香りの塔 3
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この任務報告が終われば休息日。 もちろんカカシ先輩と草津屋に行って来たよ、任務の前にちゃんとね。
何しにって、決まってる。 海野中忍・・・・ じゃなくて、按摩師の雨射に予約を入れて来たんだよ。
ふふ、こういうのいいよね? とっとと終わらせて少しでも早く恋人との休息日を満喫するぞ! みたいな。
任務前に草津屋に寄って雨射に予約を入れておけば、絶対に死ねない。 だって雨射が待ってるんだもん!
ボク達の恋人の海野中忍が・・・・ 雨射になって待機してくれてるんだ。 何が何でも生き残ってみせる。
これが俗に言う、生への執着とかいいます? だって生きて帰らなきゃ、草津屋に行く事さえ出来ないし。
カカシ先輩、ボク達って・・・・ 恵まれてますよね。 そりゃ生い立ちや仕事内容は結構悲惨ですけど。
そんなの、戦後も含め九尾襲来後に生き残った忍び達は、大小様々な違いはあれど、皆抱えてるもんだ。
逆境にも負けずにがむしゃらに頑張って来たボク達への、今がそのご褒美の日々なんですよ、きっと。
あんな優しくて温かい心の持ち主に出会えた。 しかも超テクニシャン! ゴールドフィンガーvv
「なんかもう・・・・ つれない反応がいちいち可愛いって言うか・・・・・」
「ネ? つれない反応・・・・・ アッ!! テンゾウ、海野中忍はアレだヨ! ツンデレってヤツ!」
「ツンデレ・・・・・ あの、“別に好きとかそういうのじゃないんだからね?!”ってヤツですか?!」
「ソウソウ! 言葉は乱暴だけど、“生きて戻ってくれてありがとう”みたいなあの態度もv」
「そういう属性の女性の事ですよね? ツンは当てはまりますが・・・・ デレ?」
「ンー ・・・・デロンって、なるじゃない! セックスの後半とか終わった後。」
「なるほど! でもそれじゃ、ツンデロじゃないですか。」
「海野中忍は男、語尾の一個ぐらい違っても不思議じゃないヨ。」
「「ゴールドフィンガーな恋人はツンデロ属性w 決まりっ!!」」
過酷な任務もなんのその! 火影室に向かうボク達の足取りは今日も軽い。 ツンデロの恋人に会えるからvv
「・・・・・・・分かりました。 でもこちらも条件をつけさせて頂きます。」
「なんと任務に交換条件とはっ! “じっちゃん肩揉み券どーぞ?” と言っとった可愛いイルカは・・・・」
「あれは純真な頃の俺です。 そりゃーもう、新たな世界を知ってたくましくなりましたから。」
「むむむ・・・・ 一応聞いてみてやるか。 なんじゃ。 ほれ、申してみよ。」
「その・・・・ 任務中は・・・・・」
「「あっ!! 雨射〜〜〜〜vv 三代目〜 殲滅任務、速攻終わらせてきましたよ〜vv」」
「おお! よく戻ったな、ご苦労。 丁度、今・・・・・」
まさか海野中忍が火影室にいるとは! あ! 分かった!! これから草津屋に行くところだったんだね?
そうだ!! これから三人で一緒に草津屋へ行こう? 大丈夫、ボク達は気配を消してくっついて行くから!
ん〜 なんだかちょっぴりツンモード? よーし、ここは。 お帰りなさいv って言わせちゃうぞ?
「一日・・・・ ん・・・ 一回・・・・・ ん・・・・ 一回ににつきですね・・・・・・・」
「「ちゅ! チュ! ただいま〜w」」
「あー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お帰りなさい、お疲れ様でした。」
「ほんに、うっとおしいほど一途な男達じゃの、ほほほ! まあよい、実はの・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・は? 三代目、今なんて言いました?!
ボク達の草津屋への予約はキャンセル?? ・・・・なんで?! ちゃんと手順を踏んで・・・
雨射は潜入員だから情報収集の邪魔はしちゃいけないと思って、正規の手段で予約を入れてるんですよ?!
突然行けば断れないだろう、みたいな。 飛び入りで癒しを求めに寄ったりする上忍達とは違うんです!
なのに、そんなちゃんと表向き用、正式に手順を踏んでいるボク達の予約を・・・・・ キャンセルしただ?!
「草津屋に? ( 予約入れてたんだ? って事は、休息日が任務に変更なるの!?) 」
「「どういう事ですか三代目っ!! これが楽しみで帰ってきたのにっ!!!」」
「・・・・・・あの。 たまにはお体をゆっくり休められては・・・・・・ ごふっ!!」
「「 ツンデロ、キターッ!! 雨射〜〜vv 」」
「こりゃこりゃ、いいかげん放してやれ。 可哀想に、潰れかけとるではないか。」
「「はっ! ごめんゴメン・・・・・ つい、嬉しくって・・・・・」」
「ス、スミマセンね、鍛錬不足で。 一応中忍ですけど暗部のプレスですよ? 情状酌量して下さい。」
「まったくどいつもこいつも・・・・ 最後までワシの話を聞け、馬鹿もん!」
「「「・・・・・・・・・・。」」」
腕利きの按摩師の噂を聞きつけて、香華の国の使者が草津屋を訪ねたそうだ。 ぜひ、我が国へと。
国主へのマッサージを頼みたいらしい。 結婚十年のお祝いに企画したそうだ、もちろん伴侶に内緒で。
あの小国の国主を名乗る人物は女。 伴侶に内緒で・・・・ と言う事は、その夫が企画した、って事だ。
元々の身分のせいだけど、たった一人で国を名乗れるほど人望を集めた女帝。 夫は唯の傀儡ではないらしい。
香華の国の国主 麗香様は、織の国出身の大名の息女だった。 聡明で、早くから諸国を回り地盤を築いた。
女ながら文武に長け、人を魅了するカリスマも備えた人物だと聞く。 まあ、ほんの小さな国だけどね。
それでも真新しい国が大陸に誕生すればそれだけで、今の境遇を変えたいという不幸な民の希望にも繋がる。
どこの国も、最初から突然そこにあった訳じゃない。 そうやってたくさんの人の支持を集めた人物がいた。
国の顔とも呼べる人物に、人は夢を抱いて集まって来る。 火の国の炎一族の者もそうだ、独特の覇気がある。
そういう人物には、陰で支える人物が必ず存在する。 それは家臣であったり重臣であったり民であったり。
国が大きくなるにつれ、その形もより大きく変わって行くんだ。 忍び五大国の各隠れ里がそれに当たる。
香華の国の女帝の心の支えは・・・・ もしかしたらその伴侶なのかもしれないね。 国主の夫、松葉様。