声にならない依頼 13
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パックンが見つけてくれた場所にふたりはいた。 昨日もそうだったから、これも理由があるはず。
カオルがイルカ先生の肩を抱いていようと、きっとそのように見えるだけ。 ホントはナニしてるの?
ん? イルカ先生が・・・・ 泣いてる?! ・・・・そうか。 カオルに話したんだーネ。
吹っ切れたように見えたけど、まだ形にもなってなかったけど。 子殺しは辛かったか・・・・。
「くっ・・・・。」
「イルカ先生・・・・。」
「カオル、先生どう? おちついた?」
「・・・・・お前ら何で・・・・ まあいい、おれもこんな事になるとは思わなかった。」
「カカシさん、テンゾウさん・・・・ お休み返上して来てくれたんですか?」
「ウン、まあね。 家にいてゴロゴロしててもつまんないし。」
「この依頼の出資者はボク達ですから、監査も兼ねてです。」
「「お休みは一緒に過ごしたいんでしょ? 付き合ってあげます。」」
「そういう事にしておいてやる。 ほら、おふくろさん、泣いてこい。」
「うぅぅ・・・・・ もお! もおっ!!」
カオルに話してスッキリしたんじゃないの? 先生はオレ達に飛びついて来て、ワンワン泣き出した。
・・・・・そう、この建物、元は孤児院だったの。 依頼人の子供は、ここに住んでたんだネ?
経過を報告にきたんだ? そしたらもうこうなってたんだネ? ん、わかった、イッパイ泣いていいヨ?
やっぱり子殺しのことは、もう吹っ切れてたんだネ。 先生は泣いてるけど、ちょっと安心したヨ。
「その娘が城に行ってから五日。 一昨日みた限りじゃ、平和そのものだった。」
「そうか、さっきカオル、依頼人を送って行ったとかなんとか言ってたもんネ。」
「・・・・ではこれは意図的な事。 建設業者に話を聞くのがいいでしょうね。」
「ぐすっ。 任務依頼はなくなりました。 それでも・・・・ 任務を続行していいですか?」
「もちろん。 声なき依頼人に変わり、ボク達出資者が続行を希望します。」
「それに。 火の国のゴミの後始末は、木の葉隠れの忍びの仕事。 でショ?」
「・・・・・おれは火影様から状況を見極めるよう言われている。」
「くすん・・・・・ ありがとうございます。」
近所の住人の話では、昨日この孤児院で火事があり、建物が全焼。 幸い他の建物には燃え移らなかった。
焼け跡から、住んでいた人数分の炭の塊が確認されたらしい。 よくある話だ、地上げ屋の常とう手段。
こじれてきたら建物そのものを燃やす。 住人は地価の下がった土地を売るか、逃げるかしかない。
いくらお決まりの最終手段とはいえ、住人を殺すなんてやり過ぎ。 ちょっと脅してやらないとネ?
「ユウジロウ様に見限られても計画は生きてます、賛同してくれた出資者は手段は選ばない、と。」
「よりによって忍びですか。 しかもウチじゃなく他里に頼むなんて。 馬鹿ですかっ!」
「俺達も・・・・ まさかアソコまでするとは思わなかったんですっ!! 信じて下さいっ!」
「社員の給与を会社が保証するのは当然です。 この計画に、彼らの家族の生活がかかっている。」
「確かにネ。 ユウジロウはさ、話を持ちかけるだけ持ちかけて、破談賠償金を支払わなかったの?」
「保証さえして頂いていたら、計画は打ち切り、新しい出資者を募らずに済みました。」
こんな低俗な依頼は木の葉には頼めない、他里の忍びなら恥を気にせず依頼できた、なんて。 バカ?
まったく。 火の国の、それも身よりのない者達の集まりなら格好の餌食。 こうなって当然だヨ。
依頼だからと大手を振ってこの国に入り、火の国の弱者を弄り殺せる。 さぞ楽しんで殺しただろう。
建設業者の言う事に嘘はない。 コイツらはバカだが、働いてくれている従業員と家族を守っただけ。
「最初からそのつもりで・・・・ これしかないと、自分を頼るように仕向けたんだーネ。」
「その娘は、仕組まれてるとも知らず、自分からユウジロウの元へ取引に行ったんですね。」
「つばさ君は嫌ってたんです。 きっと子供特有の感受性で、最低な男の臭いを感じ取ったんだ。」
「イルカ先生、任務続行だーヨ。 さ、ユウジロウの城へ行こう?」
「はい。 孤児院の仲間達、そしてつばさ君の為にも、ナギサさんだけは助け出したい。」
「先生が淋しくないように、ボク達もついて行ってあげますよ。」
「くすっ! ふ、ふふふ。 はい、お願いします。」
「生ゴミは・・・・・ 残しておいたら臭いが増すだけだ。」
「ねぇテンゾウ、ヤバくない? ・・・・カオルさ、コレ、かなり怒ってるよネ。」
「仕方がないです・・・・ カオルさん嫌いですもん、自分で手を汚さない人物。」