命の代償 3   @AC DEF GHI JKL MNO P




雲がまた国境にちょっかいかけて来たから適当に相手して来いって言われて、部下と一緒に暴れてた。
どうせ雲も本気じゃない。 第三次忍界大戦は何年も前の事だしネ、喧嘩っ早い国主にPRしてるダケ。
多少暴れれば、国の為に何かしてる気にでもなるんじゃないの? 形だけの交戦現場では死傷者ゼロ。
ウチも雲も一通り暴れて発散したら、どちらからともなく停戦、双方撤退! って展開がいつもだもん。

んで、しばらくしたら三代目から式が届いたんだヨ、オレだけでいいから里に戻って来い、ってサ。
オレだけでいいからってトコがミソ。 個人的な用事か、内々に収めたい任務かの、どっちか。

人ってなんだかんだ頼りにされてると思うと嬉しいもんでショ? オレももちろんその部類なの。
部下を持ってるから余計にそう思うのかもしれないけどネ。 ホラ ホラ 見てヨ、部下達の動きを!
“こっちは任せてください、部隊長!” みないな、あの力強い戦い方。 これぞチームワーク!

「じゃ!  後はヨロシクネー!」
「「「了解ですっ!」」」

 
んー オレだけかと思ったら、なんと火影室にはテンゾウがいた。 戌と猫、久々に合同任務かな。
最近めっきりデカい戦場は減ったから、部下達にはイイ刺激になるかもヨ? なーんて言ってたら。
猿班の部隊長 カオルも入って来た。 ・・・・・部隊長が一度に三人も呼ばれたの??

でもまだ三代目は口を開かない。 さっきからナンかの書簡を読み返しては眉をしかめてるダケ。
・・・もしかして他にも召集をかけてる? オレとテンゾウ、カオルが来たってコトは・・・・
アー やっぱりアズサ待ちだった。 オレ達四人に同時に召集をかけたんだったら大事だネ。


「呼んだかい、親父様。 ・・・・ちょいと。 どうなんだい、アンタ達まで雁首揃えてさ。」
「アズサさんも? というか。 アズサさんが最後、っていうのが何だか不思議です、ボク。」
「ネ? ま、時間指定されてたらアズサが一番に帰還してたんじゃないの? 飛べるモン。」

「市井の骨董市で細工物を漁ってたんだろう。 おれも今来たところだがな ・・・・・ふっ!」
「なんだい、カオル! だったら目くそが鼻くそを笑うんじゃないよっ!」


火影室に一番乗りしてたテンゾウは猫班の部隊長で、木の葉の里 唯一の木遁継承者。
オレは戌班の部隊長、カカシ。 ま、コピー忍者とか写輪眼とか、いろいろ言われてる。
チョイ前に来たのが猿班の部隊長 カオルで、今入ってきたのが酉班の部隊長 アズサ。
アズサの言葉を借りて言うなら、“目くそ”は氷遁使いの冷血男、“鼻くそ”は空飛ぶ暗器使い。

「ぷ! カオルさんを“目くそ”扱いですか? あはは! さすがアズサさんだ!」
「売られた喧嘩は買うが、自分を“鼻くそ”と認めたからな・・・ チャラにしてやる。」
「フフフ、いつの間にナンの勝負してんのヨ。 アー さてはアズサ、図星なんでショ?」
「う、うるさいね! おだまりっ! たいして遅れてはいないだろ?!」

オレ達は火影直属の暗殺部隊を率いている部隊長なの。 自慢じゃないケド、四人とも結構強いヨ?
性格もバラバラだし、戦い方も部下の扱い方もそれぞれ違う。 でも里の為に黒い血を浴びるのは一緒。
暗部のモットー【迅速かつ確実に】を率先して実行するのもネ。 一緒くたに四天王なんて呼ばれてる。



「揃いおったな。 お主達に頼みがある。」
「・・・・・・・頼み?」
「任務じゃないのかい。」
「「・・・・・・・・・??」」

「うむ。 現段階ではまだ確証がない。 ゆえにこれはワシの独断じゃ。」
「デモ、眉をしかめる様なコトが書いてあったんでショ? その書簡に。」
「火影様。 ボク達は直轄部隊、三代目が自由に動かせる私兵なんですよ?」
「それにさ、大火事になる前にボヤを消すのは当然じゃないか、親父様。」
「・・・・・ふっ! 一言“狩って来い”と言えばいい。」


ソウソウ。 オレ達はその為の部隊なんだし。 唯我独尊、って顔して顎で使ってもイイのにネ?
でもソレをやんないのが三代目の三代目たる所以。 プロフェッサーと呼ばれてるスゴーイ忍者。
なのにフレンドリーで温かくてサ。 本人曰く、オレ達 親を亡くした忍びの親代わりなんだって。

火影職も一回引退したのに、また国主から指名されちゃった任期の長ーい、もういい年のお爺ちゃん。
参加不参加は別として、忍界大戦を三度も生きた猛者。 だからそんな人物が独断と言ったところで。
“現段階で確証がない”なんてコト、オレ達の中では誰も気にしない。 迅速かつ確実に決行するダケ。

でもちょっとビックリしたのも事実。 だってターゲットが、ウチの国の大名 錦麹家だったんだもん。
アソコはお偉いさんにしては珍しく奥処を設けてなから血筋・・・ って。 別にオレ達に関係ないケド。
核家族っていうのいかな。 跡取りが一人しかいなくて、全部狩ったら誰も血縁がいなくなっちゃう。

三代目が眉をしかめてた原因はコレだ。 火の国の大名家の一つを丸々潰しちゃうから。
まったく。 三代目も水くさいよネー? “独断”だなんてご丁寧に前置きしまでしちゃってサ。
国主が反逆だと思った時は、自分一人が責任をとる気でショ。 冗談じゃない、死なば諸共だっつーの!



「んじゃ、ま。 こっそりと時々ハデに・・・・ でイイよネ。」
「ふふふ。 カオルさんの苦手な“こっそり”が入ってますよ?」
「・・・・別に苦手という訳じゃない。 ・・・・・・面倒なだけだ。」
「そういうのを苦手、っていうんだ。 じゃ行ってくるよ、親父様。」

「お主らといい、あ奴といい・・・・・。 長生きはするもんじゃ。 ・・・・頼んだぞ?  散っ!」