声にならない依頼 12
@AB
CDE
FGH
IJL
MNO
PQ
ほんの少し先に発ったカオルさんとイルカ先生を追って、ボク達はボランティア活動へ協力に行く。
暗部の部隊長が三人なんて、普通なら目玉が飛び出るぐらいの依頼料だ。 孤児院の子供には絶対無理。
でもまあ、木の葉の里に憧れてる子供達の夢は大切にしなきゃね。 将来大物になるかもしれないし。
だってその子達が大きくなったら、木の葉隠れ御贔屓の依頼主になる可能性大。 未来投資だよ。
「い、戌猫両部隊長! おふたりは任務明けで休息日におでかけですか、う、羨ましいです。」
「まあね、ちょっとボランティアに・・・・・ って、どけよ、そこ通るから。」
「あの、その・・・そうだ、おふたりにぜひ修行をつけて頂けたらな、なんて・・・・。」
「また今度ね。 自分とこの部隊長に頼んだら? 今、ちょっと急いでるから。」
とっとと追わなきゃ。 ところがボク達はあうんの門で、猿部隊の隊員、数人に呼び止められた。
なんでこんなとこにタムロってるんだろう。 羨ましいのはこっちだよ、猿班って最近ヒマなの?
軽く挨拶して通り過ぎようとしたけど、なぜがヤツらは同じ方向に避けて、真正面にくる。
右に避けたら右に、左に避けたら左に。 上に飛んだらやっぱり飛ぶ。 なにそれ、なんかの遊び?
「・・・・・あのさ。 お前ら、邪魔。」
「いい加減にしないと、怒るよ?」
「「ひぃっ!! し・・・・・修行をつけて下さい、 お願いしまーーーすっっっ!! 」」
「「オ、オレ達も続け、これしかないんだっっ!! はぁっっっ!! 」」
「「だ、大丈夫だきっと、死なないと思う・・・・ せいっっっ!! 」」
「・・・・・くっ!! なんだよっ! お前らネ・・・・ もう怒った!」
「ちょっ! ・・・・なるほど、そうですか。 いいでしょう。」
いくら自分達がヒマだからと、ボク達の邪魔をするなんて。 向上心と、度胸だけはかってやろう。
門番に医療班を呼んでもらったからね? あうんの門の前にボロボロになった猿軍団を積み上げた。
くそっ、いらない時間をくったよ。 ヒマ猿達のおかげで、もう追えなくなっちゃったじゃないかっ!
イルカ先生が淋しがって、また孕んじゃったらどうするんだよ。 一度決めたら頑固なんだから。
「先生、イクのも早いケド、足も速いんだもん、もうっ!」
「仕方ないじゃないですか、エロイルカですから。」
「口寄せの術っ!! パックン、イルカ先生を追ってっ!」
「カオルさんのでもいいですよ? 今一緒にいるからね。」
「猿部隊長か若造だな? うむ、心得た。 ついて来いっ!」
パックンならどっちのニオイも知ってるし、確実だ。 カオルさんには言わない方がいいな。
イルカ先生のお腹に入ってたボク達の種を毒殺したって。 自分の種をたたき売りしちゃう人だから。
でもボク達三人には、ハッキリ言っていらない。 先生は、ただでさえアカデミーの子供が大好きだ。
これ以上可愛がる子供が増えたら、イルカ先生の惚れてるボク達のお世話が後回しになるじゃないか。
「イルカ先生はお人好しだから、子がいたら可愛がっちゃいますよね。」
「子の世話焼きに夢中になるよ、オレ達を一番可愛がりたいはずなのにネ。」
「やっぱりボク達には、子供は必要ありませんね。」
「うん。 先生が命をかけてまでやらなくていいヨ。」
そうですよ。 せっかく三人一緒に暮らし始めたのに、先生が死んじゃったらなんにもならない。
イルカ先生のくれる愛情はストレートで、いつもボク達をくすぐったくさせる。 もう絆されっぱなし。
先生はきっとボク達の子が欲しいだろう。 昨日だって、あんなに泣きながら諦めないと頑張ったもん。
それに。 あの陰間のように“もしもの時は父子共に殺してくれ”だなんて言い出すかもしれない。
「先生の命と子の命。 婚約者として先生の命を優先します、そうですよね?」
「当然だろ? 先生が一番好きな事を我慢させるなんて、婚約者はしちゃいけない。」
「「惚れまくってる婚約者を、甘やかすのが大好きなんだから、先生はv」」
「こっちです、ここ!! 早く暗部の皆さんに医療忍術で回復を!! 結構激しかったです!」
「はい! お待たせしました! えっと・・・・演習は出来れば第7演習場でお願いしますね?」
「「 は、い・・・・ 気をつけ、ます・・・・ 」」
「 部隊長・・・・ お役に立てまし、たか・・・・ 」
「 仲良く外出・・・・ 頑張って、下さ・・・・ 」
「 よかっ、た・・・・ 今一緒にいるんです、ね・・・・ 」
「 へへ、ちょっとでも・・・・ 二人の時間、を・・・・ 」
「 なんとか、認めて・・・・ もらって・・・・ 」
「猿部隊の皆さん、あの・・・・・ 出来ればしゃべらないでもらえますか?」
「「 ・・・・・・・・了解。 」」