紅葉の痣 3
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「珍しくイルカ本人が依頼人と一緒に来てな。 力になってやってくれ、と言うんじゃ。」
「「・・・・・・へー。」」
「暗部を動かすほどの任務依頼ではないと思うがの。 そこはほら、お主らなら・・・・ の?」
「ま、オレ達は暗部の代表格。 なんでもチャッチャとこなしますケド。」
「ボク達を動かす=三代目の意気込みを示す・・・・ ってところですか。」
・・・・ア? 拉致された娘を取り返してこい?? あのサ。 それって上忍一人で十分でショ。
目的がさっぱり分からないから、テンゾウと一緒に行って調べてこい・・・・・ だぁ?!
チョット!! そんなのなんでオレ達が請け負わなくちゃならないの?! オレ達は暗部の長、違う?!
そこの里の忍びをゴッソリ狩ってこい、的な任務なら分かるけどサ。 捜索&人質救出?!
・・・・・・と、口に出せるモノならとっくに言ってる。 相手が我らが忍びの父、三代目火影であっても。
通常の三代目なら、こんな事の為にオレ達を呼び出さない。 ではなんでオレ達二人が呼ばれたか。
海野イルカ中忍が絡んでるからだヨ。 “ワシの男気を上げるチャンスじゃ!”で、間違いないと思う。
「ほほほほ! 皆まで言わずとも、さすがにようわかっておる。」
「「火影直属の部隊長と部隊長補佐ですから。」」
「うむ! ・・・・突如として娘を奪われた父親の気持ち、お主らも分かるじゃろう?」
「「・・・ええ、まあ。」」
残念ながら娘はおりませんので分かりません。 ナルホド、依頼人の不幸を我身に置き換えたのか。
つまり三代目は“ワシのイルカが突如攫われでもしたら・・・”って、同情しちゃったのネ・・・・
そう、海野イルカ中忍は三代目のお妾さん。 メタくそ若いし男だケド、三代目の大のお気に入り。
たくさんいる愛人の中で、多分一番可愛がってるんじゃないかな。 というのが、オレ達の見解。
いい年こいて、年下の男にお熱かよ! とか。 そんなケチをつける輩は暗部にはいないヨ。
お先の短い大御所に説教? 三代目は何も知らない子供に手を出すような小児性愛者じゃない。
最低限の線引きさえ、ちゃんとできていれば、誰がどんな恋愛を楽しんでもいいじゃないの。
そうでショ? オレ達だってそうだもん。 墓場に金は持っていけないからガンガン花街で使うヨ?
火影であっても、人の私生活を暴いて色恋沙汰を非難したりする輩は暗部にはいない、ってコト。
それに直轄部隊だしネ。 三代目がワシこの子を囲う! って言えば、オレ達は見回ってればいいだけ。
三代目の囲う愛人は、なかなかに人間が出来てるのヨ。 海野イルカも若いけどやっぱり同じ。
困ってる人とかを見ると、ほっておけないみたいなんだよネ。 ま、ややお節介ぎみの男、とも言う。
愛人宅付近の見回り任務は、主に部下達に割り当ててるケド、担当になった部下達が感心してたもん。
さすがは三代目、イルカちゃんはいい子ですよ! とかなんとかネ? “ちゃん”呼びまでしてたり。
「あの、ところで三代目、詳細を聞きく為には・・・・ 海野中忍を訪ねる事になるんですが。」
「受付に押し掛けて行って直接話しちゃいますケド。 そこんトコは許容範囲ですよネ?」
「ふむ、皆を緊張させてしまうじゃろうが・・・・ 事は急を要する、よかろう。」
「「了解です。 では・・・・・」」
「今回の任務はお主らに任せたぞ、カカシ、テンゾウ。」
「「御意。」」
クスッ! 顔に似合わず三代目も可愛いトコがあるじゃないの。 カッコいいトコ見せたい! なんて。
忍びには死の臭いが付き纏うもの、生きてるうちが花じゃぞ? 三代目が自身でこう言ってるもん。
火影だろうが、老い先短い我ら忍びの父がめいっぱい今を楽しんでるんだヨ、それでいいじゃない。
九尾襲来事件がなきゃ、悠々自適の隠居生活を送っていたはず。 これも親孝行だと思えば・・・ ネ?
てなワケでオレ達は、三代目のお気に入りの男妾、任務受付所にいるイルカちゃんを訪ねるコトにした。
アンタのお願いだから、三代目は部隊長と補佐を寄越したんだヨ? って、三代目の顔を立てる感じでネ。
ま、この任務でのオレ達の役目は“三代目ってやっぱり凄いなv”って思わせるコトだからサ。
バッチリオレ達の有能さをアピールしますヨ。 この任務にこの人選、贅沢過ぎない? って感じさせる。
ソレもコレも“俺の一言で三代目がこんなに力を入れてくれたんだw”って分からせる為だから。
何気にイルカちゃんは、三代目にはツレないらしい。 だから今回は、余計に嬉しいんだろうネ。
普段、あんまりおねだりをしないイルカちゃんの “頼み”だもん、そりゃ奮起するでショ、パパならサ。