忍びの里 4
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このヤマトといい、カカシといい・・・ イルカが拷問部に出入りしてることくらいで、
おれが、幻滅するとでも思っているのか? もしそうなら、舐められたもんだ。
あいつは、里の任務を全て承知の上で、ああやって、感情を持ち続けていられる。
感情は忘れた方が楽だ。 それをあえて受け止めている心の強さに、おれはやられた。
イルカが見せてくれる夢は心地がいい。 上辺だけでも、誇り高い忍びでいることが出来る。
「・・・・あなたはイルカさんの見かけを、好きになった訳ではないんですね・・・」
「当たり前だ。 おれを誰だと思っている?」
「なんだ? 政木・・・お前、イルカ狙いだったのか。 そうか・・・悪いことは言わん。
あいつの事が本当に大切なら、イルカに踏み込むな。・・・あいつを悲しませるな。」
「・・・・・。」
イビキまで、まったく同じことを言う。 まだ何かあるというのか?
おれの知らない何かを、この二人は知っている。 そして多分、カカシも・・・
おれの心に刺さったままの棘は、抜けるどころか、更に鋭く、深く、突き刺さった。
「室長、うみの中忍はまだですか? うみの中忍だけに話があるそうです。」
「あ? 今日はアカデミーだ、もうちょっと待ってろ。 ・・・間違っても、まだ殺すんじゃないぞ?」
「了解です。」
「今回はもう少しかかると思ってましたが・・・ おちましたね。」
「あいつに頼むと、長くても一週間だからな。 記録をつける手間が省けて助かる。」
「・・・だから、これは、七枚しかないのか・・・」
「お、ないと思ったら、ここだったか。・・・・政木、読んでみろ。なかなか良い仕事してるぞ?」
そういえば、カカシにも勧められてたな。 目を通してみるか・・・。
どう拷問部と繋がっていようが、読んでもどうせ、イルカに惚れ直すだけだ。
一日目。 上忍を捕縛した経緯と、雲隠れの捕虜になっている、木の葉の下忍二名の事が書かれていた。
拷問はシンプルで、手足の爪を剥がすだけで終わっている。 イルカの出番はその後だ。
『すみません・・・ 捕虜を大切に扱わなければならないのに・・・ こんなこと・・・』
そう言ってイルカは、雲隠れの上忍に、優しく丁寧に手当てをしてやる。
二日目。 拷問はやっぱり、いたってシンプルで、逃亡出来ない様、足の腱を切っただけだ。
『何やってるんですか!! 火影様の許可は取れているんですか?! 木の葉の恥です! 』
イルカは拷問室に踏み込んで行き、その場の拷問人を罵倒する。 そしてまた手当をする。
三日目。 同じ戦場にいたであろう、雲隠れの死体を担いで、イビキが登場。死姦を見せつける。
こいつ・・・趣味と実益を兼ねているな? 張りきってやっただろう。目に浮かぶ様だ。
精液だらけの死体を残し、イビキ退場。 そしてその夜、イルカが、その牢に忍びこむ。
『この方を・・・ 火葬に・・・して、あげても・・・いいですか・・・?』
そう涙ながらに上忍に尋ね、火遁で死体を焼却する。 さぞや、優しい炎だったに違いない。
四日目。 この日の拷問は目。仲間のあんな姿見たくないだろうと、目をえぐり取る寸前で、イルカ登場。
邪魔をするなと殴り飛ばされ、気を失っているイルカの横で、予定通り両目をくり抜く。
潜入部のイルカと違って、拷問部の奴らは、演技力に欠けるからな。 ボロ隠しの効果的手法だ。
『やばい、火影様のお気に入りに、手を出しちまった、ばれたら追及される。記憶を抜いておくか。』
イルカを担いで、拷問部が退場する。 しばらくして、記憶を抜かれたイルカが、再び手当てに来る。
『!! ・・・ 捕虜は大切に扱わなければならないのに・・・ なんてことを・・・』
すみません、すみませんと、何度も謝りながら、丁寧に手当てを施す。
五日目。 この日は拷問の前にイルカ登場だ。 目の包帯を取り替えてやる。
やっと上忍が口を開いた。 たかが捕虜に、情けは無用だ、と。
雲隠れの上忍に、理想の里の姿を、夢心地に語るイルカ。あたかもそれが、木の葉の真実のように。
『亡き三代目の教えは、“忍びである前に、人であることを忘れてはならない”でした・・・』
同じ忍びとして上忍のあなたには、敬意をはらって接したいと、締め括ったところで、拷問部登場だ。
お前はただ手当てをしてればいいと、邪魔なイルカを追い出す。
今回の拷問は 印が組めない様に、手の指の神経を切断する。血があまり出ないぶん、見た目は綺麗だ。
記録は昨日までの、五ページだけ。 今日が六日目だ。 これからイルカが来る・・・
ふん。 やっぱり、イルカに惚れ直しただけだ。 あいつが見せる夢に、ますます浸りたくなった。