声にならない依頼 7   @AB CDE GHI JKL MNO PQ




確かにカオルさんは、頼まれれば誰でも抱く。 あ、ポリシーがあった。 18歳以下お断り、だ。
猿部隊 某隊員の情報によれば、ビービー泣かれたからお子様はもう勘弁だ、ってなったんだって。
この人の思考回路だと、依頼人にはサービスで、里の仲間は慰安、プロ相手なら娯楽ってなるらしい。
この前も頼まれて依頼人を抱いちゃったし。 おかげでイルカ先生が思い余って告白して来たんだけどv


「ねえ、カオル。 頼まれたからって、イルカ先生に乗っかってないよね?」
「カオルさんが自分から行動してるのって・・・ ボク、始めて見ました。」
「・・・・・・お前ら、おれの事なんだと思ってるんだ?」

「大人限定の種まき機。」
「遺伝子のたたき売り。」
「忠誠心がある、とは思わないのか?」
「「・・・・・・・。」」

こうも堂々と自分を正当化する人は、まず、いないだろうな・・・・。 カカシ先輩もボクも遊ぶけど、
一応リップサービスはする。 もちろん今は、先生が印つけまくるから遊びになんて行かないけどね?
“ネエ、愛してる?”って聞かれたら“まあネ”とか “それなりに”とかって、返してあげる。
でもカオルさんは“おれが愛してるのは里だけだ”って、即答しちゃうんだよ。 そりゃ泣くよね?

「・・・・まあ、おれの事はどうでもいいか。 さっきのを誤解したならアホだぞ。」
「誤解・・・・ なんですか?」
「下腹さわってたのはなんで?」
「今賭けやってるだろ? おふくろさんにも聞いてみたんだ、耐えられそうか、ってな。」


花街のある陰間から、もし可能なら、体外受精じゃなく体内に戻して産んでみたいと、相談があった。
ウチの医療班は、忍びではない一般人には到底無理だ、と説得したらしい。 その後、正式に依頼が来た。
陰間本人から出産希望の依頼。 出産に際し、もしもの時は父子共に殺してくれ、という血判状を添えて。

その賭けの事は、ボク達も知ってる。 でもイルカ先生の下腹さわるのと・・・・ どう関係があるのか。

「ほとんどのヤツが、その陰間と子、死ぬ方に賭けてるんでショ?」
「この前、お前達三人に賭けて大儲けした。 今回も狙ってる。」
「って事は、カオルさんは無事出産する方に賭けるんですね?」

「今回も確信を得た。 おふくろさんも“子が欲しいから耐えられる”と断言したしな。」
「ボク達の・・・・ 子供を欲しい・・・・ はっ!! まさか、さっきさ撫でてたのは・・・・」
「もしかしてイルカ先生のお腹に?! だから情緒不安定になって、オレ達を殴ったのか・・・・」

「・・・・・・。(コイツら・・・・ おふくろさん関係はてんでアホだな。)」


衝撃的事実が判明!! イルカ先生が孕んでるらしい。 男が出産に耐えられる訳ないじゃないですか!
イルカ先生はアカデミー教師なんだ、いくらボク達を溺愛し過ぎてるからって、子供なんて必要ない。
アカデミーには先生を親だと思ってる子供達が、これでもかってほど、一杯いるじゃないですか!

今時の流行りだか何だか知らないけど、出来ちゃった婚なんて男同士でする必要なんてないですっ!
ボク達は忍びですよ? 時代の流れになんて合わせなくていいんですよ、どこまでお人好しなんですかっ!
ひょっとして、あの陰間を勇気付ける為?? 愛があれば耐えられますよ、を実践するつもりですか?!


「・・・・出産の為に命かけるなんて。 そんなの認めないっ! イルカ先生ーーーーっ!!」
「カオルさん、コレ報告書。 火影様に提出しといて下さい。 イルカ先生ーーーーっ!!」

カカシ先輩の言う通りだ、そんなの認めない! 寂しいからボク達の子供を欲しい気持ちはわかる。
でも、自分が死んじゃったら。 もうボク達を抱きしめられないんですよ? それでもいいんですか?!
あんなに好きな、頭ナデナデも。 もうボク達の頭を撫でる事も出来なくなるんですよ?!
イルカ先生、ボク達に惚れてるって言ったじゃないですかっ! 惚れた男達を心配させちゃ駄目ですっ!!


「これが・・・・ まずい事になる、か? ・・・いのいちさんの言う通りになったな。」





「部隊長達、おふくろを追いかけて行ったな・・・・・。」
「なあ、今度はどう見る?」

「そんなの認めないって、叫んでた。」
「また覗いたの?! 心臓に毛が生えてるだろ、お前!」
「なんかさ、カオルさんが、マズイ事になるとかなんとか・・・・。」

「「「え゛ーーーっっっ!! 猿VS戌猫 ?! 最悪っっっ!!」」」