近付いて来る。 そう踏んで、長年潜入していた。
どんなにこの時を待った事か。 待っててネ。 アイツ、イルカ先生の目の前で殺してあげるから。
「先輩、何か話しかけていてくれませんか。 でないとボク・・・・」
「・・・・そうだネ、オレも同じ。 んじゃ、イルカ先生と出会った時のオレ達を思い出してみる?」
「ははは、威圧的で、でも世話焼きでしたね、先輩は。」
「ふふ、お前は生意気で、くそマジメな後輩だったヨ。」
「どうでもいいけど、オレの足だけは引っ張んないでネ?」
「自分以外は、邪魔ですか。 どうかと思いますよ、そういう態度。」
「ほざけ。 ココじゃ、お前みたいな生意気なヤツは長生き出来ないんだヨ。」
「まあ、暗部の大先輩の忠告として聞いておきます、一応。」
コイツは猫部隊のナンバー2。 『敵が多いから、おれが任務の時は頼むね〜』と猫班のトップに頼まれた。
もうじき引退予定の自分の後釜に推薦するって、アイツが大事に育ててるらしい。 ズケズケ言う木遁使い。
オレにも任務が入って、アイツはまだ帰ってきてない。 必然的に、コイツがパートナーってコト。
火影様も『丁度いい、お前なら大丈夫じゃろ』とツーマンセルを組ませた。 オレは猫班の子守りか!
「火の国の大名の城に潜入中の料理人がいなくなった。 その中忍を探し出さなきゃならない。」
「・・・・・敵が拉致ったとして、木の葉の潜入員だと知ったら、すでに殺してますよね?」
「まだバレてない、ってコトだ。 ・・・・・結構優秀な潜入部隊のヤツらしい。」
「ボク達が見つけるまで、なんとかバレずに生き抜いていてくれたらいいな。」
「【恥をかかせた償いはしてもらう】 なんだか漠然とした脅迫状ですよね。 的を絞れない。」
「何が目的なのかわからないから、潜入隊員が単独で潜ってたんだ。 いなくなったけど。」
「悪戯かもしれないが、一応、木の葉の忍びに様子を探ってくれ、そういう依頼だったんですね?」
「うん、料理人として潜入。 でも城のお子様がなついて、読み書きも教えてたんだって。」
「悪戯なんかじゃなかった。 ウチの潜入員が応援を要請したってコトは、そういうコトだヨ。」
「護衛対象の前からいなくなった。 彼は何かを掴んだから、応援を要請していなくなったんですね?」
ただの生意気な奴じゃなかった。 ちゃんと冷静に物事をとらえてる、さすが猫部隊のナンバー2だ。
・・・・・アイツ。 引退後の次期部隊長の力を、オレに見せたかったんだな? 過保護なヤツめ。
戌部隊・猫部隊は火影様の両腕も同然。 もう少ししたら、コイツがオレと肩を並べるのか。
そういや、オレも前任者の引退前にアイツと組まされたっけ。 コレは暗部の伝統なの? まあいいケド。
オレ達が城に到着すると、なにやら騒ぎが起こっていた。 忍び込み、壁と同化しながら情報を収集する。
行方不明になっていた城のお子様が、無事に帰って来たらしい。 依頼人の大名も、ほっとしている。
昨日の晩から姿が見えないので心配していた、みたいなコトを、皆が口をそろえて言っていた。
「父上っ!! うぅ、サギリが・・・・・ わぁ〜ん!!」
「こ、これ、菊千代〈きくちよ〉泣いていてはわからん、サギリがどうしたのじゃ?」
「うっ、うっ・・・・ サギリが うっ、 ボクを・・・逃がして・・・・うっう〜〜〜!」
「!!!! まことかっ! サギリが・・・・。」
単独で潜入員が潜る時は、安全を考えて城の誰が木の葉の忍びなのか、依頼人本人にも知らせない。
察するところ、この子が誘拐され、なんとか逃がしたはいいが、自分が拉致られた、ってトコかな?
“サギリ” は潜入員。 木の葉の中忍、うみのイルカ。 【救援求む:我城を空ける】 の式を飛ばした。
おとなしく警護と諜報に専念してればよかったのに。 ミイラ取りがミイラになってどうすンのヨ。
ん? あの子の頭についてる枯れ葉は・・・・・・。 おいお前、あの葉っぱ、取れる?
城に潜入しているのは霧隠れの忍び二人だ。 二名とも上忍と思われる。
昨夜城にいなかった人物で、この後に戻った人物を大名に確認すれば、その中の誰が霧忍の変化かわかる。
もし手に負えないようなら、さらに応援を要請してくれ。 あとで忘れずに俺も回収して欲しい。
“解”と唱えると書簡になる。 それはまぎれもない変化術紙、枯葉に似せたサギリからの文だった。