命の代償 16
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有り得ねー・・・・ アナルセックスだぞ?! ヌレヌレ、ってなんだ、おかしいだろうが!
そりゃ息子は・・・・ って! 違うだろ、俺の息子の事はどうでもいいんだよ、尻の話だよ!
尻穴が濡れない事は男と女の共通点なんだぞ、それなのに・・・?? ちょっと待て? もしかして。
そういや昔母ちゃんが言ってたっけ。 “この瞳でみつめれば獰猛な獣の雄もイチコロよ” って。
雄用フェロモンが増大する、俺が頼んだからそういう仕様だけど。 フェロモンだけじゃない、とか??
・・・・・・・・・・。 動物の雌は発情期になるとオスにPRしまくるよな? その為だけに。
自慢じゃないが母ちゃんは結構デキル上忍だった。 肉親ならではのDNA配列が関係してる?
配列が90%以上一致する肉親は、チャクラのシンクロや術の浸透率の相乗効果がハンパない。
三代目が解術不可能だと言ったのは、もしかしなくても俺の体の一部になってるからじゃないか?!
・・・・・どんな獰猛な獣もイチコロ・・・・ か。 うん、母ちゃん、その通りだったよ。
俺の瞳術、同種族にまで影響を及ぼすほど進化したんだぞ? 中でも超獰猛だと言われている種族に。
雄二匹の求愛だってなんのその、体はバッチリ順応して・・・・ って、自慢にならねーよっ!!
どんな時も冷静に物事を判断し対処する忍びは、めちゃめちゃ頼りになるよ、仲間としてなら。
でも人の話を自分の都合のいい様に解釈する耳を持つ連中は別。 その名は暗殺戦術特殊部隊。
中忍が思いっきり抵抗しても“嫌よ嫌よも好きのうち”“可愛い抵抗”で片付けちまう凶暴な種族。
世にも珍しい雌仕立ての尻穴を味わい、見事ハマってくれた。 俺を共通の恋人にするらしい。
・・・どうして俺を残して死んじまったんだよ、母ちゃんの馬鹿! ・・・・とかな。
故人に八つ当たりしても仕方がない。 全部ガキの頃の発言のせいだと言われればそれまでだし。
贄の印を知らなかったのも勉強不足、ああそうだよ、それも俺のせいだよ、悪かったな! くそぉ。
道理を曲げた忍術に代償が伴うのは当然。 それがどんなくだらないガキの思いつきであっても。
うー 恋愛成就の城下町で出会った事そのものが、俺の一部と化した術の代償だと思えてきたよ。
自分の命の代償を尻で支払った様なものか。 実際、彼らが来なきゃ生贄にされてただろうし。
「だから!! 話をちゃんと聞いて下さいよっ!!」
「「おねだり? 何でも聞いちゃうv」」
「そういう意味じゃないですからっ! もうっ!!」
こんな風に俺の話を聞かない二人に、俺に術をかけたのは誰か、そんなの口が裂けても言えないよ。
だって術者の墓石を粉砕するとか言ってたんだぞ? 母ちゃんの墓石を壊されてたまるか!
はっ! まさかこれも代償? 俺の尻は海野家の墓を守る為? な訳ないか、ははは・・・ はぁ。
第二次忍界大戦中。 医療忍術を悪用し、雨隠れの長 半蔵に追放された医療忍者がいたそうだ。
当時の半蔵は三代目の弟子と戦場で対峙し『木の葉の三忍と名乗れ』そう言って敵に塩を送った人物。
まだ半蔵が欲に溺れ堕落し、雨隠れの里を混沌とした忍びの集団に変えてしまう、ずっと前の話。
城主夫妻、弥平さんのみならず、城内の者は皆信じていたんだ。 錦麹家に救世主がやって来たと。
そう。 錦麹家に庇護されていた城医 空獏を名乗る老人こそ、その追放された医療忍者だった。
空獏という名は偽名だが、三代目は戦場で何度か本人を見かけた事があり、その風貌を覚えていた。
「雨隠れを抜けたのではない。 奴は当時、まだ志の高かった半蔵に追放された忍びじゃ。」
「手柄を片手に雨隠れに戻るつもり・・・ だったのかもネ?」
「考えられますね。 自分を追放した半蔵は他界して久しい、ほとぼりも冷めた頃だと。」
「なるほどねえ。 火の国の真ん中に巣を作りゃ、爺さんでも大手柄だよ。」
「同じ爺さんでも三代目とは大違いだな。 ・・・・ふっ。」
「えーっと。 ・・・・カオルさんって、三代目を尊敬してるんですよね? 」
「・・・・当然だろう。 何を今更。」
「す、すみません。 少し疑問に思っただけです・・・・ 同じ爺さんって・・・・」
「そんな事よりもカオル、よかったね、やっこさんが単独行動しててさ。」
「・・・・・ああ。 相手が一人だったから物足りなかったがな。 ・・・ふっ。」
「そういう意味じゃないですよ、カオルさん。 」
「「くすくす!」」
火影屋敷や国主の居城へ出入りできる拠点、巣を作る為に火の国の大名家を狙っていたらしい。
火の国の大名夫婦が優秀な医療忍者を国内外問わず探している、という情報を手に入れた彼は、
上手く自分を探させるように仕向けたそうだ。 そして思惑通り城医として城に入り込む事に成功。
学ぶ場のない子共に知識を与えると偽り、若の遊び相手としてたくさんの子供を城に集めさせた。
彼の施した医療忍術で死を待つだけだった若君は、友達とスタンプリレーを楽しむほどに回復。
けれど術は禁術で若のスタンプリレーの友達の、その贄の命を使って延命する贈命呪印だった。
どんなものにも代償はつきもの。 名が知れ渡れば自由はなくなる、形は違えど例外はない。
人間の命の重みに違いはないけれど、その名前や生き方にはちゃんとある。 ・・・だから。
跡取りが一人しかいないというその弱みを、火の国の名のある大名家の主筋夫妻は利用されたんだ。
「大戦が終結して十数年。 忍びの活躍の場が奪われたという愚かな連中もまだ多い。」
「・・・そうですネ。 少しでも隙を作った方の負け。」
「身分の高い人ほど巻き込み易いですからね・・・・。」
「我ら忍びはその小さな穴をみつけ塞いでいかなければならん。」
「小さすぎて見逃してしまう時がほとんどだが・・・ な。」
「上手くいけば、今回みたいに事前に塞ぐ事も出来るからね。」
「そうじゃの。 民からの信頼だけでも守れたのは大きい。」
「民の信頼・・・ か。」
「イルカ、お主は納得いかんだろうがな。」
「実は・・・ 暗部の部隊長たちに論されまして。」
「うむ。 時には苦汁をあえて舐める事も必要なのじゃよ。」
「・・・はい。」
何事にも側面が変わる瞬間がある。 裏表は常に一体、ほんの小さなほころびが崩壊に繋がる事だって。
当時の忍界大戦を生き残り、在籍していた里を追われ今まで身を隠していた一人の老いた医療忍者。
時代から忘れ去られたその淋しい老忍が、大国の足場を揺るがす事態を引き起こすところだった。
俺達忍びの里が守る“平和”とは特定の形がない不確かなもので、こんなにも危ういのだ。
殺伐とした世の中だからこそ、ふとした情けや少しの思いやりで、人の心が繋がるんだと思う。
いかに今の世の中が脆いか、いかに人情や思いやりが大切かを、全部知っている火影ですもん。
亡き錦麹夫妻も言ってたっけ。 俺達 木の葉の里の影がそういう忍びで誇らしいですよ。
だから三代目、そんな淋しげな顔しないで下さい。 三代目は空獏とは違う、立派なお爺ちゃんです。
直轄部隊の暗部の部隊長たちが、三代目に心配をかけるなと言ったのも、彼らなりの思いやりだ。
私兵の暗殺部隊にあって、そういう思いやりのある忍び達を育てて来たんじゃないですか。
仲間を物扱いしたり、人の話を都合のいい様に解釈したりするのは・・・ やや問題だけどな?