優しい獣達 15   @AB CDE FGH IJK LM




昨日カカシの忍犬が運んで来た男は、大名 陽公様の跡取りを狙った霧隠れの上忍なんだそうだ。
昔潜入中のイルカが、ソレを阻止した。 それ以来、つけ狙っていたらしい。 霧の上忍がただの中忍を。
まぁ、五代目からの情報はこんなもんだ。 もっともらしい話だが、真実は闇の中ってな。



「そうだ、それで良い。 それが風遁チャクラをコントロールする、ってコトだ。」
「ヤッターーーーッッ!! ヒゲ先生、ありがと、だってばよっ!」
「おれはナンもしてねぇよ。 オメェが自分でコツを掴んだんだ。」
「へへへ、俺ってば、超天才?! そんでもってサクラちゃんも惚れちゃう?!」

おうおう、いっちょ前に色気づきやがって。 惚れた相手にカッコつけたい気持ちはわかるがな。
うぬぼれ・思い上がり・自信過剰・・・・・ 女が一番嫌いなヤツを武器にしようなんざ、ガキ丸出しだな。
心配しなくても四代目の息子なら、いつかきっとスゲー男になるぜ、ナルト。 ・・・・先は長そうだが。

「へっ、何言ってやがる! 女に惚れてもらうには、まだまだだな。」
「ど、どうして?! 俺ってば、強くなったし、サクラちゃんだって・・・・」
「力が強いだけじゃ、惚れた女は手に入らねぇ。 ・・・・服従して腹を見せろ、一発だ。」
「????  腹・・・を?? 意味分かんねーってばよ・・・・。」

はははは・・・・ だな。 オメェにゃ、なんのコトだか、さっぱりだろう。 でもな、ナルト。
いつか、そのままのオメェを好きになってくれる奴が出てくるさ。 上辺以外を見る眼を持つ人間がよ。
九尾だか、人柱力だか知らねーが、おれ達忍びは、弱肉強食の世界に生きてる獣なんだ、みんな。
飼い主を逃すんじゃねーぞ? おれら獣は飼われて、腹撫でてもらってる時が、一番幸せなんだぜ?



「それこそ、良い手本がいるじゃねーか。 ほら、ソコによ。」
「あ、カカシ先生とヤマト隊長だ!!」

「よ、ナルト。 イイ感じにチャクラコントロール出来てるじゃナイ。」
「おおよ! 俺様渦巻ナルトに、“諦め”の文字はないってばよ!」
「見違えたよナルト。  アスマ先輩、ありがとうございました。」
「めんどくせ―からほっといただけだ。  ・・・・・・なんだ、おい。 そのにゃけた面はよ。」

「そう言えば、なんかふたりとも機嫌良さげだってばよ。 あ、俺が頑張ったからか?!」
「・・・・・うん、そう。 ナルトも頑張ったよネ。 じゃぁ、もっと頑張ろうか。」
「はは、これからが本番だよ? 尾獣チャクラをコントロールしなくちゃね、ナルト?」
「うっしっ! 先に行ってるってばよっ!!  じゃぁ、ヒゲ先生。 シカマル達によろしくな!」



ははは、行っちまいやがった。 ゴムまりみたいな元気なヤローだぜ。 ゴムまりはかわいそうか。
風遁気質だから“疾風”ってのはどうだ? 新たな風を巻き起こす、疾風のナルト。
我ながらイイ通り名をひらめいたじゃねーか、 ・・・・・って、聞いてんのか、おい?! 

「ン? あ、ゴメンゴメン。 つい今までの思い出が・・・・。」
「なんて言うんでしょうかね、こう・・・・ 感無量っていうか・・・。」
「ほう。 つまりは今、三人とも幸せってコトだな?」
「そう!」「そうです!」

そうか。 お前達が今、幸せならそれでいい。 愛する者を守る為なら、おれ達はいつでも獣になる。
あの多岐にも、いつかそんな相手が現れるさ。 アレだけのイイ女だ、周りがほっとかねえだろう。
親父の実の息子でありながら、バカな勘違いをして里を飛び出したおれ。 少しは役に立てたか?
暗部にいながらも、早くからソレに気付いてたお前達。 火影の両腕と呼ばれるのは、だからなんだな。



「獣の飼い主ってさ・・・・ もの凄い根性あるよネ。」
「ちょっと噛まれても、痛くも痒くもないって感じです。」
「おれたちゃお互い、良い飼い主に恵まれた。 死ぬまで可愛がってもらおーぜ。」

親父も、五代目も、おれ達も。 木の葉で飼われてる獣は皆、人の温もりを知っている獣達だからな。
おれの命の懸けどころは、紅とまだ宿りたての我が子、さっきのナルトやベビー猪鹿蝶のような奴ら。
きっとそいつらの為に、おれはどんなコトでもしてしまうだろう。 なあ、お前達もそうなんだろ? 

「そうそう、責任持って可愛がって貰わなくちゃ! ネ?」
「んで、他所の獣が噛みついた時、おれたちゃ飼い主を守る。」
「ですね。 縄張りを荒らした奴は、生かしておいちゃ、駄目です。」



さしずめあの霧の上忍は、お前達の飼い主に噛みついて、縄張りを荒らした奴なんだな?
ははは、なら・・・・・  死んで当然だ。 どんなに優しくても、自分の飼い主を噛まれて見逃す獣はいない。




壊れイルカ先生に挑戦。(笑) でもって、三代目の最期の言葉も入れてみたりv(苦笑)   聖