紅葉の痣 15
@AB
CDE
FGH
IJK
LMO
PQ
アハハ、嬉しそうなあの顔、どうヨ? テンゾウ、イルカちゃんてホント・・・・ 分かり易いネー。
まるで我が事の様にサ。 ・・・・アア、そっか。 三代目と同じく、同調しちゃったのかも。
再会の喜びをかみしめてるんだネ。 ン? オレ達に気づいたみたいだヨ? ・・・・・意外に鋭い?
オレ達の帰還はナイショだーヨ? 今回限りの出血大サービスなの。 フフフ、感激しちゃって。
木の葉の暗部は泣いて頼めば無料で雇えるらしい、なーんて噂、間違っても広まると困るからネ。
あくまでも “ほっとけない病” のイルカちゃんのお願いを、三代目が聞いてあげただけだカラ。
・・・・・・涙?! チョ、チョット!! どうしたのっ! なんで泣くの?! イルカちゃんっ!!
オレ達はイルカちゃんに感動してほしくてイイ仕事してきたのに。 笑ってヨ、泣かないで。
・・・・・・ホッ! よかった。 泣いちゃうのかと思ったヨ。 頑張って持ち応えたネ・・・・。
でもナンで悲しくなっちゃったのカナ。 ・・・・・・・・ア。 お別れ?? ひょっとして。
イルカちゃん、三代目がポックリ逝っちゃったトコロを想像したのかもネ・・・・ テンゾウ。
・・・・ホラ、見てみて? 健気に笑ってるじゃないの。 ・・・・・笑い顔もなんとも可愛いネ?
アー さっき泣きそうだったのに。 なにヨ、もう! そんな嬉しそうにしちゃって! 笑いすぎっ!
オレ達の任務はこコレで完了だネ? サ、火影室へ報告に行こう、首を長くして待ってるヨ?
バッチリ仕事の出来る男達をアピールして来ました、三代目、男上がりまくりですヨ、って。
?? ナーニ、お前のその、あからさまにイイ事思いつきました! みたいなウキウキチャクラは。
・・・・・・・・・・・。 そうだネ。 三代目が逝っちゃったら、イルカちゃんは淋しがるよネ。
忍びのくせに。 他人をほっておけないだなんて、そんな命取りな癖つけちゃって・・・・・・。
今は三代目が健在だからいいヨ? オレ達忍びなんて、誰がいつこの先どうなるかなんて判んない。
いくら木の葉最強を誇ってても、老いには勝てないヨ、そうでショ? そうなったらイルカちゃんは?
海千山千のスケベ爺に弄繰り回されてる、ピチピチの若い肉体が求める性欲は・・・・ どこに行くの?!
俺はもう女は抱けません、だから花街に籠ります、陰間として。 とか言い出したらどうすんのヨ!
誰でもいい、俺の欲望を満たして! って片っ端から仲間を誘惑し始めたら?! ジーザスッ!!
「・・・・・・・思い切って三代目に、イルカちゃんのコトは心配しないで下さい、って言おうか?」
「ボクもそう思ったんです。 だってイルカちゃんは男妾。 女妾より貰い手がないですもん。」
「ウン、オレ達が保険になってあげようヨ。 三代目もオレ達なら安心だと思うし。」
「ええ、今のうちに遺言書の贈与項目に入れてもらいましょう。 善は急げ、です!」
オレ、イルカちゃんなら男でもOK。 なんか、可愛がれる気がする。 実際、妙に可愛いし。
・・・・・お前も? 遺言書と言わず・・・・ ポックリ逝くのを待つのでもなく・・・・・
無いと思うけど・・・・・ お妾さんの払い下げとか。 してくれないカナ? 絶対ないと思うケド!
・・・・ウン。 オレ達・・・・・ 間違いなく、イルカちゃんにイカレちゃったネ、コレって。
腹黒い大名とのドロドロした裏取引中。 思い出していたのは・・・・ イルカちゃんの優しげな瞳。
三代目に一番気に入られている愛人なのに。 人の世話は喜んでするのに、おねだりしないケチ妾。
雄だケド、とっても優しい心を持ってる。 三代目が可愛がってるはずだヨ、だって可愛いもん。
思い出してみたらサ。 オレ達・・・・ 最初こそ忍びの父である三代目への恩返し、って思ってたケド。
イルカちゃん本人と実際に会って話してみたら・・・・ しっかりと手を握って挨拶してくれて・・・・・。
お二人なら安心ですね、なーんて気を向けられて。 もうあの時既に、ヤラレちゃってたんじゃない?
「ボクにもイルカちゃんみたいな優しい子が現れないかな、とか。」
「爺の三代目にはちょっと勿体ないんじゃないの? なんてネ。」
「三代目がね、羨ましいと思いましたもん、ボク。」
「オレも。 ずっと傍にるのか、いいなー って。」
「忍びキラーだネ、イルカちゃん。」
「ですね、色々な意味で反則です。」
「「・・・・・・・・・・・。」」
三代目に親孝行のつもりで、イルカちゃんにスンゴイ忍びだと思ってもらおうとしてたケド。
いつの間にかオレ達、イルカちゃん自身にいいトコ見せたい、って思いながら行動してたよネ。
三代目、よかったですね! なんて言いながら。 実は自分にそう言い聞かせてただけなんだヨ。
イルカちゃんを喜ばそうとした。 それってイルカちゃんが喜んだら嬉しいからだよネ?
涙が出そうになって、すごく焦った。 イルカちゃんの悲しい顔をみるのが辛かったから。
泣くのをこらえて笑った顔を見たら・・・・ その瞬間から。 めちゃくちゃ楽しくなった。
三代目・・・・・・ オレ達。 直属の部下なのに、その愛人に惚れちゃいました。 ゴメンナサイ。