鬼達の金棒 13
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誰があの三人のセックスに混ざりたいだって?! アタシの方が仕返ししてやりたいと思ったよ。
勝手に人の話を誤解したあげく作戦の追加かい! しどろもどろを期待してたらしいけどさ。
残念だったねぇ、期待外れで。 任務受付所にいる忍び達は、すっかり騙されてくれただろう?
自分達の村は薬湯の里の忍びの恩恵を受けている、この里の忍びは自分達の憧れなんです、特に長は。
薬湯の里に着いたら嬉しくてつい。 あちこち見て回るうちに友達とはぐれちゃったんです。
せっかくサインをもらおうと、朝早くから村を出てきたのに・・・・・ ってか?
まあ、ざっとこんなもんさ。 やろうと思えば迷子のフリだってなんだって出来るのさ、アタシらは。
姿形だけじゃなく、中身まで子供になってどうするんだい。 こんな幼稚な事を思いつくなんてね。
普段イルカ先生に質問ばかりしてるから、中身がどんどん子供化していってるんじゃないのかい?
・・・・・まあ。 そういう戦闘とは無縁の生活が・・・・・ 羨ましくないといえば嘘になるけどさ。
だからって訳じゃないけど。 もし子供姿で遊びに出かけてるなら一緒に行っていいかい? なんて。
聞こうと思ったのかもしれないねぇ。 聞き方が不味かったのは・・・・ 確かにアタシも悪い。
アタシら迷子組は、この里の額当てをしている忍びに事情を話し、任務受付所に連れて来てもらった。
感動のご対面、ってやつさ。 こんなほのぼのな騒ぎを起こした子供達、当然かまってくれるよねぇ?
カカシとテンゾウの幼稚な嫌がらせはあれど、当初の作戦通りに里長 オガミを呼び出す事に成功した。
思いの外、若い里長だった。 本物のオガミを見て、ファンのフリしてるアタシら子供は大騒ぎさ。
やれ握手してくれサインをくれ、それなら任務依頼をしなくちゃだめだ、とか興奮して言い合ってね。
すっかり気を良くした奴が“どれ、薬湯の里を案内してあげよう”と言うまで、ほんの数分だった。
アタシらは色々な場所へ案内してもらった。 カルガモ親子の様に、ピッタリ後ろをくっつきながらね。
人気のなさそうな場所を逃さず拘束。 テンゾウが木遁分身人形を作り、移し変化の術を使った。
本物の里長はカオルの氷遁で氷浸けだ。 奴の頭から直接カカシが情報を奪う、全部が同時進行だ。
ん? アタシの役目かい? アタシは執行人さ。 こういう時氷遁は便利だね、血が飛び散らない。
情報を抜いた長の首は封印の巻物へ、残りの部分は火遁で蒸発させてお終い。 迅速かつ確実に。
アタシらはオガミの姿を移したテンゾウの木遁人形の両手に、代わる代わるぶら下りながら移動する。
カカシが知った情報で、天津の国から盗んだミイラの用途が判明したんだ、このまま奪還に行く。
この場にイルカ先生がいたら、絶対こう言うね。 “皆さん、パーフェクトですっ!!”ってさ。
「雅家のミイラは一番最近盗まれたモノだから、まだ残ってるヨ。 でも他のはもうない。」
「・・・・・・・ふっ。 ・・・・・そんな事に使っていたとはな。」
「“薬湯の里”の名の通り、薬を売りにしてたんだろうね、里の秘薬、と称してさ。」
「なんか。 凄い発想ですよね・・・・・ 何の根拠もないのに・・・・・・」
「ま、信じる者は救われる、ってネ。 ・・・・・アレ?? 若干意味が違うか。 フフフ!」
「なんでもいいよ。 とにかく己の病は気から、だろ? いい加減なもんさ。」
「う〜ん、どっちも合ってる様で違う気が・・・・ まあいいです、とっとと奪還しましょう。」
「・・・・・・そうだな。 イルカ先生が首を長くしてまっているからな。」
驚きのミイラの活用方。 粉末にして小袋に入れ、万病に効く薬だとして里内で販売されていた。
あり得ないだろ? 乾燥させた人肉を粉末にして飲ませる、なんて。 どういう神経の持ち主だい?
何でも希少価値のある珍しい物は破格の値がつく、この里の秘薬もなかなかどうして、高額だった。
高い金を払って手に入れた他では手に入らない薬なら効く、と思い込んでいる連中の頭を覗きたいよ。
「でも依頼人の希望が叶ってよかったですよね? もしもう少し遅かったら・・・・・」
「そうだね。 このミイラも粉砕機にかけられ、薬として売られただろうからさ。」
「・・・・・・・とてもじゃないが。 同じ忍びの里として認められんな。」
「・・・・・・・でも忍びじゃなきゃ、あの霊棟からミイラを盗めないヨ。」
その通りだよ。 この里の忍びは・・・・ いや、この里の長は。 人より優れた力を悪用したんだ。
誰かを直接手にかけて人を殺した訳じゃない、むしろ、いい加減な考えで左右される人間は救ってる。
確かに誰も死んじゃいないよ? 粉末にして売っているのは、とうの昔に死んだ人間の粉だ。
けどさ。 生きた人間を殺さなくても、あの国での死者は同等の意味を持つんじゃないかい?
後々お抱えの隠れ里になる花巻の里の連中は、国の伝統を汚されたとして追うかもしれないねぇ。
誰をって・・・・・ ミイラの粉を買った奴らを探し出して、狩りまくるかもしれないじゃないか。
そう考えると、立派に殺しの火種を蒔いた事になるだろ? この時点で誰も殺していなくてもね。
まあ、イルカ先生ならそこのところも上手く収めてくれるんじゃないのかい? あの里との交渉でさ。
雅家に尽くした要人とやらのミイラを無事回収して、アタシらは木遁人形を残し、薬湯の里を後にした。
木遁人形の長は、花巻の里の連中がこの里を潰しに来る時まであのままだ。 数日、ってとこだね。