狼達の晩餐 11
@AB
CDE
FGH
IKL
MNO
PQR
私達の住んでる人見の里みたいに、たくさんの木々に囲まれている、とても素敵な所ね、ここは。
この男が仲間の遺体を処理し、私を木の葉の小さな宿に匿ってから四日。 ふふふ、もう王手よ?
もともと私に傾いていた男だから、あっという間に従順な道具になった。 簡単過ぎて拍子抜け。
「ねえ。 お願いがあるの ・・・・・火影をね、殺してほしいの。」
「蜜葉、お前の願いならなんでも叶えてやりたいが、それは無理だ。」
「・・・・・・・・。」
「それより、これを見てくれ。 お前に似合いそうだと思って買って来た。」
そんなかんざし・・・・ いらないわよ。 私が欲しいのは影の命。 簡単過ぎる? 拍子抜け?!
あれから充分過ぎるほど私を与え、男を私の声に従う道具に変えたはず。 なんなの、これは。
・・・・・ふふふふ。 そう、今度もまた・・・・・ 失敗したのね? ガッカリしたけど嬉しい。
だってまだまだ私の楽しみが続くんですもの。 ・・・・・ふふふふ。 二勝二敗ね、火影様。
「あなたにね・・・・ 違うお願いをするから。 いい? 良く聞いてね?」
「ああ。 蜜葉の言う事はなんでも叶えてやるよ、もちろんだ。」
「あのね、次の任務で死んでくれる? そのかんざしを私に届けさせて? 他の暗部の隊員に。」
「・・・・・ああ、分かった。 次の任務で死ぬよ。 かんざしも届けさせる。」
ほら。 こんなお願いすら、いとも簡単に聞いてくれる。 確かに私の道具になったという証拠。
この彼は、前の彼とは違う部隊なのよね? 直轄部隊とはいえ、どちらも一隊員に過ぎないのに。
でも私も、救ってくれた長と里の為なら何でもしようと思っているの。 あなたたちと同じよ?
この世の男に復讐したい私としては、今、楽しくて仕方がない。 今度の隊員はどんな男かしら。
「ふふふ、さあ、好きなだけ抱いていいわよ? ご褒美ですもの。」
「蜜葉・・・・ 蜜葉・・・・・ 愛している、アイツが愛したように、おれもお前を・・・・。」
「そうね、どちらも私を愛してくれたわね。 ありがとう、楽しみを繋いでくれて。」
ねえ、火影様。 これだけ慕われているのに、どうしてそんなあなたを殺そうとする男がいるの?
広すぎる里の統治も考えモノ。 木の葉の里は大きすぎて、影の目が行き届いていないのね?
私達の里ぐらいの規模にしておけば、充分目が行き届くのに。 物事には限度というものがあるの。
きっと木の葉の里は、欲を出して大きくし過ぎたのよ。 火の国の隠れ里だと主張する為に。
「すまない・・・ これ・・を・・・ 蜜葉に・・・ ・・・は臆病な女な、んだ・・・・」
「・・・・・分かった。 森の宿の小鳥の間、だな?」
「ありが・・・ とう・・・ 蜜葉・・・ アイツと・・・ 待ってる・・・ 生き、ろ・・・・」
「お前の最期の願いは、俺が・・・・ 必ず叶えてやるからな。」
「愛して・・・・ よ・・・・ 蜜・・・葉・・・」
部隊の仲間が死んだ。 勝手に敵に突っ込んで行って、そのまま。 惚れた女がいるらしい。
そう言えば・・・・ コイツと同期だった奴が一週間ほど前、慰霊碑に刻まれた。 ひょっとして。
突然の友の死に、少なからず影響を受けたのかもしれない。 あんな無茶をする奴じゃなかったから。
惚れた女がいるのなら、どうして・・・・ 考えても仕方がない、今は死に水を取った俺が、コレを。
・・・漆のかんざしか。 控えめな赤と黒に・・・ 金箔。 はは、ずいぶん張りこんだな、お前。
コレが似合う女、さぞ本人も控えめな女なんだろう。 お前がそこまで女に入れ込んでたなんて。
ウチの部隊長が知ったら、鼻で笑われるぞ? 女に貢ぐのは時間の無駄だ、とか言ってな。
「あんたが蜜葉か? 俺は・・・・」
「嘘よ、あの人が死んだなんて、私・・・・ うぅ・・・ 私もここで殺して、お願い・・・・・」
「何言ってんだ、あんたっ! アイツはあんたに、生きろと言ったんだぞ?!」
「愛した人が・・・ 皆死んでしまう・・・ 私のせい、死んだ方がいいの・・・・よ・・・」
いらっしゃい。 待っていたわ? 今度はあなたね? そう、同じ部隊の隊員なの。 ふふふ。
そうよね? 任務で死んで来てね、ってお願いしたものね。 なら彼の話を教えて?
同じ部隊なら、行動も共にしていたでしょう? たくさん話題があるわよね? そうしたら・・・・
「それは俺が許さない。 俺が看取ってきたんだ、叶えてやると約束した。」
「うぅ・・・・ あの人の・・・ 話を聞かせて? あなたの知っているあの人の話を・・・・」
「ああ、そんなもん、いくらでも聞かせてやる。 だから・・・・ 生きろよ?」
「ありが、とう、 うぅ・・・ ありがとうございます・・・・ ううぅぅ・・・・・・」
私の元に通ってくる、そう約束したわね? ふふふ、ねえ、あなたもすぐに欲望に負けるわよ?
蜜葉が淋しく一人でシテるのを見る事になるから。 男の餌は共通。 肉欲には絶対に勝てないの。
私達女と違って、男は射精しないと死んでしまうものね? 本当に馬鹿でつまらない生き物だわ。
いっそこの世から、全ての男が消えてくれないかしら。 でもそれは無理な話ね、残念だけど。
女郎蜘蛛の雌はね、雄と交尾をしたらその後すぐ、頭からバリバリと食べるのよ? 私も同じなの。
でも私は蜘蛛じゃなくてクノイチ。 蜘蛛の巣は張るけど、すぐには食べない。 だって・・・・
もっと大きな獲物を釣る餌にするんだもの。 それまでは気持ちの良い柔らかい糸に巻かれていてね?
さあ、木の葉隠れの火影様。 第三試合の開始よ? まずはいつもの通り先手は私、ふふふ・・・・