鬼達の金棒 10
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少しばかり差がついてもしかたがない。 なにしろアイツらは私生活でも先生のレクチャー付きだ。
だが。 先ほどテンゾウが言った通り、イルカ先生に教えてもらった任務干渉を当てはめればいい。
そうする事によって丸く収まるなら、それはつまり三代目もそうするだろう、に繋がる。
イルカ先生の見解は三代目の見解だからだ。 ・・・・しかしアイツら・・・・・。
いや、不意に思ったのだが。 三代目が自分と同じ見解をする、というイルカ先生をよく抱けるな?
おれは三代目にそう言われたから、おれの中でイルカ先生はそのまま三代目を思い起こさせる。
まるで三代目を抱く様なものだ。 いくら尊敬してても、泣いて頼まれても。 それだけは御免だ。
・・・・・・・ん? なんだか微妙に思考がすり変わっている様な気が。 ・・・・・まあいい。
おれとしては。 疑問に思った今更の事は、いつでも先生に聞けるのだから、それだけでいい。
それに。 あの、俺流和風ジューシーから揚げが食べ放題だ。 これでも気を遣ってるんだぞ。
アズサと子供に変化して行く事にしてる。 アイツら三人の生活している家を訪ねるんだからな。
さっきも言ったが、イルカ先生の喘ぎ声なんぞ聞きたくもない。 三代目を彷彿とさせるんだぞ?
つい想像してしまうじゃないか、三代目が喘いでいる姿を。 だから結界は必要不可欠なんだ。
おれやアズサの耳なら、アイツらの交わってる時の声を拾ってしまうからな。 迷惑千万だろ。
すっかり正義の使者となったこの国の大名、雅様とやらがもたらした情報は、最速役に立った。
イルカ先生の解説もあり、偵察すべき忍びの里を絞り込めた。 迅速かつ確実に、暗部のモットーだ。
この国にいるその里の忍びを捕まえ聞き出す。 まあ、素直に教えてはくれなかったが、何の問題ない。
強制的に教えてもらうまで、だ。 里の正確な位置と里を治めている長の名を聞き出せればそれでいい。
「氷遁っ! 氷結吸・・・・」
「ちょいと待ちなカオルッ! そいつの脳細胞を吸うんじゃないよっ!」
「殺しちゃったら証人にならないですよ、駄目です、カオルさんっ!」
「オレの瞳術で喋らせるからっ! 手柄を譲るにしても信用してもらえないでショ?!」
「・・・・・・・ああ、そうだったな。 脳に穴を開けたらこいつは死ぬな・・・・ すまん。」
「よ、よく思い留まってくれましたカオルさん。 一応・・・ 解説しましょうか??」
「・・・・・いや。 いつか先生がレクチャーしてくれた事を思い出した。」
「「「ほっ!」」」
そうだ。 あれは木の葉に逃げ込んだ第三者の者をどうするか、というシミュレーションだった。
どこかの里が追っている忍びが木の葉に逃げ込んだ。 木の葉にとって敵じゃないがどうするか、だ。
おれ達の答えは、里に逃げ込んだ者はそう見せかけてきた間者かもしれないから狩る、だった。
あの時の“大変良く出来ました”の回答はこうだ。 その忍びを生け捕りにする事、だった。
もしも殺してしまった場合なんの言い訳も出来ない、どんなナン癖をつけられても反論できないと。
情報が欲しかっただけなのに殺してしまった。 この責任を木の葉隠れはどう取るのだ。
実は木の葉がソイツを派遣したのではないか? だからソイツを口封じの為に殺したんだろう!
もしもそうやって非難されれば、それを否定できる証拠は何もない。 木の葉に不利益となる。
初対面の里の忍びに信用してもらうには。 そう、あの時のシミュレーションに置きかえればいい。
・・・・アズサ。 お前、自分で気付いたのか?? ・・・だったらおれが一番劣等生じゃないか。
・・・・・ふっ。 だがもう遅れはとらないぞ? 頭に入っているレクチャーを思い出せるからな。
「ははは・・・・。 根本的な事はどうであれ。 全部覚えててくれたんですね・・・・。」
「当たり前だろ? アタシもさっき、テンゾウやカカシに言われてハッとしたのさ。」
「・・・・当然だ。 イルカ先生の見解は三代目の見解・・・・・ だからな。」
「「カオルもアズサも気付くのが遅いっ!!」」
「まあ、まあ。 劇的に変わってくれたのは間違いないんだし・・・・ 皆、優秀ですからね。」
・・・・・ん? 根本的な事は・・・・?? まだ少し何かが違っているのだろうか・・・・。
これ以上考えても分からんぞ。 また暇を見て、イルカ先生にレクチャーしてもらうとするか。
そんな事を思っている間に、瞳術でカカシがヤツの頭を覗いた。 どうやら里の場所を知った様だ。
隠れ里候補NO.1の里への交渉はイルカ先生が。 コイツを証拠として、そこの忍びと話をつけるらしい。
ではおれ達も行くとするか。 ミイラ泥棒の里へ行ってミイラを取り返して来る。 そして手土産も。
今後ぜひとも本物の正義の使者になってもらうべく、里の長の首を大名の雅様に差し出そう。
・・・・・そうだ。 里長は連れ出してから狩るか。 死体をそのままにしたら騒ぎになるからな。
それに、もし反撃でもされたら里ごと潰してしまいそうだ。 誰かの影分身を代わりに置いて・・・・・
・・・・・ん? テンゾウが木遁人形に姿を移す予定・・・・ なのか? ・・・・・・・・・・ほう。
いや? 今気付いたとか、そういうのでは断じてないぞ。 最初から身代わりを前提に、だな・・・・。
・・・・そんな事は当然だろう。 ・・・・・・・・・おい。 ちょっと待て。 聞いてるのか、お前ら。