優しい獣達 2   @BC DEF GHI JKL MN




イルカ先生に恋人がいるのは知ってた。 だってその人達は、木の葉で知らない人間なんていないから。
アカデミーの見習い教員だったイルカ先生。 あれから五年、今は私がアカデミーの見習い教員。
卒業後、下忍・中忍になって、現場でいくつも任務をこなし、もちろん、人も大勢殺した。

「なんだ、おい、元気ねーな。 多岐〈たき〉、ベっぴさんがもったいないぞ?」
「クスッ。 ちっとも変ってませんねイルカ先生。 空気読めなさ過ぎ。 昨日、消宮だったんです。」
「そ、そうか、ごめんな。 里のくのいち 多岐 ミコト に敬礼! ・・・・心から尊敬するよ。」
「あはは、ホント不思議。 空気読め男なのに、本心だってわかるから、怒る気になれないのよね。」



“破瓜”は、処女膜を破る儀式。 精神的負担をなくす為、くのいちは皆、必ず破瓜の儀式を受ける。
忍びとして生きて行くには、体全てが道具。 木の葉のくのいちが優秀なコトは、他里も知ってる。
“消宮”は、子宮を取り除く儀式。 洗脳され孕まされた時の為に、任意で受ける事が出来る。
たくさん卵子を里に提供して、昨日私は消宮の儀を受けた。 二年前敵に、捕縛された経験があるから。

他里のヤツらに、私の子宮を利用されてたまるか。 でもやっぱり、ちょっとだけね・・・・ ヘコむ。
先生は忘れてるかもしれないけど、始めて声をかけて来た日も、破瓜を済ませた次の日だった。
ほんと“人生分岐点センサー”でもついてるのか、と思うぐらいのタイミング。 一種の才能かな?
教員を目指したのは、イルカ先生みたいに、誰かの人生の節目の思い出になりたい、って思ったから。

「ねえ、イルカ先生、聞きたい事があるの。 ホントのコト言って。 今みたいに。」
「ん? なんだ、あらたまって。 言ってみろ?」
「・・・・その体のアザなに? 生徒に砂まみれにされたって、医務室で着替えてた時、私見たのよ?」
「多岐、お前・・・・。 あー、これは事情があってな、気にするな。 心配かけて悪かったな?」

気にするな? ・・・・先生が一緒に暮らしてる人達も知ってるの? あの優しそうな人達も??

里のエリート暗殺集団。 彼らの暗躍がなかったら、この表向きの平和的雰囲気は保たれていない。
ふたりとも今もそこの部隊長クラスだ。 だからイルカ先生にこんなアザがあるなんて、許せないはず。
・・・・? そうよね、こんなアザつける奴がいたとしたら、あのふたりが黙ってるはずがない。

「・・・・・・もしかして、先生の恋人がつけたの? 獣は獣、里の暗部もやっぱりそうなんだ。」
「あのな、多岐。 暗部は並みの神経じゃ生き抜けない。 そんな事ぐらい知ってるだろ?」
「十分すぎるほど知ってますっ! 信じられない、外ではあんなに優しく接しててっ!」
「なんだ、わかってるじゃないか。 すごく優しいよ、ふたりとも。 俺には優しい獣達だ。」





他里の暗部に捕縛されチャクラを封印、体に筋弛緩剤を打たれた。 輪姦された後、種付けが始まる。
一緒に捕縛されたくのいちは、逆さにされ、精子を流し込まれていた。 次は私の番だと絶望がよぎる。
木の葉の仲間を思い出していよう、火影様を。 あと、あのアカデミーの見習い教員との会話も。



『腕力じゃ、どうやっても男には勝てない。 なんでこの体はこんなにヤワなの、くやしい。』
『非力でも女の精神力は凄いぞ? どう逆立ちしても、女の心の強さに俺達男は、かなわないよ。』
『そういうモノ? ・・・・へんなの。 先生見習いが、くのいち見習いを褒めてる。』
『くのいちだからと、自分を卑下するな! 木の葉の忍びだと胸を張れっ!』

『・・・・・ それを、明日卒業する私に、言う為に来たの?』
『あー 昨日破瓜の儀で、泣かなかった子がいたって、聞いたから。 それでな。』
『面と向かって破瓜の儀がどうのって・・・・ 空気読めなさ過ぎ。 せんせ、モテないでしょ?』
『モ、モテなくてもいいんだっ! 俺には分かってくれる人達がいる!  あときっと、お前にもな?』



そう、こんな事なんてナンでもない。 私をわかってくれる人が、木の葉にイッパイいるじゃない。
絶望? 悲観? なにやってんの私。 私は木の葉のくのいち。 敵が喉から手が出るくらい欲しい体。
だったら。 利用してやろうじゃない、逆に。 なんとかこの舌の仕込みを発動させてやる!

「ああ・・・・ もっと頂戴。 ねえ、お願い・・・・ 下をふさいでる間、口にも欲しいの・・・・」
「はっ! おいみろよ、とうとう陥落したぜ、木の葉のくのいちが! 欲しいんだってよ!」
「いいね〜、無理やりも飽きた。 どうせなら楽しみたいもんな?」
「うわ・・・・ こいつ最高・・・・ なあ、後で洗脳してやるから。 おれ達の里で暮らそうな?」
「あぁ・・・ んん、 ん・・・・・・ おいしい・・・ もっと・・・・」

さっきから私の中に入って腰を振ってた男。 別の男がたまらず、といった感じで口に入って来た。
暗部が聞いて呆れる。 ははは、バーカ。 くのいちの口に突っ込むバカな忍びがホントにいるなんて。
私の舌の仕込みは、操心呪印。 ターゲットに口づけしてその心を思いのままに操る、というもの。
イチモツだって同じだ。 私のあふれる唾液が男の体内に入っていく。 呪印をのせた私の唾液が。



同志討ちしてね? はーい、終了! 筋弛緩剤の効果がキレるまで、精液まみれのまま転がってた。
同じように捕縛されてた彼女も。 敵忍の血と死体に囲まれながら、色々話をして体が動くのを待った。
ウチの暗部にこんなバカいないよね、乾いた精液ってバリバリして気持ち悪いよね、って笑いながら。

『どう逆立ちしても、女の心の強さに俺達男は、かなわないよ』 ・・・・・あの人、もう先生になってるかな。




「くのいち の観察眼を舐めないでよね。 それ、どう見ても性的拷問を受けたアトよっ!」
「さっきも言ったけど、大丈夫だから。 了承済みだし、個人的な問題だ。 だろ?」
「・・・・・もういい、わかった。 (見ればわかる、私は騙されない! 恋人にこんな・・・・)」
「・・・・・あー、 あのな、これはホントそんなんじゃないから。 同意だから。」

同意? 同意があれば、何をやっても許されるの?! 普段いつも、穏やかな三人を見ているから、
この憤りを、どこにぶつけていいかわからない。 ひとコト言ってやらなきゃ気がおさまらないっ!!