鬼達の金棒 7
@AB
CDE
GHI
JKL
MNO
P
雅様が、ミイラの行方を捜索するオレ達に用意してくれた部屋は三つ。 一つはアズサに、って。
オレ達はアズサをただの女だと思ったコトはないけどサ、外見はどこをどう見ても女だからネ。
後の二つはオレ達用。 野郎4人だから、二人ずつ別れて使えってコトだケド。 そこはホラ・・・・
カオルは何が何でも一人がイイよネ? ネ? オレ達は狭くてもボロくても、三人一緒でいいからサ。
「・・・・最初からそのつもりだが?」
「す、すみません、カオルさん、気を遣って頂いて・・・・・」
「・・・・・この城の中の客間に、狭いやボロいなどあり得ないが。 ・・・・結界を張れよ?」
「「当然! やったネーvv」」
「・・・・・・ははは。」
やった! なんか気分は新婚旅行!! 結界を張った客室はオレ達三人だけの世界! 幸せ〜〜vv
だってここは他国。 木の葉でもなくましてアカデミーでもない! イルカ先生は任務中の中忍!
イヤ、だってサ。 家に居るとどうやってもイルカ先生は先生なの。 ま、受付にも入ってるケド!
きまって出る話が、今アカデミーで受け持ってる生徒達の話。 生徒達の名前まで覚えちゃったヨ?
ナルトがやったイタズラの話、お手本を頼んだサスケの話、食べすぎたチョウジが喉を詰まらせた話。
イノとサクラがサスケを意識してイノブタとデコリンなんて呼び合ってる、とかね。 たくさん。
やれあの子がああした、やれこの子がこうした。 それはもう、嬉しそうにオレ達に話すのヨ。
オレ達の先生なのに。 せっかくオレ達だけの先生になってくれたのに。 家に居るといつもそう。
分かってるヨ? アッチは精通もまだのケツの青いアカデミー生。 オレ達は先生と抱き合う大人。
イルカ先生が、そういう時代をすっ飛ばしたオレ達に聞かせてくれてるんだな、って分かるケド。
暗部の部隊長が嫉妬こいて、って笑われると知ってるケド! やっぱりソコは面白くないでショ?
だからオレ達も子供に変化していっつもイルカ先生に甘える。 頭ワシワシして! とか言って。
もうこれでもか、ってぐらいくっつく。 オレ達の方が可愛いよネ? そうでショ? みたな!
たまにアズサやカオルが遊びに来ても子供で来る。 そうすると連帯感でやっぱり変化しちゃう。
でも最初だけチョロッとしただけで、この任務中はアカデミーの生徒の話は出ない。 ここは他国!
いつも子供に変化して遊びに来る二人も、任務中はそのままだし! ってコトはオレ達もそのまま。
イルカ先生に大人の姿のままで思う存分甘えちゃえるってコトなの! 当然ナニも込みでネv
「「わーい! イルカ先生っvv」」
「あはは! なんですか大人のままで子供みたいにくっついて。」
「「大人のままで・・・・ このままずっとくっつきたーい・・・・」」
「・・・・・・・・・あー 明日に響かない程度になら。」
「「了解っっ!!」」
大人のまま先生にくっつくと当然こうなるワケで。 だって体は正直だモン! 子供のままだと違う。
なんでか性的衝動は起きない。 醸し出す雰囲気の問題だろうネ。 来る時に先生も言ってたケド。
“心でそう思ってると態度や気に現れるんです”ってさ。 変化でくっつく時は気を引きたいから。
でも大人でくっつくと先生の味を思い出す。 大人の姿でしか出来ないコトを・・・・ 瞬時にネ。
どうしょうもなく先生の全部が欲しくなる。 オレ達の頭を撫でる手も、笑いかけてくれる唇も全部。
キスを送れば応えてくれる、手を握れば握り返してくれる。 応えてくれるこの反応が大好き。
先生の鼓動を感じると安心する、他人の心臓の音で安心するんだヨ。 今のこの瞬間が何よりも好き。
「んん・・・・・ はぁ、はぁ、はぁ・・・・ ぅぅ・・・・」
「イルカ先生、教えて。 先生の鼓動が好きなのはヘン?」
「あぁっ!! ん・・・・・・ ヘンじゃ・・・・・ んん・・・ ありません・・・・・つっ!」
「ボク達安心するんですよ、イルカ先生の心臓の音。」
「・・・・・っっぅ・・・・・ 愛してますよ、お二人を。 ・・・・んん・・・ 何があっても。」
「「 イルカ先生・・・・ 大好き・・・・ 」」
イルカ先生は言った。 人間は誰でも母親の心臓の音を聞いて育つんです、ヘンじゃありませんと。
安心できる心臓の音が好き、それは無意識で愛情を感じてるんです、人は皆そうです、って。
イルカ先生に言われたコトは、オレ達の中にすんなりと溶け込んだ。 無意識で感じる愛情・・・・
ウン、どうしょうもなく先生が欲しくなるワケが分かった。 愛されてるからなんだネ、オレ達。
イルカ先生はオレ達を愛してくれている、無意識で。 それを感じるから欲しくなるんだ・・・・
心でそう思ってると纏う気に混ざる・・・・ コレもそうなの? 愛情が溢れてるからなのカナ。
三代目の紹介もあったケド。 オレ達四人が先生を認めたのは、先生の愛情を感じたからなんだネ?
イルカ先生は色んな種類の愛情を持ってる。 三代目を筆頭に同胞への愛情。 里の家族への愛情。
アカデミー生や同僚の先生に対しての愛情。 オレとテンゾウに向けている今の様な無意識の愛情。
先生はオレ達のコトを甘えん坊のくっつき虫だと言うケド、頭でちゃんと計算してるんだヨ、実は。
誰かに依存して甘えるなんてコト、今までなかったから。 子供の姿なら好きなだけ甘えられるって。
それは大人の姿で抱き合うのとは別モノで、ただ純粋に愛してもらいたい時もあるってコト。
イルカ先生からどっちの愛情ももらってるオレ達って贅沢v でもやっぱりアカデミー生はムカつく!
なんとなくナルトのイタズラの話をしてる時のイルカ先生を思い出して・・・・ 首の横側を噛んだ。
ジュウジュウと吸って痕をつけてみた。 テンゾウもなぜか反対側の首に噛みついて同じトコしてた。
・・・・・ウン、ココって、忍服のベストの襟で隠れるから、怒られないよネ? って合図しながら。
朝起きたら開口一番にチョッピリ怒られた。 もう、アンダーだけになれないじゃないですか! って。
フフフ、怒ってる顔も可愛い・・・・。 これも本気で怒ってるワケじゃない、って分かるからだネ?
「イルカ先生・・・・ 聞いてイイ?」
「あ、ボクも! 聞いてみたい!」
「なんですかカカシさん、テンゾウさん。」
「昨日のコト。 朱鷺さんの為に、じゃないよネ? どうして泣いたの?」
「同じです。 イルカ先生が泣いたのに苦しくなかったのはどうして??」
「・・・・・・・・・・あー あれですか。 実は・・・・・」
一年前のオレ達を思い出して、嬉しくて誇らしくて泣いたそうだ。 だから苦しくなかったんだネ?
イルカ先生が悲しんで泣いてたらオレ達も苦しいんだヨ。 悲しくて泣いたワケじゃなかったからか。
今更などんな疑問にもこうやって答えてくれるイルカ先生。 先生がいれば鬼に金棒な気がして来た。