香りの塔 11   @AB CDE FGH IKL MNO PQR S




これはいわゆる、獅子身中の虫、ってヤツだと思った。 桃井さんが口を滑らせてくれる度に疑問が確信へ。
そして思ったんだ。 もし俺達が来なかったら、雨射がこの国に来なかったら、桃井さんも・・・・・?
奥処にいる妾といえど、松葉様と一緒に行動していた三人は、国主とその伴侶が信用している者達だった。

国主と肉体関係があり、尚且つ、内政の事にも口出しできる権限を持った愛人? どう考えても危険だ。
権力への執着とプライド。 国主夫妻はより優秀な子種をと、それ用の人材を集めて奥処を充実させた。
ここが、普通の要人が設けている奥処とは違うところだ。 男と女で、決定的に違うところ。

ただ単に国を乗っ取るだけなら、こんなまどろっこしい事はぜず、国主 麗香様を暗殺するだろう。
おそらく急にこんな事を仕組んだのは、この国が近々忍びの里を抱えよという話が出ていたからだ。
多少でも腕に自信のある者達、もし専属の忍びの里がこの国に抱えられれば、自分達の価値も下がる。
松葉様のお供をすることもなくなるし、麗香様の外交のお供も。 全て忍びにとって変わられるだろう。

一般の妾と同じ立場、奥処に囲われている存在になる・・・・ というのを、受け入れられないはず。
自分達は他国にある様な、ただ国主を喜ばす妾じゃないと、男のつまらないプライドが邪魔をして。
・・・・・・最悪の事態が頭をよぎった。 松葉様も他二名の愛人達も、もう殺されてるんじゃないか、って。

松葉様は正式な伴侶、麗香様や松葉様が特に目をかけてる愛人が三人、それらが揃って消えてくれれば?
麗香様の愛情が得られるだけでなく、悲しみにくれる麗香様に進言し、隠れ里を抱える危険性を説く事も。
なぜ大国と同じような真似をなさるのか、忍びは争いをうみます、過度の力は必ず脅威になりますよ、とか。
この国にはこの国の良さがあります、麗香様がそう指導して来られたじゃないですか、などと耳打ちするかも。

とにかく、麗香様の愛情の比重が多い者達を、全部いっしょくたに排除できる機会が巡ってきた。
普通の奥処の妾なら、こんな考えは絶対にしない。 分相応という言葉からは遥かに逸脱していますから。
男のプライドと国主に目をかけてもらっているという自負からくる、身勝手な自己防衛の為の他人の排除。

結婚十周年のお祝いに、松葉様と三人が隠密で出国する予定は、奥処の人間しか知らないようですから。
国を出て帰って来ない、亡命か他国で事件に巻き込まれたか。 皆が知るのは、行方不明という事実だけ。
全てを闇に葬れる機会です。 松葉様ともう二人の使者は既に殺されてる・・・・ そうとしか思えないんです。

「ウン、そこまで聞き出したら、そう考えるのが妥当だーヨ。」
「隠密で出国した4人を待ち構えていたんだろう。 奥処の誰かが。」
「はい、俺もその結論に達しました。 それで桃井さんを助けようと・・・・」
「「隠し場所を探す為に、塔の中をうろついてた?」」
「・・・・そうです。」

ええ、桃井さんは別行動したから帰国が皆より少し遅れたんです。 でも少しだけ延命したに過ぎません。
本当なら、麗香様のお気に入り三人と、国主の夫も始末する予定だったんでしょう。 失踪に見せかけて。
けれど焦る必要はない、遅れた一人に罪を着せれば完全犯罪、計画は狂いましたが予定通りなんすよ。
桃井さんが生かされているのは、いずれ発見されるであろう三人の殺しの罪を着せる為、だけだと思います。

いうなれば、桃井さんは生き証人です。 だから目の届くところにいてもらおうと、塔に隠しました。
いろんな部屋を見て回るうちに、香木の苗木を育てている部屋をみつけて・・・・・ その・・・・・・。
えー その苗畑を見て・・・・ ですね、秘密を知ってしまったというか、なんというか・・・・・・。

「フフフ、確かにそれなら不可抗力だネ?」
「じゃぁ、桃井は今、その安全な場所に?」
「はい、桃井さんならこの部屋に出入りを許されてるらしいですし。」
「そうだね、数日塔から出てこなくても、ここで麗香様をお慰めする為だと言い訳できる。」
「・・・ウン上出来、海野中忍、お疲れ様。 ナイスな働きだヨ?」

「!! 傍若無人なお二人でも、そういうふうに評価して頂けると俺・・・・・ 嬉しいですっっ!!」
「もう! 素直じゃないんだからっ! くすくす!」
「ヨシ! 明日、奥処のヤツらの頭ン中、覗くヨ!」
「「明日早々に解決だっっ!!」」
「おー さすがに黄金コンビ、って感じです。〈 パチパチ・・・・ 〉 」

「「じゃあ、早速一日一回の権利を主張っ!!」」
「・・・・・・・・・・・・・。  ち! 覚えてやがったか!  」
「「んもう! お口が悪いですよ〜 雨射姫ったらぁ!!」」
「・・・・・・・誰が姫だ、誰が。 ・・・・・・・まあ、約束ですしね。」
「「わ〜〜〜いっ!!」」

ちょ・・・・・・ ちょっと!! マッサージは?! 二人とも疲れてるんだから先にマッサージを・・・・・
って!! 別に体調を心配して言ってるわけじゃないって! いや、照れてないから。 違うから!
順番がおかしいだろ、どう考えても!!  ちょ・・・ んんん・・・ いきなり盛る、な・・・・ ん・・・

くそ、何がツンデロ万歳だ! 一回ですからね?! 分かってます?! ぁ・・・・・ ぁあっ・・・・
一フィニッシュ・・・・ です、から・・・・ね・・・・・ んぁ、ぁ、ぁ・・・・ 待って・・・・ぅ・・・








・・・・・・・あー。 確かに一日一回一フィニッシュだと言った。 そうすれば体の負担が少ないだろうと。
・・・・・・・出そうになったら耐えまくりやがった。 目にモノ見せてやる! とか、謎の気合いを入れて。
俺は男としてある意味尊敬する。 あそこまで耐えるなんて正直無理だ。 だからつい、謝ってしまった。

『ん、二人に・・・・ 一フィニッシュ・・・・ はぁ、言って、俺は、一杯・・・・ ごめん、なさい・・・・』
『『?!?! ・・・・・・・・・・・・。  で・・・・・でちゃった・・・・・・  』』
『うぅん・・・ ほんと・・・ですか・・・ じゃあ、 ふぅ・・・・ 終了で・・・・・ほっ・・・・』
『『 馬鹿! バカ! うぅ〜〜〜〜〜〜〜 』』

なんとかフィニッシュしてくれたけど、ヘロヘロになるのは変わらない。 搾りとられるのもほぼ同じ。
・・・・・・・・一日一フィニッシュの意味って、あんまりないかも・・・・・ 暗部の忍耐力を甘く見てた。
俺は何回イッタか覚えてない。 あの後やっぱりヘロヘロになって寝ちゃったからな、くぅ・・・・不覚!