紅葉の痣 6
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チョット、三代目! イルカちゃんなかなか使えるじゃないデスか。 性格イイだけじゃなく頭もイイ。
・・・・・・それに。 カッコいいー とか言ってポカンとあいた口! 感動してます、って表情!!
ナニあれ!! 可愛いじゃないの、チョット! 雄ヨ? 野郎ヨ?! 同じモンぶら下げてんのヨ?!
三代目が一番気に入ってるかもしれない妾説が裏付けられたヨ! ・・・・・妙に可愛い男だネ、ホント。
・・・・・・老い先短い爺にはちょっと勿体ないヨ。 って思ったコトは内緒。 親孝行だから、コレ。
めちゃめちゃ感動してたしネ!! もう! 三代目、俺、惚れ直しちゃったv ・・・・だヨ、絶対!
イルカちゃんって、すぐに顔にでるから分かり易いよネー。 でもちゃんとシビアなトコロもある。
ま、これで三代目のパパ株は、かなり上昇したはずだーヨ。 出足は好調、後は迅速に任務をこなすダケ!
オレ達は、里長と直に話し合いたいんだケド? と門番に言ったからか、即座に使いの者が来た。
正面から堂々と里に入ったおかげで、視線を集めまくってるオレ達。 でも忍びは誰一人動かない。
オー ビビってるネー ・・・・・なんで木の葉の暗部が?! って、案内役も心底驚いてるヨ。
そりゃそうだよネ、完璧な仕事をして来たと思ってるだろうから。 しかもその日の内に、だし?
この里自体はあんまり大きくはない。 霧隠れの里と雲隠れの里の抜け忍数人が興した里なのヨ。
水の国と雷の国の中間ぐらいにある水雲の里は、忍び五大国の隠れ里とやり合う気なんてないだろう。
だから今回も、木の葉にバレない様に確実に行動したつもり・・・・・ だったんだろうけどネ。
残念〜! もうほんの数時間経過してれば、娘の家出騒ぎで済んだヨ、拉致計画としては上々。
でも、拉致った現場を最初と寸分違わない様にしとかなくちゃ。 雑草は最初なかったでショ?
道に落ちてた雑草、それでだけで嫌な予感を感じた親がいた。 過保護の愛情を舐めちゃいけないヨ?
ウチの火影もお気に入りの妾に “おねが〜いv” って言われただけで超奮発しちゃうんだから。
ご存知かと思いますケド。 人の深層意識に入り込めるという、ウチの里の山中一族の心潜術です。
生物の中の深層意識に入るコトは、理屈では細胞が生きている限り草花であっても可能というコト。
中でも一族の長は特に植物愛好家でねぇ、同調しやすいんですヨ。 ここまで言えばもう分かりますよネ?
「・・・・・ふう。 山中一族の長が、その雑草の記憶を見た、と言う事か。」
「ご名答。 あなた方も忍び、里を構築する上で依頼を受けるのは仕事ですから当然です。」
「だからただ単に任務依頼を請け負っただけ、娘がまだ無事でいるのなら・・・・ 見逃すヨ?」
「・・・・・木の葉に全て・・・・ バレてしまっていたのだな・・・・。」
そうそう、シラを切ってもムダ。 ネタは上がってんのヨ。 本来、忍びの交渉はギブ&テイクだケド。
交渉時は、双方納得のいく形でないと引くに引けない。 代案や情報に見合ったナニかを提示する。
何事もイーブンでないと後から揉める元。 でも木の葉からの取引材料はナシ! 依頼内容を考えてみて?
木の葉の任務受付所に来た依頼は“雑草を調べてくれ”というモノ。 書類上は今もそれで変更はナシ。
“娘を取り返してくれ”と依頼されたワケじゃない。 ・・・・・この意味、分かって頂けます?
変更になれば、この里の忍びを順に狩って行くダケ。 つまり、木の葉はもう既に一歩譲渡してるの。
「いつでも依頼内容を変更出来る・・・・ 任務を請け負った我が里の忍びらを狩る事も・・・・・」
「そう言うコト! もし任務依頼が“娘を取り返してくれ”なら。 この里でガンガン暴れちゃう。」
「ええ、片っ端から狩ります、口を割るまで。 でも書類上はまだ“雑草を調べてくれ”のままです。」
「・・・・・・・・取引材料は・・・・ 我が里の忍びの命・・・・ か。」
「念の為言っとくケド。 忍びの命だけじゃないヨ? 目の前にいるヤツから狩る。」
「ボク達は暗部ですからね。 一般人だろうが忍びだろうが、関係ありません。」
「我が里に住む力ない民の命も・・・・ 取引材料、という事だな。」
「「情報さえ提示すれば、この里の者全てに一切の手出しはしないと約束する。」」
「・・・・・・・分かった。 取引に応じよう。」
「「交渉成立!」」
それは助かるヨ、どうも。 オレ達も今回はさっさと終わらせたいからネ。 ハッキリ言って私情だし。
・・・・ン? “あの娘はあなた達の情人か何かだったのですか?”だって?? アハハハ、違う違う!
オレ達がらしくない事をしてるのは、もっと私情。 その親父さんにウチの三代目がシンクロしちゃって。
普段可愛がってるのにツレない忍びに、珍しく頼まれたからなの。 スンゴイ力の入れようでショ?
それと、もしもだケド。 もしも、村を焼き払ってたりしたら、一も二もなくここの殲滅命令が出たヨ。
火の国の小さい村とはいえ、たった一人を拉致する為に村人を殺していたら。 里を消滅させてた。
ちゃんとターゲットだけに的を絞って、速やかに撤収した、アンタらの里の忍びの仕事に敬意を払うヨ。
双方合意の上で交渉が成立した以上、木の葉は決して約束を違えないと誓う。 火影直属部隊の名において。