声にならない依頼 11
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なんと暗部の部隊長達から待ったが掛かった。 これは重要な話だから火影室で報告していたんだ。
暗部は自由に出入りを許されている。 その時に待機していたカオルさんが、俺の報告を聞いていた。
いつの間にかいなくなってて、戻ってきたと思ったら、部隊長達が勢ぞろい・・・・ で今に至る。
「・・・・おふくろさんの報告を聞いていた。 国主への報告はなかった事にしてほしい。」
「ユウダイ様は無関係だ。 親父様、アタシらが断言するよ。 その息子が馬鹿なだけさ。」
「ミナト先生が言ってた。 里の忍びを支援してくれたから、前線部隊は持ちこたえられた、って。」
「ボクも前部隊長から聞かされていました、信頼できる大名だから絶対あの方を失うな、と。」
「お主達に諌められるとはの。 ほほほ、安心せい、時宗様には知らせぬ。 ユウダイ様にもな。」
「今ならおれは動ける。 今回の依頼はカカシとテンゾウの支払いだ、金銭面では問題ないだろう。」
「アタシはこれから任務だ、悪いね。 ・・・・ついてないよ、ぼったくれるチャンスだったのに。」
「チョット、なんでお前らにオレ達が払わなきゃなんないの? ボランティアにしてくれる!?」
「あれはイルカ先生の受けた任務だから・・・・・・ あれ? そういう事になるんでしょうか??」
俺のけもの? 凄い疎外感あるんだけど、気のせい?? どうやら三代目は、国主に報告しないらしい。
父君のユウダイ様にも知らせないなんて。 里が正面介入をしないという事は、秘密裏に処理するんだ。
ユウジロウを事故や失踪に見せて跡継ぎの座から排除する。 そんなことで、と思うかもしれないが。
いずれ子息三人の誰かが肇家を受け継ぐ。 権力にモノを言わせて行動するような馬鹿では勤まらない。
三代目がどう判断されるか。 民を想い一緒に痛みを感じる者でないと、民衆は慕いついて行かない。
暗殺か、記憶を奪って追放か、去勢して戒めるか。 ユウジロウの未来は、今、火影様の手の中だ。
「うむ。 まこと頼もしい火の意志よ。 肇家が忍界大戦時、どれだけの里の忍びの命を繋いだか。
このワシが一番知っておる。 あの方のおかげで、我らはどこにいても、時間稼ぎが出来た。
戦争は長期戦に耐えられるかどうかが勝負じゃ。 力の差がないほど、それは如実に表れる。
飢えることなく病にも侵されず、忍具も豊富にある。 それがどんなに恵まれたことか、わかるか?」
「「「「はい。」」」」
「こんなことで火の国はあの方を失う訳にはいかん。 この事が後に国主の耳に入ったとしても。
時宗様なら“木の葉のした事に間違いはない”と、我らの行動を黙認してくれるであろうの。」
「親の七光りを利用し道を誤った子息。 国主 時宗様も、そんな責任を問いたくはないはずです。」
「なに、ユウダイ様には、まだふたり跡継ぎがいるじゃないか。 ひとりいなくなるだけさ。」
「長男のユウイチロウは、ユウダイ様の再来とまで言われ、民に慕われてマス。 そうでショ?」
「おれは坊主を施設まで送って行った。 これも何かの縁だ、里の為ならボランティアでいい。」
うう・・・ なんか感動して来た。 肇 ユウダイの逸話は数多い。 誇張されてるモノもあるだろうが、
それだけ里の忍びの為に動いていたという事だ。 大戦経験者のほとんどが口をそろえて言う、英傑だと。
城下町で最優先に忍具を生産し、里が要求した数以上の忍具を期限内には必ずそろえていたという話だ。
一番有名な逸話は、移動畑と即席井戸。 完全な食の確保だ。 前線部隊の駐屯地に畑と井戸を作った。
城下から人員を募り、前線部隊の駐屯地に井戸を掘り、畑を耕し、常に前線部隊と共に行動したらしい。
敵は必ず川や池の近くに基地を置く。 木の葉の里は地の利を考えず、どこででも戦う事が出来たそうだ。
忍術を温存出来て、常にフルのチャクラで全忍びが戦える。 それは確実に勝利の旗を呼んだだろう。
「中忍うみのイルカ、依頼人の希望通り、娘達を救出せよ。」
「はっ。」
「暗部部隊長 猿 人道的に許せぬ場合、暗殺を許可する。」
「御意。」
「散!」
「イルカ先生ホントはさ・・・・ オレ達と一緒にお休みしたかったはずだよネ。」
「皆そろっての休み、一日一緒に過ごそうと楽しみにしてたんじゃないでしょうか。」
「・・・・そんな先生の為に、一緒に行動してあげよう。 そう言いたいのかい?」
「アズサ、凄いね、なんでわかったの?!」
「さすがアズサさん、その通りです!!」
「んじゃ、休息日の自由行動、そういうコトで!」
「火影様、ボク達もボランティアして来ます!」
「イルカがカオルとツーマンセルなのが気に入らないんだね?」
「ほほほほ。 ワシはお主が嫁にいくのも、楽しみにしておるぞ?」
「親父様、アタシは嫁にはいかない、婿をもらうんだ。 そこんとこ間違えないでおくれよ?」