香りの塔 12   @AB CDE FGH IJL MNO PQR S




ボク達への指示文書とは別に、麗香様への書簡。 そこに記されている内容までは分からないけど。
火の国 木の葉隠れの影からの書簡を預かっている。 それだけで麗香様は人払いをして謁見してくれた。
カカシ先輩とボクが暗部だと明かした事から想定すると、三代目も松葉様の身を案じたのかもしれない。
きっと忍び二人と雨射の存在は公にしない様に書かれていたんだと思う。 なるべく動きやすい様に。

だからボク達の存在を知っているのはほんの一握りの者達。 国主 麗香様と、香りの塔にいる兵だけだ。
使者団の中にいた愛人の桃井も。 彼は雨射に会ったから、木の葉の忍びが護衛に来てる事を知っている。
護衛に来る木の葉の忍びに“雨射の都合がつき次第出国を”と草津屋に伝言を頼んだ本人だからね。

カカシ先輩とボクはデロンデロンの雨射を部屋に残し、麗香様お気に入りの愛人、桃井に会いに来た。
火の国に来た使者団の隠密行動を把握していた人物、それを桃井から聞き出せれば、真実が明らかになる。
海野中忍がちゃんとお膳立てしておいてくれたんだ。 木の葉の忍びが来るまで、隠れている様にとね。




『 俺の護衛に就いてもらった木の葉の忍びが、草津屋に伝言を残したこの国の使者を探していました。
   今、護衛対象である俺をこの塔に残して外出しているのは、国主夫妻の大事に関わる事だそうです。 』
『 なんだって?! 麗香様と松葉様に?! どういう事だ?! 松葉様はもうすぐ・・・・・・ 』

『 桃井さんが草津屋に伝言を残して下さったのでしょう? なら、桃井さんがその使者、ですよね?
    ・・・・木の葉の忍びが言ってたんです。 早く見つけなければ、その使者も殺されるかも、って。 』
『 おれが?? ・・・・ “その使者も” とは?! ・・・・まさか皆・・・・・・・・・ ?? 』

『 これはきっと・・・・ 桃井さんの命を助けろと、誰かの意思がこの塔にあなたを来させたんです。
    だから俺もその意思に応えようと思います。 どうか隠れていて下さい、木の葉の忍びが戻るまで。 』
『 誰かの意思・・・・ 松葉様だ・・・・・・・ きっと松葉様が・・・・ くっ・・・・ 』

『 この塔の中の兵達も、これは木の葉の忍びの意向だと言えば、皆、協力をしてくれます。 それに・・・
    俺は麗香様の客人、信用してくれるはずです。 ・・・・・・・・元々は松葉様の客人、でしたけど。 』
『 ・・・・分かった、ありがとう・・・・ 木の葉の忍びが来てくれて良かった、全部、松葉様のおかげだ・・・ 』




・・・・とかいう流れを作ったらしいよ? 軽く暗示にかかっている状態だったからね、すんなりとすり込み。
この塔の一番警戒が厳重な部屋の中。 その部屋の見張りの兵士にも、しっかりと暗示をかけてね。
もう! ここは忍びがいないから良かったけど・・・・ あれ? その情報も得たから動いたんであって・・・・?
・・・・・なんか。 ゴールドフィンガーな雨射の技は、そこらの自白剤より効果的なんじゃ・・・・??

カカシ先輩、今更ですけど。 草津屋の雨射の情報って・・・・ かなり信憑性があるんでしょうね・・・・。
だからボク達の出会いのキッカケ、犬猿の仲の大名が鉢合わせる可能性、それだけで三代目が反応したんだ。
・・・・というか、一応温泉街に何人か向かわせろ、って言っただけだけど。 で、アラシ達を行かせて・・・・

いや、優秀な潜入員だとは思ってた、でもこうやって実際にサポートされると・・・・ 動きやすいと実感する。
大幅に任務内容が変更になったけど、潜入員の海野中忍が一緒で・・・・ ほんと、良かったですよね。
でもツメが甘い。 一番警戒が厳重な部屋に隠すとは。 そりゃ国家機密を見ちゃっても仕方ないよ。

ところで先輩、さっきの、あれ! どうなんですかね、あのツン具合っ! デロンってなってましたよね?!
はい、さっさと桃井のトコに行って下さい、みたいな。 きっと今頃、思い出して・・・ また懺悔してますよ?
俺だけ一杯出してごめんなさい・・・とか! 明日は二人に一杯出してもらおう・・・ あ、これは無いかv

「入れてもいないのに、外で出しちゃったなんて・・・・。 ボク初めてです・・・・。」
「ナニを隠そう、オレもハジメテだーヨ。 海野中忍の可愛い懺悔が憎いっっ!!」
「どうにもこうにも。 思い通りに行かないって所が・・・・・ 深みにはまります。」
「暗部の忍耐力を舐めんなヨ! って、ガッツリ気合い入れてたのにネ、フフフ。」

「「ツンデロって、最高に可愛いいっvv」」








あ、咳払いだ! あそこですね、きっと。 あの見張りが海野中忍の言ってた部屋の見張り兵でしょう。
桃井を隠した部屋の見張り番には、人が近づくと二回咳払いをするように、と暗示をかけたらしい。
木の葉の上忍だと伝えれば、ニッコリと歓迎してくれるはずですよ、と言ってた。 当然それも暗示だ。
言われた通り、ボク達が木の葉の忍びだと伝えると “お待ちしていました” と微笑んで解錠してくれた。

・・・・・・いや〜、しっかりと中忍の仕事をしてますね。 やるな、按摩師 雨射め! ツンデロの癖にっ!
てか、この任務をとっとと終わらせれば、一日一回一フィニッシュの呪縛から解放されるんですよね?!
よし! 俄然やる気が湧いて来たぞっ!! ・・・・・・・・・・・・・・・・・なっ?! これって・・・・?!

香木の・・・・ この国の香木の苗木の肥料って・・・・・ いや、見ざる言わざるを決め込むんだ、うん。
ボク達は桃井に会いに来たんだ。 桃井、木の葉の忍びだ! 使者の生き残りのあんたに話を聞きたい!