鬼達の金棒 3   @AC DEF GHI JKL MNO P




カカシやテンゾウは新婚旅行の気分なんだろうけどさ。 どうなんだい、あの浮かれようは。
そりゃ特に危険もなさそうな、捜索奪還の任務だ、浮かれる気持ちも分からないでもないよ?
でも一応、国外任務だからね。 ミイラ泥棒を頼まれた忍びの里もどこの者かも分からない。
・・・・・・まあ。 アタシらが一緒ならイルカ先生は、それこそ鬼に金棒だと思うけどさ。

「イルカ先生、アカデミーの受け持ちの生徒達、ちゃんと納得してた?」
「確かやんちゃなクラスでしたよね? あの渦巻ナルトもいる、ていう・・・・」
「くすくす! ええ、俺は通訳の為に同行するだけだ、って言いましたから。」
「「なるほど、それなら心配しないね?」」
「ええ、嘘も方便です。 でも全部が嘘じゃありませんよ? 解説係ですから。 くすっ!」

「「・・・・・・・・・・・・・。」」
「カオル、一つ思ったんだけどさ。 あんなに顔を近付けてする内容の会話かい?」
「・・・・・・いや? むしろ、おれ達も会話に加わってもいい内容だと思うが。」

なんだい、なんだい、あの距離は。 近いんだよ、顔が。 アンタ達三人だけの任務じゃないだろ?
イルカ先生の肩に顎を乗せながらする様な、そんな色気のある話じゃない、アカデミー生への説明だ。
急に任務に呼ばれたイルカ先生が、生徒達を安心させる為についた可愛い嘘の話。 だろ?
身長もさして変わらない男達、肩の上に横並びしている後頭部が、横から見たら串団子に思えてきたよ。

「・・・・・・カオル、もう一つ思いついたんだけどさ。 こうして顔を傾けると・・・・・」
「・・・・・・・・ん?  なんだ? ・・・・・・こうか?」
「・・・ほら。 甘栗甘屋で売ってる三色団子って、あんな感じじゃないかい?」
「・・・・・・・・ふっ。 ああ、そう言われれば見えなくもないな?」

「ちょっと、アズサ? 聞こえてるからネ!」
「なんですか、カオルさんまで一緒になって!」
「あははは! 三色団子ですか! あははは!!」

「「先生、笑い事いじゃないでしょう?!」」
「俺達にピッタリですよ、串は愛情だと思えば。 情でくっついてる三人とか! くすくす!」
「「・・・・・うんvv」」


ふん! なんだいクソ面白くない。 そういえば先生は、どんな事でも良い様に考えろと言ってたね。
カカシとテンゾウがイルカ先生を恋人にすると言った時も、結局、これも縁ですねと落ち着いた。
嫌なら嫌という人だ。 肩に顎を乗っけられてても、邪魔だと思えば叩くなりなんりするだろうさ。
結局のところ、イルカ先生も今の状況を楽しみ始めてるって事だ。 割れ鍋に綴蓋だよ、まったく。

「・・・・・・・こう・・・・ なんだろうね、暗器飛ばしたくなるのは・・・ 駄目かい?」
「二人はともかく、お前の暗器じゃイルカ先生は避けられん。 それは駄目だろう。」
「いや、カカシとテンゾウにだけだよ、そこんとこは心得てる。」
「・・・・・・ふっ。 それなら問題ないな。」

「だからっ! 聞こえてるって!!」
「問題あるでしょう、十二分にっ!」
「あははは! ほんと皆さんは仲がいいですよね? ふふふ!」
「「・・・・・・・・・・。」」

カカシとテンゾウだけじゃない、アタシらだってイルカ先生から卒業のニコちゃんシールを貰ったんだ。
つまり、アタシらの先生でもあるんだ。 ・・・・・まあ、一般常識の、って意味の先生だけどね。
忍びとしてタイマン勝負したらイルカ先生なんて瞬殺だよ。 けどアタシら四人の元家庭教師なんだ。
三代目の見解でもあるイルカ先生の言葉は、平等にアタシらにも聞く権利があると思わないかい?


「くすっ! えー まずはなぜ皆さんが一緒に任務に就いたか、を解説しますね?」
「!! そうなんだよっ! 実はそれが一番知りたかったんだ!」
「先ほど、三代目から預かった任務依頼書に目を通しました。 で、なるほどな、と。」
「?? あの依頼書でか? 捜索し奪還しろと書いてあっただけだぞ?」

「皆さんは暗部ですから、勅命で動き口頭報告ですよね? 記録に残せませんから。」
「ウン、そう。 アレはイルカ先生用に、三代目が書いてくれたんだよ?」
「もちろん、ボク達も目を通しましたが、特に理由は書いてませんでしたよ?」
「・・・直接の理由を書いてなくても、状況を考えればすぐに分かります。」
「「「「?!」」」」

イルカ先生は言った。 アタシらは誰よりも三代目に信頼されていて、その名代も同然なのだと。
火影がその手足とも呼べる者を動かすのは、相手に誠心誠意を見せる時か、もしくは逆鱗に触れた時。
今回の任務依頼は前者で、三代目が木の葉の方針をしっかりと示してこい、と使わしたモノだとか。

そういや怒ってなかったね。 親父様の逆鱗に触れたら、アタシらに徹底的に敵を叩かせるはずだ。
今迄親父様の信用を裏切った事はなかった。 イルカ先生に一般常識を教えてもらえと言われた時も。
アタシらは何がどう違うのかという、根本的な相違点が分からなかったんだ。 どれも今更の事ばかり。
誰にも聞くに聞けなくて、親父様にはもっと聞けなかった。 ガッカリさせたくなかったからね。

少しズレとる、と言われた。 そうか名代。 親父様の言葉をアタシらが代わりに伝えるという事か。
そしてアタシら全員の行動は・・・・・ 木の葉隠れの火影の行動だと、依頼人に思われるんだ。
・・・・・そりゃ親父様も言えないね、“ワシの名の代わりをして来い” なんてさ、ほんと全く今更だ。