紅葉の痣 18   @AB CDE FGH IJK LMN OP




三代目の背中に蝉の様にくっついてる俺を見て、なんだか呆然としているカカシさんとテンゾウさん。
そりゃそうか。 いくら三代目の自宅で寛いでいるとはいえ、俺って二人からみたらただの中忍だし。
・・・・・・・・こういう時はあれだな。 このまま流れに乗っかっちゃえ、ってやつだ。
俺と三代目、どう見ても仲のいい親子でしょう? 三代目を慕っているお二人と同じで!

「アー もしかしてもしかするともしかします?? ・・・お邪魔・・・・・・ だった??」
「すみません、三代目。 ボク達、もう少し後から来ればよかったですかね・・・・」
「いや? バッチリのタイミングじゃ。 そうそう、イルカがお主らをベタ褒めしとったぞ?」
「「・・・・・へ??」」

「三代目、お二人に“ありがとう”をやっても・・・・ 怒られませんか??」
「ほほほ! 大丈夫じゃろ。 ワシもおるでな?」
「へへ! えー では。 恐れ入りますが後ろを向いて下さい。」
「「? ・・・・・こう??」」

「「・・・・・カカシさん、テンゾウさんっ!  大好きっっ!!」
「「 ☆ДЮфёψ♯τ?!?! 」」
「悪ガキ健在じゃな? あのカカシとテンゾウが硬直しておるわ! ほほほほ!!」

“ありがとう”の代わりです! 三代目の物真似を忍犬にさせるぐらいだ、笑ってくれると思う!
昔三代目にぶら下った時の様に、二人の背中に飛び移る。 まるで“おんぶお化け”みたいな俺。
しかし。 なんて飛びつき甲斐のある背中・・・・ ビクともしないよ、さすがに鍛え方が違うのな?
話の流れが見えなくて淋しい、なんて心配をする必要ありません、これでお二人もお仲間ですよ!

「さ・・・・ 三代目?! これは・・・・・ いいんですか?! 本当に?!」
「さすがに不味いだろうと思って、色々・・・ 明日にしようか、とか・・・・ あの・・・・」
「三代目、羨ましいがってごめんなさい・・・・・・ 今日ほど嬉しいと思った事はありません。」
「三代目、勿体ないって思ってスミマセン。 あなたは紛れもない、オレ達、忍びの父ですヨ・・・・」

「おお、そうじゃな。 羨ましがらずとも、これから食べれるではないか。 のぉ。イルカや?」
「ふふ、そうですね、こうやって来て下さったんです、時間が勿体ない! 夕飯にしましょう!」
「「なんて・・・・・ 引き際のいい・・・・。 海よりも心の広いパパだ・・・・」」
「なんじゃ? パパなどと呼ぶな、お父様と呼ばんかっ!  ・・・・・なんての? ほほほほ!」

くすっ! パパだって! ひょっとして。 カカシさんとテンゾウさんって、めちゃくちゃファザコン?!
そうかもな。 カカシさんはずっと昔に父親と死に別れてる。 これは木の葉では有名すぎる悲劇だ。
テンゾウさんに至っては、親と名のつく者がいない。 大蛇丸の実験体だった、これもやっぱり有名。
俺はまだ二人よりは肉親と一緒に生きた時間が長い分、恵まれてる。 でも俺達には忍びの父がいる!

・・・・・・ん? 階級を超えて、なんか親しみを感じると思ったら。 そうか! あははは!!
俺達三人とも、ファザコンなんだ! 三代目スキーズ!! あ、パックンさんもそうなのかも!
あれだけ特徴をとらえた物真似は、好きじゃなきゃ無理っ! 今度頼んでまた、やってもらおっと!


「はい、お待たせしました! 本日のメニューはこちらです! じゃぁ〜〜〜ん!!」
「「うわっ! 美味そうっ!!」」
「ほほほ、美味そうじゃなくて、美味いぞ? ほれ、遠慮なく食え! 元はワシの金じゃ。」
「そうそう! ・・・・・パパの金v ねーw」
「むっ! お主まで・・・・。 まあよい、ワシも元は取らねば、の?」




・・・・・・・あの日の夕飯は最高に楽しくて美味しかった。 忍びの父と父スキーズに囲まれて。
あれだよ。 大好きっ! って飛びついただろ? あれがなんか、誤解を招いたみたいで・・・・ な?
怒られないかなー なんて思ってたけど。 どうも・・・ 俺が告白したと思ったみたいなんだよ。

早速お持ち帰りしていいですか? なんて三代目に言ってたから。 てっきり残り物のお持ち帰りかと。
・・・・・・・・俺の事だったらしい。 という事は、だ。 じっちゃんも了承済みだ、って事。
だから思ったんだ。 色めいた話の一つもない俺を思って、ご推薦の忍び達を寄越したのかも、って。

俺の事を思ってじっちゃんが二人を就けてくれたとしたら・・・・ これも素直に感謝だ。
じっちゃんの推薦する忍びだけあって、そりゃー凄かったよ? 俺、泣いて縋っちゃったもん。
嫌だったら気持ちよくないと思う。 俺、そっちの気があったんだなー、なんて新たな発見も。

信じられる? 今の俺・・・・・ 暗部の部隊長と補佐がめちゃめちゃ可愛がってる情人なんだって。
もう嬉しいやら恥ずかしいやら。 隊員さん達が来て、これからは超気合い入れて見回ります! って。
じっちゃんは、俺に恋人が出来ても過保護なんだな。 暗部の隊員さん達が、可哀そうだよ・・・・・

そうそう、甘やかしを解禁にした俺も、たいがい三代目スキーだけど。 あの二人には負ける。
事あるごとに“理解あるパパの為に頑張っちゃう!”“パパあっての三人ですから!”だもん。
そりゃ直轄部隊の長達、ってのもあるんだろうけど。 とにかく、俺以上の三代目スキーなんだ。

あの後、約束通り娘さんが三代目宛てに鎮痛薬を作って送ってくれたんだけど、その時も。
“今まで頑張りすぎたんですよ、嫌かもしれませんが年齢もちゃんと考えないと”って。
腰痛の具合を心配してみたり。 俺よりは遥かに親身になってじっちゃんを気遣ってた。 優しいよな?





水の国情報を流してくれる潜入員の最新の情報によると。 霧隠れの忍びが大手柄を立てたらしい。
大名 最上様の孫娘をでっち上げて、お家乗っ取り計画を企んでいた家臣を秘密裏に処刑したとか。
本当なら孫を騙った娘とその家臣の首は、一週間門前にさらされるが、大殿に配慮をして取りやめ。
先の水難事故で跡継ぎを失くした最上本家の大殿様に、一刻も早く立ち直ってほしいから、だそうだ。

昔駆け落ちしたという姫の捜索は続けているらしいけど。 相変わらずみつからないんだって。
大陸のどこかで傷心の父君の噂をもし聞いたら・・・・ いつか最上家に戻ってあげるかもしれないね。




三代目は男としての体力の限界を感じ、信頼する自分達に妾を託した。 と、カカ&テンは思っています!(苦笑)   聖