狼達の晩餐 14
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この件にイルカを巻き込むワケにはいかないでショ。 だってイルカは女を助けたと思ってる。
自分が間に入ったせいで、その後、暗部の隊員が二人も死んだと、絶対自分を責めるだろうしネ。
三代目の指示で動いただけ、って開き直ればいいのにサ。 イルカはそうしない、オチ込んで泣く。
忍びのくせに、人を信じるのが大好きなイルカを、ずっと里の中に閉じ込めておきたいのが本音。
オレ達のイルカは、よく笑うくせに涙もろい忍者。 忍びでも人の情をナニよりも大切にする。
今回のコトも包み隠さず説明すれば、イルカは割り切るヨ? ちゃんと受け入れる、泣くケドね。
裏切られるとピーピー泣くくせに、人を信じるコトをやめない。 こっちまで信じちゃう、不思議だヨ。
イルカの信じているコトをネ、そのままにしておいてやりたい。 ・・・・ン? 今の本音も聞きたいの?
カッコいいコト言ってるケド、ホントはネ・・・・ 例え暗部の隊員の為でも、泣いて欲しくない。
イルカのものはナンでもほしいの。 笑顔も怒りも、声、吐息、視線。 流す血も涙も、全部欲しい。
オレ達サ、イルカの涙が好きなんだよネ。 優しいイルカに泣いてもらったら嬉しいの、ヘンでショ?
だからオレ達以のコトで泣いて流した涙なんて、認めたくない。 ムチャクチャな理屈って分かってる。
「アズサ、上手いコト聞き出してくれたねぇ。 助かっちゃたヨ。」
「ボク達が聞いたら、なんで? とか、結構しつこく聞いてきそうですもんね。」
「うやむやにするのに・・・・ 抱き潰す気だろ? 何かあります、って言ってる様なもんだぞ。」
「・・・・オレ達って、そんなに分かり易い??」
「・・・・・いつか食い殺すんじゃないかと、心配はしている。」
「カオルさんが・・・・ イルカを心配??」
「どっちかっていうと、そうなった時のお前達の方が心配だ。」
「「・・・・・・・。」」
アー やっぱそう思う? イルカが好きでどうしょうもなくて、もしオレ達を裏切ったらって考えたら。
テンゾウにも確認したケド、イルカがオレ達を否定、もしくは拒絶したら・・・・ 殺したくなるだろうネ。
でもカオルが言う通り、そうしたらオレ達は野に放たれた誰の命令も聞かない、ただの獣になるヨ。
永遠に自分を許せず、後悔するヒマすら作らない。 で、見境なく殺しまくる。 確かに分かり易い、か。
フフフ、オレ達ネ。 惚れた相手には一途なの。 可愛くて可愛くて泣かせたくなるケドね?
・・・・・不思議なんだヨ、イルカって・・・・・ 泣き顔ホント可愛いーの。 ヤローのくせにネ?
あの顔で、“何をしてもふたりなら許せる”とか言われたらサ、こっちが泣きたくなるの、これも謎。
だからネ? イルカを泣かせていいのはオレ達ダケ。 クソ遊女のコトはとっとと忘れてほしいワケよ。
ほぼ同一人物だと判明したし、後は三代目しだいだヨ。 そうそう、キレそうなアズサも・・・・
・・・・・ハ? 今なんて言ったの?! カオルが餌? まずいでショ、お前すぐ殺しちゃうじゃない!
ウン、三代目を納得させる証拠は必要だケド・・・・ アズサに残しておきなネ? 目を突かれるヨ?
ま、確かに二人ともお前んトコの部下だネ。 三代目の温情を利用して、里の暗部を三人も殺した。
喧嘩のツケはキッチリ払ってもらわなくちゃ。 え? オレ達はなんでかって? そんなの決まってる。
その手紙を預かったのはオレの隊の部下。 次のターゲットにされていたかもしれないでショ。
それにネ? ナニが一番ムカつくって、その女、イルカを泣かせる要因を作ったかもしれない、ってコト。
んじゃ、オレ達はイルカにアカデミーの教員研修の話を持ちかけるから! きっと夢中になるヨ?
暗部の動向なんて気にならないぐらい、夢中になる。 そしたらサ、オレ達も動くから。 無茶すんなヨ?
木の葉の暗部を無差別にターゲットに出来るなんて・・・・ 相当腕の立つクノイチだからネ。
「この宿に、蜜葉という女が居るか? 暗部にいる友人から手紙を預かって来た。」
「あの方々が暗部?! どうりで。 気前よく前金でお部屋代を払って下さるワケだ。」
「顔を見せた事が身の証になると思うが、確認する。 直接本人に渡したい、問題ないな?」
「ワケ有りだろうと思いましたが・・・・ まさか暗部に囲われている方だったとは・・・・。」
「ご主人、もうすぐ余所へ移すが、アイツが支払った金は、そのままでいい。 迷惑料だと思ってくれ。」
「迷惑だなんて、そんな。 私達がこうやって平和に過ごせるのも、里の忍びのおかげですから。」
「もうしばらく暗部の友人が何人か出入りすると思うが、気にしないでくれ。」
「自ら顔を見せ、暗部の名を出された方。 どうか手前どもの宿を自由にお使い下さい。」
「・・・・・・・・・・おれは カオルという。 不審に思えば三代目火影に連絡をすればいい。」
「そこまで野暮じゃありません。 これでも秘密厳守が規約の・・・・森の宿の主ですから。」
「・・・・・・ふっ。 アイツがどうしてここに匿ったのか・・・・・・ なるほどな。」